大学の学部が多過ぎて、「どこに進学したらいいか」「何が違うかよくわからない」…そんな疑問を抱えていませんか?
文系学部の中のひとつには「経営学部」という学部がありますが、どのようなところなのでしょうか。「経営者を目指す人が行くところなの?」「経済学部と何が違うの?」という疑問があると思います。
進路選びに悩む高校生に向け、経営学部に通う現役大学生が詳しく解説します。この機会にぜひ、見聞を広げてみましょう。
(StudiCoサポーターY.I.)
1. 「経営学部」での学びとは
経営学部は一般的に企業のことについて学ぶ学部です。具体的には経営学以外に、会計学・法学・経済学といった学問を学ぶことが多いです。
会計学ではお金の管理、法学では労働法や民法など会社運営に関わる法について学びます。
経済学では社会全体のお金の流れ、経営学ではマーケティングや経営戦略、会社資産管理に関するファイナンスなどについて学びます。
2. 現役経営学部生が解説!経営学部に関する疑問
経営学部に関する疑問について現役経営学部生がお答えします。
お答えするのはStudiCo サポーターY.I.です。私が今在籍しているのは「東京理科大学 経営学部 経営学科」です。
2-1. 就職先は?みんな経営者になるの?
経営学部を卒業したからといって必ずしも経営者になるわけではありません。学ぶ内容も起業するための学びというよりは、企業を成長させるためにはどうしたら良いかを学ぶと考えた方が良いでしょう。
例えば、東京理科大学 経営学部の卒業生は、大学の公式サイトによれば23.8%が金融保険業、20%が情報通信業と、多数が一般企業に社員として就職しています。
2-2. どんな人に向いてる?
経営学部では企業の戦略や事業の進め方など、企業活動について幅広く学びます。IT系や製造系、金融系など、さまざまな分野の企業で通用する学問ともいえるでしょう。
将来どんな企業に就きたいかまだ明確でない人や、経営戦略・企業成長に興味がある人に向いていると思います。
また、ファイナンスの分野では計算を多用するので、社会科目だけでなく数学が好きな人も経営学部へ進学すると楽しく学べるかもしれません。
2-3. 高校の勉強とどれくらい違うの?
経営学部での学びは、高校での授業内容とあまり似たところはないと言えるでしょう。
高校の勉強内容とかぶるところがあるとすると、経済学の分野では高校数学で履修する「統計」や「確率」、法学の分野では公民の授業の知識が役立ちます。
会計学や経営学でも数学の基礎知識を使うことがありますが、大半が新しい勉強内容になります。
2-4. 「経済学部」との違いって?
経済学と経営学の異なる点は研究対象となる「視点」です。経済学部では社会全体を見て、経営学部では企業に絞って見ます。
経済学部では世の中の消費や生産などといった経済活動を分析します。
それに対して経営学部では、「この企業は何故事業を拡大できたのか」といったことを分析します。実際の有名企業がどのような戦略をとってきたのか、マーケティングや組織づくりの観点から学ぶので、今までとは異なる側面から企業について知ることができます。
その中でも私が面白いと感じた経営学のテーマは、「リーダーシップ」に関する授業でした。異なるリーダーシップスタイルが与える、離職率や生産性の影響が印象的でした。
具体的には「管理者が仕事に関する決定権を極力部下に参加させるようにした場合と、管理者に決定権を集中させ細部にわたり部下に作業指示を出した場合を比べる」といった内容です。このようなリーダーシップ論や、実際のリーダーがどのようにリーダーシップを発揮しているのかを研究する管理者行動論などについても学びました。
化学や物理のような自然科学の実験ではなく、人の行動結果からデータを得る社会実験について興味を持つきっかけになりました。
3. 東京理科大学の経営学部とは
私が在籍している「東京理科大学 経営学部」に的を絞って解説します。
東京理科大学の経営学部には、(1)経営学科(2)ビジネスエコノミクス学科(3)国際デザイン学科の3つの学科があります。私は経営学科に所属していますが、学科によって特徴がかなり異なります。
私は高校時代に工業について学び、「技術と経営を結びつける研究」がしたいと思って東京理科大学の経営学部に進学しました。
――理系大学の経営学部ってどんな学部だろう、と疑問に思いますよね。ぜひ参考にしてください。
3-1. 理系と文系の比率は?
東京理科大の経営学部は「経営を科学する」というテーマに基づき、他大学の経営学部よりも理系出身者の割合が多いという特徴があります。
具体的な数値は公表されていませんが、「経営学科」「国際デザイン学科」は文系の方が少し多く、「ビジネスエコノミクス学科」は理系の方が多いようです。
3-2. 理系の方が有利?
結論から言うと有利な場合もあります。
例えば、大学での微積分の授業では数IIIの内容が含まれるので、当然高校で数IIIを学んだ理系出身者の方が有利になります。特に「ビジネスエコノミクス学科」では数学を使う授業がほとんどなので、理系に近い学科です。
ただ、授業は文系出身の学生向けに基礎から始まるので、しっかりと話を聞き、理系出身者の友人に助けてもらうなどすれば大丈夫でしょう。
3-3. どんな人に向いている?
東京理科大の経営学部は数学を使う場面が多いので、数学に苦手意識がなく、また理系科目が得意だけれど社会学にも興味があるという人に向いていると思います。化学や物理のような実験はおこなわず、「実験」があるとすればフィールドワークや企業での実習となります。
また学科選びのアドバイスとして、社会科学に興味がある方には「経営学科」、数学が好きでかつ社会に紐づいた学びをしたいという方には「ビジネスエコノミクス学科」、英語やデジタルについて学びたいという方には「国際デザイン学科」がおすすめです。
「国際デザイン学科」は1年生のキャンパスが北海道の長万部にあるので、寮生活に興味がある人にも良いかもしれません。
4. まとめ
経営学部で学ぶ内容や将来の就職先などについて、現役経営学部生の視点から解説しました。
企業活動にフォーカスして学ぶなど、経済学部とはひと味違う学問。文系・理系問わず、社会に出てからとても役立ちそうな「学び」ですよね。
世の中に大学の学部はとても多く、進路について悩むことも多いと思います。「経営学部」の情報によって少しでも視野が広がり、自分の進路希望をより具体的にイメージするきっかけになればうれしいです。