大学生活のスタートにあたり、多くの学生が選択に迷う「第二外国語」。大学によっては合格発表後すぐに履修言語を決めなくてはいけないなど、受験が終了してからどの言語を履修するか選択するまでに意外と時間が少ないケースは多いです。
また、言語選択にあたっても「どのような基準で決めたらいいのかわからない」「どの言語も難しそう」といった不安や悩みも多いところ。実際に各言語を履修した先輩たちの声を聞きつつ、高校生のうちから「第二外国語」の世界に触れてみましょう!
1. 大学で学ぶ「第二外国語」とは
1-1. そもそも第二外国語とは?
第二外国語とは母国語、英語以外に新しく学ぶ言語を指します。大学の授業において、文系学部に所属する大学生の多くが「第二外国語」を必修(※)で履修することになります。
授業数は大学や学部によって異なるものの、1・2年次に週2~3コマほどが一般的です。比較的少人数構成かつ低学年から履修することが多いため、言語のクラスを通して大学生同士の仲が深まるといったことも。
理系学部については、第二外国語を必修としない大学も多いですが、ほとんどのケースにおいて選択科目としての履修が可能です。
※必修・・・卒業までに必ず履修しなければいけない授業、およびその単位。
1-2. 第二外国語の魅力
まず、第二外国語を学ぶ魅力として「実用性」が挙げられます。留学や海外旅行で直接言語を使用することや、言語を通してその国の背景も学ぶことで、自分の専攻する学問に生かすことができます。
話者が多い国や経済大国、日本と深い関係がある国の言語は将来ビジネス面で役立つこともあるでしょう。
また言語を学ぶことは、その国自体さらには世界全体に興味を持つきっかけにもなることが多く、自分の視野が広がることにもつながります。言語は国の背景や歴史、文化につながっていることが多いので、言語の学びを通して興味範囲が広がるなど、新しい価値観を得ることができるでしょう。
また、それまで知らなかった言語を学ぶことで、愛着心が湧いてくることも。日常生活でその言語を見かけるのが楽しくなります。意外と英語以外の言語が由来のもの(商品名やサービス名、作品名など)は多いので、今までは気づかなかった発見があるでしょう。
2. 第二外国語の選び方
2-1. 言語を選択する上での注意
学ぶことに大きな魅力がある第二外国語ですが、通年単位で必修となることが多く、特に1・2年生の間は大学での勉強で大きな割合を占めることも少なくありません。その上、言語は積み重ねが大切な分野であるため、他の講義に比べて予習復習を始めとした継続的な学習が必要になり、テスト対策にも相当な負担がかかるケースがあります。
第二外国語は特に低学年時の単位数における比重が高いため、そのぶん成績に影響を及ぼしやすい傾向があります。結果的に、その後のコース選択・ゼミ選択に影響する場合もありますし、万が一単位を落とすと再履修(※)となってしまい、大学によっては進級可否にかかわることも…。
一度選択した第二外国語を変更するのも不可能ではありませんが、新しく選び直した言語で単位を取り直すのは当然大変です。下の学年にまじって講義を受けなくてはいけない場合もあり、時間的・精神的負担はかなりのものとなるでしょう。
――言語選択は後悔のないよう、慎重におこないましょう!
※再履修・・・単位を落としてしまった授業を再び受講すること。
2-2. 第二外国語を選ぶポイント
第二外国語を選択する上で検討すべきポイントを紹介します。
(1)言語やその国自体への興味・関心
言語を学ぶ上で大きなモチベーションになります。食べ物やスポーツ・芸能人など、自分の興味を言語選択のヒントにしてみましょう。
言語について学ぶことができるだけでなく、自分の興味を広げたり、深めたりすることにもつながります。
(2)言語の難易度・相性
言語によって「発音が難しい言語」「文法が難しい言語」など、それぞれ難しいポイントが異なります。どの言語にも難しいポイントがあるため、自分の得意不得意に照らし合わせてみて相性を確認しておくことが大切です。その際は、英語の四技能における自分の得意分野を参考にするのもわかりやすい指標になるでしょう。
(3)言語の実用性
留学や海外旅行、将来就きたい職業など、自分にとっての実用性が大きいかどうかも、言語選択の際には検討しておきましょう。
専攻する学問と関わりが深い国や、研究対象の地域の使用言語など、大学での勉強と結びつけて言語を検討してみることもおすすめです。実用面から言語を選ぶことで、実際に役立つだけでなくその言語を勉強する目的意識が生まれることも大きなメリットです。
3. どの国の言語を選ぶ?
第二外国語でメジャーな選択肢の言語について、それぞれ紹介します。
大学・学部によっては、ロシア語・アラビア語・イタリア語などの言語を履修可能なケースもありますので、ここに挙げた以外にも志望校で履修可能な言語があれば、ぜひ調べてみてください。
3-1. 中国語
中国語は大学生の中でも特に人気の言語で、履修者が多いです。話者の多さやビジネス面での汎用度など、実用性が高いといった魅力も。
漢字をはじめ文法は取り組みやすいものの、発音がかなりの鬼門となるようです。
〈先輩たちの選んだ理由〉
・話者が多いため実用性があり、漢字なのでなじみがある
・日本史の授業や古文書などで漢文を扱うため自分の専攻に役立てたい
〈言語の特徴〉
〇時制や動詞の活用がなく文法が易しい。語順も英語のSVOCに近いためわかりやすい。
〇漢字を使用する言語なので、日本人にとっては何となくの理解ができわかりやすい。
△発音がとても難しい
△発音のテストがあることも
3-2. フランス語
フランス語は世界でも英語の次に使用されている国や地域が多く、国連の公用語としても使われるなど世界各国で通じる言語です。
言語の特徴としては発音の難しさが挙げられますが、「おしゃれ」「洗練されている」などイメージ面でも人気の言語です。
〈先輩たちの選んだ理由〉
・おしゃれなイメージがあったため
〈言語の特徴〉
〇フランス語が公用語の地域は多く、文献講読など専攻する学問に役立つことが多い
〇単語は英語に輸入されたためスペリングが同じものも多く、覚えやすい(例 「いとこ」→cousin 「国家」→nation 等)
△rや巻き舌といったフランス語独特の発音が難しい
△発音が難しいためリスニングの難易度も高い
3-3. スペイン語
陽気なイメージのスペイン語は、講義のクラスも明るい雰囲気であることが多いと言われています。また料理やスポーツなど、文化面でも人気が高い国です。
他言語と比べて四技能のなかでも突出して難しい分野が少ないことも特徴です。
〈先輩たちの選んだ理由〉
・陽気なイメージで楽しそう
・メキシコ料理など身近な文化にも惹かれた
〈言語の特徴〉
〇発音やつづりが易しくヨーロッパ言語の中でも学びやすい
〇第二外国語のクラスや先生も陽気な雰囲気
〇公用語としている国が多く話者も多い
△学問や日常ではスペイン語を使う機会が少ない
3-4. ドイツ語
ドイツ語は英語と同じゲルマン系の言語であり、「兄弟言語」と言われるほど単語や文法など英語とたくさんの共通点があることが大きな特徴です。
文法が細かく難しいものの、逆に規則性がしっかりしていてパズルみたいで面白い!といった声もあります。
〈先輩たちの選んだ理由〉
・ドイツの歴史や文化に興味があった
・単語が英語に似ており入り口のハードルが低いと思ったため
〈言語の特徴〉
〇単語が英語と似ていて覚えやすい (例 mother→Mutter night→Nachtなど)
〇基本的にローマ字読みなので発音は易しい
〇医学・法律・人文学などさまざまな学問が発達した国なので、専攻学問の文献講読などに広く役立つ
△文法が細かくかなり規則が多い。形容詞も活用したり、名詞にも性があったりするなど英語の文法を発展させたイメージ
△話者はドイツと周辺の国に限られ使用する機会は少ない
3-5. 韓国語
韓国語は文法など日本語に似た点もあり、言語の難易度は比較的易しいと言われることが多いです。
ハングル文字など韓国語ならではの文字を学べることも魅力であり、言語クラスは韓流文化などに関心を持つ履修者が多い印象です。
〈先輩たちの選んだ理由〉
・KPOPや韓国そのものに興味があったから
〈言語の特徴〉
〇文法は日本語に近い(語順が一緒)ので易しい
〇単語も日本語と似ている言葉がある(例 「約束」→ヤクソ 「準備」→ジュンビ など)
〇諸外国の中でも日本から近いので、旅行などで活用できる可能性も
△独学でも学びやすい言語なので、大学で選択しなくても学ぶ機会はたくさんある
△受講者は韓流に興味がある人が多く集まるため、言語習得のモチベーションが特に必要
4. まとめ
多くの大学生が履修することになる第二外国語。さまざまな魅力や学ぶ面白さがあり、各言語にそれぞれ難しいポイントや選択時の注意点があります。
大学生活において年単位で付き合う可能性があることも踏まえて、後悔のないように学ぶ言語を選択してください。教授・講師との相性や他の授業との時間の兼ね合いなどもありますので、入学書類として配られるシラバスや時間割はよくチェックしておきましょう。
高校の外国語学習では主に英語が中心となりますが、大学で学ぶ新しい言語、「第二外国語」にもぜひ興味を広げてみてくださいね。