「受験勉強と部活の両立」は、高校生にとって永遠のテーマかもしれません…。思い切り汗をかいたり、好きなことに没頭したり、試合に向けて仲間と協力して打ち込むことは、かけがえのない青春時代にはとても大切なことです。
一方、勉強だって頑張りたい、でも現実は授業と部活だけで精一杯となり、受験勉強には不安が募るばかりという人も多いのではないのでしょうか。
そこで、東大合格を勝ち取った先輩たちに、勉強時間をどのように確保したのか、どのように工夫したのかを聞いてみました!
1. 部活・学校行事と受験勉強って両立できる?
【東大生の回答】
個人的には可能であると考えます。実際に私の周りの東大生20~30人に尋ねてみると、少なくとも半数以上は部活をしながら現役で合格していました。そしてかく言う私も、高校時代は馬術競技に青春を注ぎ、生徒会役員(風紀委員長でした)をこなす傍らで受験勉強に励んでいました。
具体的には土日祝日および夏休みなどの長期休みはすべて馬術の練習に充て、平日の放課後は定期的に生徒会に出席していました。練習は4:30に起床して始発で馬たちのもとへ行き、20:00くらいに帰宅してきました。体育祭や文化祭の時期になると打ち合わせのために毎日放課後に夜遅くまで生徒会会議をおこなっていました。今思うときつかったですね(遠い目)。
重要なことは1つ!時間の使い方です。
新高校3年生スタート時と仮定して話をすれば、その時点で成績の良い人も悪い人も平等に、与えられた受験までの1年間という時間は、24時間×約330日=約8,000時間です。ここで、人間が生理的に必要な時間は、睡眠6時間/日、食事1時間/日、入浴等2時間/日、さらに通学などの移動時間は1時間/日とすると、この合計10時間は1日24時間の約42%にあたります。ゆえに、みなさんが実質利用できる資産としての時間は、8,000×(1−0.42)=4,640時間となります。この時間を何にどのくらい振り分けるのかが重要なのです。
ここで、人間はこの4,640時間をすべて勉強に充てることはできないということに注意をしなければなりません。勉強には集中力を要し、集中力を欠いた勉強ほど非効率なものはありません。集中力は継続させることはできないので、合間には休息(気分転換)が必要です。
また、特にみなさんのような活動性の高い若い人間が活動性を低下させる(運動しなくなる)と、集中力は途切れやすくなります。ゆえに「休息(気分転換)」および「運動」というある種の”必需品”は、4,640時間という資産を減らしてでも購入する価値があるのです。
私にとっての「運動」は馬術の練習、「休息(気分転換)」は生徒会でのおしゃべりでした。みなさんが学校行事を上手く利用し、効率的な受験勉強に臨めるよう祈ります。
(東京大学 農学部 A.K)
2. 部活の引退時期が遅くて受験勉強が間に合うか不安…
【東大生の回答】
私も部活動中心の生活を送っていたため勉強はほとんどしていませんでした。
私が高校3年の夏までひたすら部活ばかりの生活を送ったのは「受験のチャンスは何回かあるけど高校で部活に打ち込めるのは一度だけ!」と割り切っていたからです。始めから「引退までは部活を一生懸命やって、その後で勉強に集中しよう!」と決めていました。
部活をしていた間の成績は本当にダメダメでしたが(謙遜ではなく本当に!)、当時は勉強をしている人を見ても焦りは全然無くて、「みんな塾に行ったりして大変だな~!」と思うくらいでした。
私は受験勉強と部活を両立できたとは言えませんが、家で勉強する時間が少ない分、毎日の授業には集中し、単語の暗記など少ない時間でもできるものは「忙しいから」と言い訳せずに隙間の時間を見つけてなるべく続けるようにはしていました。
引退後は英数国の基礎固めから始めました。特に英語は過去問を見てもさっぱり意味が解らなかったので、単語と英文解釈の参考書を徹底的にやり込むようにしました。学校の先生も「10月までは基礎固め」と言っていたので焦らず取り組むことができました。
部活動をしていた時間をそのまま勉強時間に充てたので生活リズムの変化はありませんでしたが、運動をするのと座って勉強をするのでは勝手が違います。
私が勉強を続ける上で気をつけたのは「やるときはやる」を徹底したことです。逆を言えば「休む時は休む」。
勉強もただ時間だけをかけていたら効率が悪く疲れてしまいます。勉強と休憩の時間をきっちり分けて、休憩中は勉強のことを一切考えない。勉強時間はタイムアタック式にして時間が来たら計算途中でもペンを置く。そうすることで集中力が上がり、実際の入試の時のタイムマネジメントにも役立ちました。
どうしてもやる気が出ない時は好きな曲を聴いたり、軽いストレッチをしたりして気分を変えます。苦手な分野を勉強する時は最初に自信のあるところから手を付けると「よし!あの問題もやるか...!」と勢いがつきました。
ゲームで点を取ると嬉しくなるように、どんな些細なことでもいいので嬉しいことをモチベーションにつなげることが大切だと感じています。楽しむことで成績は付いてきます。
私は模試の点数が悪くても「こんなの自分らしくないな~!」と思って、できるところを増やしていくようにイメージしながら勉強をしていたのですが、8月にE判定だったのが12月にはB判定に、そして本番の入試では志望校に合格することができました。
部活動を一生懸命した人だからこそ、時間の使い方やメンタルのコントロールができるはずです。楽しみをモチベーションにして残り数か月を走り切ってください!
(東京大学 農学部 U.I)
3. 部活の朝練や夜遅くまでの練習で勉強時間が取れない!
【東大生の回答】
部活と勉強の両立に悩んでいる人は多いですね。私も高校時代は剣道部に所属していたので、その時の体験を紹介します。
私も部活後はかなり疲れていて、当時、勉強時間の確保は大変でした。そこで私がやっていたのは通学時間の利用と勉強の優先度付けです。
まず1つ目ですが、私は電車通学だったので電車の中で単語学習やリスニングをおこなっていました。もし電車通学をしているなら、この時間は学校のある日は毎日確保できるので暗記系の勉強にはオススメです。次に2つ目ですが、これは単純に「疲れていてもこれだけはやる」ものを決めておくという感じです。
私は、宿題→授業の復習→予習を疲れと相談しながらやっていました。学校の休み時間なども上手く活用できると思います。
1日の勉強時間は最初は短くても、それを毎日続けていくと自然と力がついてきます。頑張ってください。
(東京大学 農学部 K.K)
4. とにかく忙しい…時間を有効に使うヒントを教えて!
【東大生の回答】
学校行事や試験に部活、宿題などで受験勉強に割ける時間がないという相談は多いです。私も運動部に所属していた上、電車通学で帰宅できる時間は他の人よりかなり遅かったので、平日の勉強時間を確保するのは大変でした。
そこで通学中の時間や学校の休み時間などの「スキマ時間」を活用していました。まとまった時間でなくてもやれることは結構あります。それに休み時間の10分、電車に乗っている15分も、1週間・1ヶ月と続けていけば数時間になります!
どんな風に活用できるか、いくつかピックアップしますので良かったら参考にしてみてください。
●起床~朝食前:前日の勉強内容の記憶をチェック。簡単な問題で頭をウォーミングアップ。
●通学電車内:暗記物の学習、授業の予習・復習、学校・家での学習予定の確認・整理など。
●学校の休み時間:クラスメートと問題を出し合う、終わった授業の内容をノートに整理など。
(記憶の定着のためには覚えたことをすぐに復習すると効果的と言われています。休み時間や放課後のちょっとした時間を活用しましょう!)
●就寝前:暗記物のおさらい。次の日の目標を立てる。
忙しくてもまずはできることから。短い時間も活用して学習する習慣をつけることが大事だと思います。頑張ってください。
(東京大学 農学部 O.Y)
5. 東大生ならではの時間の使い方とは…!?
【東大生の回答】
「東大生」とは言っても、ほとんどは他の人とそれほど変わらない普通の人間です。時々「天才型」の人もいますが、大部分は「努力型」の人だと思います。
では「どういうところが違うのか」ということになりますが、周りの東大生を見ているとオンとオフの切り替えが素早く、時間を有効に使っている人が多いように感じます。
普段は遊んでばかりいるような人でも、勉強しなければいけない時にはすぐにスイッチを切り替えて勉強に集中する、常に勉強の本を携帯していてちょっとした待ち時間にそれを開いている、といった人はよく見かけます。
自分の場合は英単語帳を持ち歩いて、暇な時には開くようにしていました。その際、ただ漫然と眺めているだけでは効果が無いので「自分がちゃんと覚えているかどうか」を頭の中でテストするようにしていました。
また数学を復習する時は、授業で習ったことを確実に頭に入れるため、授業で扱われた問題をノートを見ずにもう一度解きました。その時一発で解けなかった問題はノートを見て復習し、どこでつまずいたのかを把握して重点的に勉強して自力で解けるようにしました。
最初は面倒に感じるかもしれませんが、地道な勉強法が最も効率的だと思います。日頃からコツコツと積み重ねることでいつの間にか大きな実力がついてきます。頑張りましょう!
(東京大学 理学系大学院 O.T)