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【東大生のお悩み相談Q&A】 進路選択に悩んだら…東大生が語る「人生を変える」大学受験エピソード集

2019.05.23

どの大学に進むかと同じくらい大事な「学部」選び。将来の職業に繋がる「学部」をどのように決めるのか、進路選択に悩んでいませんか?そんな受験生に向けて、高校時代や大学在学時、同じような悩みを抱えていた東大生からアドバイス!
高校時代の学習がそのまま志望学部へとつながった例から、大学入学後に自分の意志に改めて気づき、人生をやり直した壮絶とも言える例まで、貴重な先輩たちの体験談を紹介します。
東大生たちからの、「人生はいくらでもやり直せる」という力強いメッセージ。大学名と偏差値だけでなく、将来の職種や生き方まで見据えた「学部」選択について、今、ここで考えてみましょう。

1. 学校150番目の成績から東大合格!苦手からの逆転モチベーション

Q:進路選択に悩んでいます…正直、受験勉強のモチベーションも湧きません。

【東大生の回答】

東京大学のA.Iです。みなさんの参考となるよう、これまで私がどのように進路を決めてきたかをお伝えします。
まず私は、この前まで東京大学大学院の工学部で物理工学を専攻していました。
物理工学とは言うものの、私のいた研究室では、工業・産業への応用をほとんど考えていなくて、もっぱら物理現象の解明をおこなっていました。巨大な装置を使って、物質を絶対零度近くまで冷やしてみたり、ものすごく強い磁場をかけてみたりした時に、どのような反応があるのかを特殊な装置を使って調べるというもので、振り返るとかなり面白く研究させてもらえたように思います。
物理の研究と聞くと、なんだか難しいように思うかもしれませんが、そんなことはなくて、高校生からの勉強の延長線上にあるものです。使うのは、高校生の時に習った微分積分や、確率等の数学が多いですし、最先端の物理学も高校で習う物理の延長に過ぎません。ですので、私は、高校生の頃からずっと同じようなことを続けてきた、と言っても過言ではありません。
私は、高校生の頃から物理が好きだったという訳ではありませんし、特に優秀だったわけでもありません。
私の卒業した高校は、1年間で東大合格者が20人くらいのところでした。入学したての頃の自分の成績は全体で150番くらい、東大になんて到底入れるレベルではありませんでした理系を選んだのも、正直「なんとなく」というのが理由で、国語に比べて数学が少し得意だったというだけです。
最初の内は、物理も訳が分からなくて嫌いでした。ただ、嫌だと思いながらも勉強していくと、だんだんと物理の面白さが分かるようになってきました。そうすると、勉強するのも楽しくなってきて、テストの点数も上がるようになって、さらに勉強するのも楽しくなって、という良い循環が生まれました。それで、もっと物理を知りたい、研究したいという気持ちが出るようになり、大学でも物理を研究することになったのだと思います。
勉強は分からないことが多くて大変だし、遊んでいた方が楽しいことも多いです。しかし、今思えば、高校生の頃、最初は苦手だった物理の勉強に取り組み続けたことで進路が決まり興味深い研究をすることができ、面白い経験ができたのだと思います。
最初は苦しいと思いますが、勉強が楽しくなるまでの辛抱です。将来のために、みなさんも勉強を頑張ってみてください。
(東京大学 工学系大学院卒 A.I)

2. やっぱり獣医になりたい…東大卒業後に再び東大に入り直した決意と実体験

Q:大学受験の進路でその後の人生が決まるんでしょうか?…今から色々と決めなくちゃならないことが多くてとても不安です。

【東大生の回答】

実は私は1度東京大学を卒業した後にどうしても獣医になる夢を捨てきれず、再度東京大学に入り直した人間です。
周りの友人達からは「早く働けよ(笑)」とか、「暇なんだから飲み会の幹事やれよ(笑笑)」など好き放題言われていました。
私がみなさんにお伝えしたいことは、大学に入ってからでも、それこそ社会に出てからでも、進路を変更することは可能だということです。みなさんの中には(特に受験生の人は)、自分の進路に絶対的な決意を持っている人ばかりではなく、将来像を見据えられないまま大学に入学する人もいることでしょう。
私はどちらでもよいと思います。大学に入っても自分の進路が変わらず、志望した企業に就職したり、興味のある分野で研究者になったりする人は、それもよいでしょう。
一方で大学入学後、文系から理系に、理系から文系に興味が変わる人は少なからずいますし、私は変えてよいと思います。もっと極端な例を挙げれば、社会人として働きだしてから別の職種に変わることも可能です。自分の強い気持ちがある限り、進路の変更においてはできないことの方が少ないかもしれません。
ただし「やり直し」をするということは、ある程度のリスクを背負うことになる点、注意が必要です。
もし大学でカリキュラムをやり直すために留年したり、あるいはそもそも大学に入り直したりする場合、経済的な問題が生じます。
実際に私も2回目の大学生活においては、周りの経済的な援助を一切断ち切って、アルバイトをしながら必死にお金を工面しました。また、社会人として働く時期が遅れるため、同期の仲間よりも出世が遅れる、生涯賃金が下がるといったリスクもあるでしょう。
「あの時あの道に進んでいたら今は違ったかもしれないのに」という思いをずっと引きずって送る人生は、何ともモヤモヤするものです。私は「やり直し」を選択しましたが、それがすべての人にとって幸せに繋がるとは限りません。ただ、私はみなさんにいろいろな形の「やり直し」が可能であるということはここでお伝えしておきたいのです。
「やり直し」をする場合は、メリットとデメリットを慎重に勘案し、強い決意を持って実行してください。
みなさんがよりよい人生を送れることを、心からお祈りしています。
(東京大学 農学部 K.K)

3. もう一度、医師になる夢を。難関私立大学を中退して東大医学部へ

Q:夢と現実、今の成績を考えると第一志望に受かるなんて到底無理です!進路選択から見直すべきでしょうか…?

【東大生の回答】

『若いうちはいくらでもやり直しがきく。失敗を恐れずに自分が今やりたいことを一生懸命やろう』
これは私が今、最も大切にしている言葉です。
10代、20代のうちはたくさんの間違いや挫折をしても、強い意志さえあれば何度でもやり直しがきくと思っています。
私自身、進路の面で挫折して悩んで、再チャレンジすることにした1人です。今回はその経験をお伝えしたいと思います。
私は幼い頃から医師になりたいと考えていました。きっかけは、5歳の時に大きな事故で頭蓋骨骨折という重傷を負った事でした。したいことも満足にできない憂鬱な毎日でしたが、通院するうちに何か別な感情が湧いてきたのです。

「ボクのあたまをみてくれているおじさんたち、かっこいいな」
それから医師という職業に強い憧れを抱くようになりました。
ですがその後、剣道に出会ってすっかり夢中になった自分は、高校3年生の秋に、自分の学力が国立大医学部には到底及ばないことに気付かされたのです。剣道ばかりしている間に周りにどんどん置いていかれてしまったようでした。

「まあでも、剣道が強い私立大に行ければいいかぁ…」
その時はどうかしていたのかもしれません。幼い頃から抱いてきた医師になりたいという強い思いを忘れ、剣道のことしか考えられなくなっていました。結局、一浪して私立大学の薬学部に入学することにしたのです。

「よっしゃぁぁ、晴れて大学生だぁぁ」
しばらくは大学生活をかなりエンジョイしていました。
しかし、とある日、部活の帰り道、1人で電車に揺られている時、ふと頭に不安な思いが浮かんだのです。

「あれ?これから俺ってどうなるんだろ。何を目指して生きていけばいいんだろ」
現実から逃げ、楽な方の道を選んだ私は、自分の目標が無くなり、日々を無駄に過ごしていたということにここで初めて気がついたのです。それからは毎日、これから自分はどう生きるべきか、何を選択するのが正解なのか悩みました。

「やっぱ俺には医者しかないわ」
一生懸命、来る日も来る日も考え抜いて出した答えがこれでした。
医学部に進学する。大学を中退し、宅浪で1年間頑張ると決断したのです。
どうせ遠回りしたんだから、人の何倍も努力して一番難しいところに行ってやる、そう固く決意しました。大学に入ってからは全く勉強していなかったので、ゼロからのスタートです。(中退した年にも国公立大学の医学部を2校受験しましたが、当然ですが不合格)
宅浪の1年間は1日12時間以上勉強しました。誰とも会話しない、息抜きといえば睡眠くらいのものでした。今振り返ると、もう二度と経験したくない1年でした。
そんな苦しい1年を終え、私は無事、東京大学理科三類に合格することができました。合格発表で自分の番号があった時は喜びよりも、驚きが勝っていました。あの瞬間は今も忘れません。失敗することを恐れず、自分を信じて最後までやりきった結果だと思います。
自分の経験から「高校生の時に決めた進路が絶対ではない」と皆さんに伝えたいです。これから先、迷うこともきっとあるでしょうし、失敗することもあるかもしれません。それでも諦めず、二度三度挑戦してほしいです。
必ず大きいもの、小さいもの...何かしら得られるものがあると思います。そこから多くのことを学び、身につけ、自分の人生を色鮮やかなものにしてもらいたいです。
心から応援しています。ガンバレ!!
(東京大学 医学部 H.R)