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大学受験「志望理由書」の書き方と差別化のポイント ~先輩体験談と合格のためのアドバイス~

2022.02.25

推薦入試や総合型選抜入試を利用する場合、多くのケースにおいて立ちはだかる壁が「志望理由書」です。「志望理由書」と聞いても、初めは何を書けばよいか分からないかもしれません。
この記事では、実際に推薦入試で「志望理由書」を書いた経験のある先輩の体験談も交えながら、「志望理由書の書き方」について紹介します。「志望理由書の構成」や「完成までにかかった時間」など、実際に経験したからこそ分かったこともふんだんに盛り込まれているので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 「志望理由書」に欠かせない5つの要素

大学受験における「志望理由書」は、学校推薦型選抜(推薦入試)や総合型選抜などにおいて出願の際に提出する、「志望大学に自分をアピールする書類」です。大学側からしても、学力だけではわからない受験生の人間性について知ることができるという意味で、とても大切な資料と言えるでしょう。
「志望理由書」のフォーマットは各大学によって異なりますが、どの大学の志望理由書を書くにあたっても共通する「鉄則」が存在します。
まずは「志望理由書」を初めて書く上で、絶対にすべきことを5つ紹介します。

1-1. 志望理由書を書く前に「自分と社会の分析」をする

「志望理由書」を書く前に、まずは「自分」と「社会(ニュースなど)」を知る必要があります。
「これまでに自分が何をしてきたのか」を振り返り、「大学で何を学びたいのか、今自分は何を考えているのか」に結びつける作業です。分析の段階でできる限り内容を具体化しておくとよいでしょう。また学部によっては「今社会で何が起きているのか」を知り、内容に盛り込む必要があります。
なお、字数や体裁のみならず、触れなければならないテーマなど、志望理由書を書く上で大学から示されている条件があれば必ず確認し、常に細心の注意を払いつつ作成しましょう。

1-2. 「自分にしか書けないこと」を書く

「志望理由書」の作成において、最も重要なことは「オリジナル」な文章であることです。
大学のパンフレットに書いてあるような内容をそのまま書くことは「あなたが大学を志望している理由」にはなりません。
もちろん大学の教育方針等を踏まえて内容を組み立ててもよいのですが、そこでも必ず「自分」に繋げるようにしましょう。
「これまでに経験してきたこと」「自分が今何を考えているのか」「将来何をしたいのか」という3点が、「志望理由書」を作成する上で軸になります。全てにおいて「自分らしさ」「オリジナル」であることが何より大切です。

1-3. 「その大学でなければならない理由」を書く

「志望理由書」を書く際、「その大学でなければならない理由」が必要です。つまり「志望先が他の大学でも大丈夫なのでは?」と大学側に思わせないということです。
「この授業を受けたい」「この先生に師事したい」など、志望する明確な理由は欠かせません。また、大学が求める生徒像を示す「アドミッションポリシー」には必ず触れておきましょう。そのためにも、大学のパンフレットやホームページは熟読しておく必要があります。複数の理由を組み合わせてもよいでしょう。
一度大学側の視点に立ってみて、「合格させたい」と思う受験生はどんな人か考えてみてください。「この大学以外は考えられない」と言えるくらい強い理由を持ちましょう。

1-4. 「過去→現在→未来」の流れを大切に

「志望理由書」を書く際には、「過去・現在・未来」の3つの視点を踏まえることをおすすめします。
まずは「経験(過去)」「考えていること(現在)」「将来の夢・大学で学びたいこと(未来)」の要素を満たした文章を書いてみましょう。その後不足している部分などを見直し、加筆修正を繰り返して完成に近づけるという方法がオーソドックスと言えるでしょう。
もちろん学部・学科や志望理由書の条件、入試方式によってはこれが当てはまらない場合もあると思いますが、もし文章の組み立て方に困った時には、この方法を参考にしてみてください。

1-5. 添削をしてもらう

書き上げたら、必ず学校の先生などに添削してもらってください。できれば複数の先生に見てもらうとよいでしょう。
自分以外の人に見てもらうことで、これまでになかった視点から自分の志望理由書を見直すことができます。自分ではよいと思っている内容でも抜本的に見直す必要があるかもしれません。
特に国語の先生に見てもらうと、文法など細かい部分もあわせて指摘してもらえるのでおすすめです。何度も推敲して着実にクオリティを上げましょう。
また可能であれば、志望大学の学生とコンタクトを取ってみることも検討してください。実際に通っている大学生に話を聞くことで、その大学の雰囲気や魅力をより明確に知ることができます。
オープンキャンパスに行った際に気になっていることを質問してみたり、自分が通う高校の卒業生に志望大学へ通う先輩がいるか調べたりしながら情報を集め、志望理由書をブラッシュアップしていきましょう。

2. 「志望理由書」を書いた先輩の体験談

実際に大学受験で志望理由書を書いて提出し、志望大学に合格した先輩の体験談を2例紹介します。具体的な書き方に関するアドバイスも交えて掲載しますので、ぜひ参考にしてください。

2-1. 法学部 法律学科 M.O.さんの場合

●受験方式
カトリック高等学校対象特別入学試験
●志望理由書の字数
罫線の引かれたレポート用紙で厳密な文字数制限はなし(800字程度で提出)
●作成にかかった期間
1か月半(8月31日提出締め切りだったので7月中旬から書き始めました)
●完成までの過程
完成までに全部で13回書き換えました。
初稿と最終稿を比べると、将来やりたいこととして文章中に挙げていることも変化しています。これは志望理由書を書いている間に、自分のやりたいことを明確化できたからだと思います。
パソコンで字数を確認しながら書き進め、担任の先生に添削してもらっていました。夏休み期間中、毎日30分から1時間ほど志望理由書に時間を割いて、文章をブラッシュアップしました。
●志望理由書の構成

(1)冒頭:「貴学を志望する」という意思表示(現在)
(2)なぜその学部を目指したのか(過去)
(3)今までの経験をどう大学生活に活かしたいか(未来)
(4)なぜその大学でなくてはならないか(未来)
(5)まとめ:主張の繰り返し「貴学を志望する」という意思表示(現在)

(1)冒頭:「貴学を志望する」という意思表示
冒頭にはまず、自分がその大学を志望するという意思を示します。

(2)なぜその学部を目指したのか
自分の経験に基づいた志望経緯を書きました。
私には中学・高校時代に文転(理系から文系への変更)をした経験があったので、自分が文系志望に変更した経緯と理由を書きました。
ここでは、何となくその学部を目指しているのではなく、確固たる意志を持ってその学部で学びたいという思いがあること、これからの大学生活で学びたい内容・分野についての希望をアピールしましょう。とはいえ、入学前に大学での学問領域に何があるのかを把握することが難しいのは当然です。自分のわかる範囲で大丈夫なので、素直に学びたい思いを文章に落とし込みましょう

(3)今までの経験をどう大学生活に活かしたいか
それまでの経験から将来何をしたいか、ということを書きました。職業ではなく、やりたいプロジェクトを書きました。
履修したい科目に関しては、大学のホームページでシラバスを確認しても専門性が高くてよくわからなかったので、具体的な授業名は出しませんでした。
パンフレットやホームページなどを活用しながら大学について調べてみましょう。また、必ずオープンキャンパスに行かなければならないということはありません。私自身、地方出身で都心まで遠く、気軽にオープンキャンパスに参加することはできていませんでした。
最近ではオンラインでのオープンキャンパスなども企画されていることが多いので、大学のホームページや受験情報サイトを参考にして、積極的に参加してみましょう。

(4)なぜその大学でなくてはならないか
いくらその学部で学びたい思いを伝えることができても、あくまで必要なことは、その大学に入りたいという強い思いを文章にすることです。
その大学でしかできないことを考えてみましょう。私の場合は、他学部・他学科の授業が取れること、留学プログラムが充実していること、専門家を招いた講演会が多く開催されていることについて書きました。これらも、大学ホームページやパンフレットで知ることができます。分析を重ねていきましょう。

(5)まとめ:主張の繰り返し「貴学を志望する」という意思表示
最後に再び主張を繰り返します。まとめのこの部分には新しい情報を出すのではなく、主張の繰り返しのみに留めることを心がけました。

●ポイント-1:自分の過去の行動を分析
まずは自分の過去の行動を深く分析してみるとよいと思います。
志望に至った理由として、以下のような事柄を基に分析してみるとよいでしょう。
・学校生活の中の気づき
・時事問題
・課外活動や部活動での経験

●ポイント-2:経験したことを多く書き過ぎない
志望理由書を基に面接がおこなわれることが多いです。面接時に自分自身の言葉で話す方が、自分の考えが伝わることもあると思います。
志望理由書はあくまで自分の主張の概要を伝える文章として推敲し、あくまで「入口だけを書く」ことを心がけました。面接で聞かれた時に答えられるように準備をしつつ、全体が薄い内容にならないように気をつけましょう。

2-2. 文学部史学科 M.N.さんの場合

●受験方式
自己推薦入学試験
●志望理由書の字数
原稿用紙で1200字(1185字で提出)
●作成にかかった時間
半月(2週間程度)
●完成までの過程
初めて書いた時に6000字を超えてしまい、最後まで文章を削り内容を圧縮する作業が中心となりました。担任の先生に何度も添削してもらい、10回弱は書き直したと思います。最終段階には国語の先生にも見てもらいました。
●志望理由書の構成

(1)自分のことについて
将来の夢(未来)→自分の経験(過去)→その経験から考えること(現在)→具体的に何をしたいか(未来)
(2)大学と自分を結びつける
大学について魅力を感じた点→自分はそこで何を学びたいか
(3)より具体的な行動計画
入学後にやりたいこと&将来の夢と大学の学びの関連性(その大学でなければならない理由)

(1)自分のことについて
自分の将来の夢がどのような経験から芽生え、今その夢を叶えるために何を考えているのかを書きました。ここでは、その考えを基に何をしたいのか(=将来の夢を具体化したもの)と繋げ、自分のこれまでのプロセスと未来についてはっきりと示します。

(2)大学と自分を結びつける
これまでに書いてきた「自分について」と「志望する大学」を結びつけます。
大学のアドミッションポリシーやカリキュラムに触れつつ、興味のある授業名を挙げ、「大学で何を学びたいのか」をここで明確化しました。オープンキャンパスなど大学が開催するイベントに参加した経験もここで書くとよいでしょう。

(3)より具体的な行動計画
最後に(1)と(2)をまとめます。
「将来の夢」と「大学での学び」の関連性を明示した上で、「この大学以外考えられない」という強気の姿勢をアピールしました。さらに、具体的な大学入学後の行動計画も少し書き加えました。ここでは大学の課外活動と将来の夢を結びつけました。

●ポイント:二次試験での面接を意識
私の場合、一次試験の書類審査で志望理由書と小論文を作成し、二次試験では筆記試験の他に学科の先生方との面接がありました。私はその面接試験を「専門家」である大学の先生方とお話しする貴重な機会と捉えていたので、提出した書類について自分なりに徹底的に勉強し、また自分について聞かれてもすぐに答えられるようにする必要があると考えていました。
そのために「志望理由書」のみならず、「小論文」においても作成する段階で面接のことは常に意識していました。もちろん高校生なので大学側も教授レベルの回答を求めているわけではありません。これまで学んで身につけた知識をベースに自分で考えたことを、根拠とともに話すことができれば大丈夫です。

3. 「志望理由書」作成に役立つ参考書

ゼロから1カ月で受かる 大学入試 志望理由書のルールブック ゼロから1カ月で受かる 大学入試 志望理由書のルールブック
勉強法・その他
面接・推薦・AO
ゼロから1カ月で受かる 大学入試 志望理由書のルールブック
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神崎史彦
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ゼロから1カ月で受かる 大学入試 志望理由書のルールブック』(学研プラス)
「志望理由書」を書くためのヒントがたくさん掲載されている本です。
「志望理由書」は学部・学科によって性質が異なるので、内容をそのまま鵜呑みすることは危険ですが、「志望理由書に対する漠然としたイメージを具体化する」という作業には向いていると思います。パラパラと目を通すだけでもずいぶん違うと思うので、ぜひ一度手に取ってみてください。

4. まとめ

「志望理由書」を書く上でのポイントは次の3つです。

  1. 「志望理由書」を作成する前に、まずは「自分と社会の分析」をしましょう。大学で何を学びたいのか、将来何をしたいのかなどについて深掘りします。
  2. 「オリジナル」な内容であることは絶対条件。大学と自分を結びつけ、「なぜその大学でなければいけないのか」という「志望理由」をはっきりさせましょう。
  3. 「過去→現在→未来」の流れが重要です。これまでの経験から今自分が何を考えているのか、そして大学や社会で具体的に何をしたいのかを意識しましょう。

「志望理由書」は自分を大学にアピールする絶好の機会です。記事で紹介したポイントを踏まえつつ、「この大学に入学したい」という強い気持ちで書いてみてください!

StudiCoサポーター M.O. M.N.
M.O.:上智大学 法学部 合格 M.N.:青山学院大学 文学部 合格