多くの受験生が必要だとはわかっていても、なかなか立てられないのが「学習計画」です。学校で与えられた課題をやってみる、その場その場で参考書や問題集を調べてやってみる、という受験生もたくさんいますが、それが本人にとって最も効果的かどうかはわかりません。
現代の大学受験に必要な「キャリア教育」を組み込んだ指導を展開する大学受験予備校BLOOMに、“偏差値を15引き上げる学習計画”の立て方について紹介していただきました!
*執筆協力:大学受験予備校BLOOM
1. なぜ学習計画を立てるのか?
そもそも大学受験に学習計画はなぜ必要なのでしょうか。まずその理由を3つ紹介します。
1-1. 勉強する準備を整える
学習計画が必要な理由の1つ目は、「いざ勉強するぞ」と決めて机についた瞬間から、勉強を始められるようにするためです。
勉強する気になったとしても、勉強することが決まっていない中で、まずどの参考書にどのように取り組むか考えることは、なかなか大変ですよね。
こうなると、「とりあえずやってみよう」と手を着け始めるか、「面倒くさいからやめた!」のどちらかになることが多いです。
その時に芽生えがちなのは、「やっぱり自分はダメなんだ…」という気持ちです。
――しかしそんなことはありません!
大事なことは、自分がどのように勉強していくかのルートをイメージすることです。
1-2. ゴールから逆算して考える
学習計画を立てる目的の2つ目は、自分が目指すゴールに向かって頑張るために、毎日どのように行動していくかを決めるためです。
ここが決まっていないと、あいまいな行動をする日が増えてしまいます。そうなると、「頑張っているはずなのに結果が出ない」という状況に陥ってしまいます。
自分自身は一生懸命やっているつもりなのに結果が出ないというのは、とても辛いですよね。「もう勉強したくない…」と思ってしまうかもしれません。
それを防ぐためには、自分の目標達成のために、毎日どのように行動していくかを決める必要があります。そのために、学習計画を立てる必要があるのです。
1-3. 振り返りができる
全てが自分の考えた通りにうまくいくとは限りません。
うまくいかない時に有効なのは、自分に現在どのような問題があるかを明確にすることです。
この時に「学習計画表」が役に立ちます。なぜなら、自分の学習の痕跡がわかるからです。
うまくいかないことには色々な原因が考えられますが、問題解決のヒントを学習計画表から得ることができます。うまくいかない時の現状打破の方法としても、学習計画は役立つのです。
2. 実際に学習計画を立てる
まず具体的に何をするのかを決める前に、「なぜ勉強するのか」という自分の目的を明確にする必要があります。自分の目的が明確になっていないと、突然「なぜ自分は勉強しているのか」がわからなくなり、勉強をやめてしまうことがあります。
逆に、最初にしっかりと自分はなぜ勉強するのかが定まっていれば、人間は集中して物事を遂行することができます。
また、それを「いつまでにやるか」を設定します。目標と期日が決まるとそこに集中することができ、やる気も湧いてくるのが人間という生き物です。
2-1. 年間スケジュール
まずは年間計画のイメージを“逆算”で組んでいきましょう。
ここでは、「早稲田大学志望」を例に挙げます。
【1月~2月】
1月は共通テスト、2月には早稲田大学の入試本番があるので、年明け以降には計画を立てません。
【12月】
年明け以降は計画に含まないとなれば、12月末までに“やるべきこと全ての計画”を立てる必要があります。12月は内容を詰め込まず、分野別対策や最後の伸びしろの調整期としましょう。
そのためには、12月までに過去問演習に十分取り組んでおく必要があります。
【11月】
12月には面談で出願校を決定したいので、その検討材料として過去問演習に取り組みましょう!
【9~10月】
11月から過去問演習をスタートするには、10月末までに参考書の範囲の学習をすべて完了する必要があります。参考書の学習を完成しないまま過去問演習に入ると、演習後の解説がしっかり理解できず、思うように実力を伸ばすことができなくなります。
【7~8月】
6月末までに基礎知識のインプットが完了している前提での計画です。
8月末の段階で、「志望校1つ下」レベルの演習完了を目指しましょう。
「早稲田大学志望」であれば、「MARCHレベルの過去問で得点率80%を超えている」のがノルマです。
また、7~8月は全受験生が集中できる時期です。9月以降は模試などで結果を求められたり、出願が始まったりして、十分な時間が取れないと考えておきましょう。
【4~6月】
受験学年の4~6月は、「勉強のやり方」と「学習習慣」を身につける時期です。
6月末が基礎知識インプット完了のゴールになります。(「基礎」とは、例えば英語での〈単語・熟語・文法〉の学習にあたります)
以上のように志望校入試本番から逆算した年間計画を立て、「では今何をすればいいの?」という部分を明らかにしていきます。これが「偏差値を15以上引き上げる」ための計画です。
2-2. 週間スケジュール
1年間の計画が立ったら、次は「今、何をやるか」を決める週間スケジュールを立てましょう。
ここで大切な要素は次の3つです!
- 学習時間
- 学習量
- 学習内容
(1)学習時間
まず大事なのは「学習時間」です。これを算出することで、「どれくらいのペースで」勉強していけば自分の掲げる目標を「いつまでに」達成できるかを決めることができます。
部活動や課外活動で忙しい高校生も少なくないでしょう。一人一人確保できる勉強時間は異なるはずです。そのためここで大事なのは学習時間の多い少ないではなく、次の2点です。
・限られた自分の使える時間を最大限活用すると決めること
・自分の目標達成に向かって日々勉強すると決めること
「自分の使える時間=勉強時間」を正確に把握することは、学習計画を立てる上で不可欠な要素です。
(2)学習量
次に「学習量」です。自分の使える時間の中で、「どれくらいの量をこなしていくのか」を決めることが重要となります。
例えば、平日は1日5時間の勉強時間が取れるなら、次のような配分ができます。
・英語:1.5時間
・現代文:1時間
・古文:1時間
・世界史:1.5時間
――ここは得意・不得意に合わせてください。
(3)学習内容
勉強において、「どの参考書を使うのか」もしくは「教科書を使うのか」など、どのように勉強していくかを決めます。
ここで重要なのは、ただ「この参考書をやる」「この教科書をやる」と決めるのではなく、どのように、何の目的でその参考書に取り組むかを決めることです。
例えば、英語に平日1.5時間使うのであれば、以下のように具体的な計画を設定しましょう。
・模試で長文を読んでいて知らない単語が多いので、まず『英単語ターゲット1900』を30分で50単語マスターしていく
・文法の基礎レベルは完成しているが、本番では空欄穴埋め問題が出てくるので、『Vintage』の文法・語法を1日1時間(30問)ずつ終わらせる。
――他の科目も同様です。
あとは、この計画が年間計画に合致するかどうかを確認し、勉強時間の配分や量を調整しましょう。あくまで年間計画に合致しなければ、目標である大学合格から遠ざかってしまうので注意!
3. 学習計画と脳科学の融合
前章では学習計画の立て方を紹介しましたが、この計画を実行するのはあくまで人間ですので、その過程には色々なことが起きます。
例えば、「覚えたはずの内容を忘れていることに気付き、大きくやり直して計画が崩れる」などです。誰しも経験があるのではないでしょうか。
こういった“脳の動き”に対してどう策を講じるか、脳科学の見地から解説します。
3-1. 短期記憶と長期記憶
暗記した情報は「短期記憶」として脳に一時的に保存されますが、数日経つと忘れてしまいます。受験生にとっては、この「忘却」がとにかくクセモノですよね。暗記をせずに目標へ到達することは不可能なのに、忘れてしまうのが人間の脳です。
そこで効果的な方法が、脳にこの情報が重要であると認識させるような勉強です。
例えば、1週間での英単語の暗記を例にとると、「既に意味を即答できる単語」「2秒考えても意味が出ない単語」のように、できる/できないものがありますよね。いずれも即答できるように仕上げるのはもちろんですが、この時「できない単語」がまず短期記憶に入ります。つまり数日後には忘れてしまうリスクが高い単語です。
そこでまず「できない単語」には印をつけておきましょう。その上で1週間の最後2日間は「復習をする日」としておきます。
まず復習日1日目、その日までにやってきたことの30%ほどは忘れていると思ってください。この30%を脳から完全に消えてしまう前に「思い出す」のが、復習日1日目です。
復習日2日目は、前日完璧に覚えられたと思ったとしても、10%ほどは忘れています。この10%を再度思い出すことに徹しましょう。
つまりどんなに覚えにくい単語も、1週間のうちに3回は覚える瞬間があるということです。1週間で3回思い出した情報は脳が重要な内容だと判断し、長期記憶に保存されます。その結果、覚えたことを忘れにくくなるというメカニズムです。
これは単語に限らず、ほぼ全ての参考書・問題集での学習に当てはまります。したがって、インプットの際には必ず1週間のうちに3回思い出せるように学習計画を立てましょう!
3-2. 右脳と左脳の違い
人間の脳は左脳と右脳と呼ばれる2つの領域に分かれています。
一般的に、「左脳は論理的」「右脳は感覚的」と表現されます。
まず、右脳が感覚的にあれしたいこれしたいと命令を出したとします。受験生の場合は、まず勉強しなければなりませんので、右脳の命令を論理的な左脳が無視し、勉強するように身体に伝えます。
しかし、右脳もいつまでも黙っていません。無視され続けるとその反発として疲労物質を出します。これが「好きなことを我慢して嫌になる」というメカニズムです。
時には自分の好きな運動をしたり、音楽を聴いたりしてみましょう。そうすると右脳も満足して、機嫌よく働いてくれます。
「受験生が勉強以外の時間を入れていいの?」と思うかもしれませんが、この時間も含めて“計画に組み込んで決める”ことが大切です。
4. まとめ
本記事で紹介した学習計画の立て方や脳科学に裏付けられた理論を基に、大学受験予備校BLOOMでは、週間サイクルとスタディープランナーを使って学習指導を展開しています。
週に1回プロ講師とともに、「1週間の振り返り」と「次週のプランニング」を実行し、学習管理と目標から逆算した課題設定を徹底することで、1年間で偏差値を15引き上げるなど、大幅な成績アップを実現してきました。
計画を実際に組み立てて実行できれば確実に偏差値は上がるはずですが、受験生自身が全てこれらを遂行するのは容易ではありません。BLOOMをはじめとした受験のプロの力も借りながら、大学受験を成功に導きましょう。
あなたがあなたらしく輝ける人生を歩めるよう、応援しています!