多様化する大学入試において、入試方式の決定は高校生にとって関心の高いテーマのひとつ。
一方で、種類や情報の多さから、「そもそもどのような入試方式があるのかわからない」「いつまでに、どのように決定すればよいのだろう?」といった悩みも多く聞かれます。
後編の本記事では先輩たちがいつ・どのように入試方式を決めたのか、具体的な体験談を紹介します。
前編記事では各入試方式の特徴や基本情報を紹介していますので、こちらもあわせて参考にしてください。
>> 【入試方式選択・前編】大学受験における各入試方式の特徴と選択のヒント
1. 【一般選抜】いつ・どのように入試方式を決めた?大学生の体験談
1-1. 体験談(1)「自分の得意不得意、志望状況に照らし合わせて決定」
1-2. 体験談(2)「合格できる確率をできるだけ上げられる入試を選択」
1-3. 体験談(3)「進学の選択肢を広げるために一般入試を選択!」
2. 【指定校推薦】いつ・どのように入試方式を決めた?大学生の体験談
3. 【公募推薦】いつ・どのように入試方式を決めた?大学生の体験談
3-1. 体験談「国立大学の受験回数を増やせる入試方式を選択」
4. 【総合型選抜】いつ・どのように入試方式を決めた?大学生の体験談
1.【一般選抜】いつ・どのように入試方式を決めた?大学生の体験談
1-1. 体験談(1)「自分の得意不得意、志望状況に照らし合わせて決定」
(Yさん 早稲田大学 合格)
【入試方式決定までの流れ】
高1の夏ごろ:複数の大学のオープンキャンパスに参加。いくつかの私立大学の雰囲気に惹かれました。
高2の夏ごろ:一般入試/私立専願の入試方式にほぼ決定。
高2の冬ごろ:受験勉強開始。志望校の入試で使う3教科の中では、比較的苦手意識があった国語(現代文)から対策。
高3の5月:部活引退。本格的に受験勉強をスタートしました。(6月までは英検対策がメイン)
【入試方式の決め手】
得意教科(文系)と苦手教科(理系)がはっきりしており、自分の得意教科のみで受験できる一般入試が適していると考えました。推薦入試の多くは高校の内申点も選考対象となるので、苦手教科でも継続的に結果を出す必要があるのは自分には負担が大きいと考えました。
また、学校推薦型選抜・総合型選抜は基本的に併願ができないため、受験するには志望校を1つに決める必要がありますが、この頃にはまだ第一志望校を決め切れていませんでした。
その点、一般入試(私立大学の場合)は、日程が被らなければ複数の大学を併願できる点にメリットを感じました。
1-2. 体験談(2)「合格できる確率をできるだけ上げられる入試を選択」
(Yさん 東京学芸大学 合格)
【入試方式決定までの流れ】
私立大学に通うことが現実的ではなかったため、はじめから国立大学のみで考えていました。
高1:学びたいことはある程度定まっていましたが、志望校は決まっていなかったため、夏にオープンキャンパスに参加したり、大学のホームページを見たりと、さまざまな大学を検討していました。
高2:春休みには志望校も決定し、一般入試で受験することも確定。前期日程・後期日程両方に出願する事もこの頃から何となく考えていました。2年の秋頃から徐々に受験勉強を開始しました。
高3:夏休み後半から本格的に共通テストや二次対策の勉強を始めました。前期日程は自分が本当に行きたい大学、後期日程はそれよりもランクを落とした大学に出願しました。
【入試方式の決め手】
出身高校自体が一般入試で受験する生徒が圧倒的に多く、自分自身もその流れに沿って一般入試での受験を選択しました。
国立大学は何校も受験することができないので、合格できる確率を上げるためにも前期日程だけでなく、後期日程にも出願しました。後期日程で出願した大学は入試が〈共通テスト+面接のみ〉で、共通テストも得意な英語の配点が高かったため、受かる確率が高いと見込んでいました。
※国立大学の後期日程は前期日程と同じ時期に出願しておく必要があるので注意しましょう。
1-3. 体験談(3)「進学の選択肢を広げるために一般入試を選択!」
(Kさん 早稲田大学 合格)
【入試方式決定までの流れ】
高1の春ごろ:3歳年上の兄が大学に一般入試で合格したことに影響を受けて、自分も勉強に打ち込めば志望校大学に進学できるのだと漠然と感じました。
高1の夏ごろ:複数の大学のオープンキャンパスに参加しました。特定の大学への志望度はそこまで高くありませんでした。
高2の冬ごろ:受験勉強スタート。日本史が好きだったので、歴史系の勉強ができそうな文学部を受験しようと考えました。推薦入試よりも受験勉強に打ち込んで成績を伸ばした方が、自分の志望する大学・学部の選択肢が広がると考えていました。
【入試方式の決め手】
受験枠の決まっている推薦入試を通過するよりも、成績を伸ばして一般入試を目指す方が進学できる大学・学部の選択肢が広がると感じました。
また、兄や周りの友人が一般入試で大学受験していたため、あまり推薦入試のことは考えませんでした。
2.【指定校推薦】いつ・どのように入試方式を決めた?大学生の体験談
2-1. 体験談「成績と自分の性格から指定校推薦を選択」
(Iさん 東京理科大学 合格)
【入試方式決定までの流れ】
高1:大学進学を考えていましたが、大学でどのような分野を学びたいかを決められず目標を持たずに勉強をしていました。高校が理系の学校だったので漠然と理工系を考えていました。また、推薦制度を活用する生徒が多い高校だったので推薦も少し視野に入れていました。
高2の春ごろ:高校の卒業研究をおこなう中で経営(社会科学)に興味を持ち、文理融合系の学部学科を探すようになりました。
高2の2月:前年までの指定校推薦枠に自分が気になっていた大学の学部学科を見つけ、指定校推薦を本格的に視野に入れました。
高3の夏ごろ:それまでの総合的な成績を見て、指定校推薦を選択することを決めました。
【入試方式の決め手】
自分が気になっていた学部学科が指定校推薦枠にあったことが決め手です。学ぶ内容はもちろん、キャンパスの立地や大学の雰囲気などの点を含めて、ぜひ通いたいと思っていた大学・学部学科でした。
指定校推薦は校内選考を通過すれば、志望大学に進学できるところが良かったです。数回の試験の結果で合否が決まる一般入試よりも、今までの成績で判断される指定校推薦の方が自分の性格に合っていると感じました。
また、担任の先生との面談を重ねる中で、校内選考を通過できる自信が持てたので、安心して入試方式を決めることができました。
3. 【公募推薦】いつ・どのように入試方式を決めた?大学生の体験談
3-1. 体験談「国立大学の受験回数を増やせる入試方式を選択」
(Kさん 名古屋大学 合格)
※公募推薦は共通テストを課す場合と課さない場合とで日程が大きく異なり、こちらは共通テストを課す方式で受験した先輩の体験談です。志望校の入試方式情報も必ず確認してください。
【入試方式決定までの流れ】
高2:志望学部を教育系に絞りました。各大学の教育系学部の情報をウェブサイトや公開シラバスを閲覧して収集していました。
共通テスト後:一般選抜に加え、学校推薦型・公募推薦入試も受験することを決定。担任の先生から「公募推薦なら受験の機会を増やすことができるよ」と進路指導で言われたことがきっかけになりました。
【入試方式決定後の対策】
共通テストまでは国立大学一般選抜の対策のみ、共通テスト終了後は一般選抜と並行して公募推薦入試の対策に取り組みました。
また、併願した私立大学の対策として、国・数・英の過去問を3~5年分解きました。国立大学二次試験の対策としては、名古屋大学の過去問に取り組みました。
一方で、公募推薦入試のために志望理由書を書き上げ、2日に1回90分ほど高校の先生と面接練習をしました。1日1題小論文の対策に取り組み、〈学校の先生による添削→次回の面接までに修正〉のサイクルを繰り返していました。
【入試方式の決め手】
公募推薦と一般選抜による併願で、受験の機会が2回になり、チャンスが増えると考えたからです。
受験期までに積極的に課外活動(例:日韓文化交流の海外研修・学内プレゼン発表会入賞)をしていた経験があったため、公募制の学校推薦型選抜を目指す後押しとなりました。
また、進路指導の先生からおすすめされたことも、公募推薦入試を選んだ決め手のひとつです。
4. 【総合型選抜】いつ・どのように入試方式を決めた?大学生の体験談
4-1. 体験談「自分の強みを生かして、チャンスを増やせる入試方式に!」
(Rさん 早稲田大学 合格)
【入試方式決定までの流れ】
高1の9月:早稲田大学・慶應義塾大学の受験を視野に入れ始めました。
高2の3月:総合型選抜の受験を決定。志望校は既に固めていたので、それまでは大学のパンフレット、noteやブログ、SNSを利用して総合型で受験できる学部や、試験情報を集めていました。
【入試方式決定後の対策】
基本的には一般入試の対策をしていました。
高3の4月~8月は、一般入試の対策中心で総合型選抜の対策は月に1回程度でしたが、9月以降は総合型選抜入試が近くなってきたため、週に1回程度に対策の時間を増やしました。
高3の10月は総合型選抜の直前期ということで、毎日小論文の対策に集中。
共通テスト後は自己採点をおこない、一般選抜の対策に切り替え。そこからは猛烈に一般入試の対策を進め、勉強時間は1日に12時間程度とかなり過酷でした。
また、一般入試では英検利用型入試も積極的に利用しました。これによって英語の対策に割く時間を他の教科の勉強に回すことができ、入試方式の対策を切り替えた後の限られた時間で効率的に勉強を進められました。
【入試方式の決め手】
通っていた高校が総合型選抜での受験を推奨しており、担任の先生からも「選択肢を広げるなら受けてみたら?」という助言をもらいました。
また、志望校の総合型選抜入試は、「小論文が得意」という自分の強みを生かせる入試方式でした。
早稲田大学か慶応義塾大学に進学したいと考えていて、1回でも受験機会を増やしたかったというのもあります。
5. まとめ
最後に、大学受験の入試方式を選択する上で、先輩たちが重視した点を振り返ります。
- まずは第一志望を軸として入試方式を絞る
- 自分との相性、メリット・デメリット、出願時期などもしっかり確認する
- 複数の入試方式を利用する場合は、両立可能なスケジュールもしっかりと計画しておく
どの先輩もそれぞれの志望校や自分の状況に合わせて、入試方式の選択と勉強スケジュールを工夫していましたね。先輩たちの経験談も参考にしつつ、自分の目標に合った入試方式を見つけてください!