受験勉強をしていると突如やってくる「やる気が出ない」時期…。モチベーション不足だけでなく、漠然とした不安に襲われることもありますよね。あるいは、志望校・志望学部を決めてから「そもそも本当に自分はこの大学に行きたいんだろうか、この学問を学びたいのだろうか」と、目標自体を迷い始めるといったこともあるかもしれません。
勉強を頑張っているからこそ訪れるこれらの問題を、現役大学生が受験生時代に実践していた「やる気を出すためのコツ」も参考に解決しましょう。受験勉強のモチベーションアップを上げて、さらにそれをキープしていくためのヒントとなる考え方を紹介します。
1.モチベーションが低下してしまったら
「どうしてもやる気が出ない」「なんでこんなに勉強しなきゃいけないんだろう…」「来月試験があるのに急に勉強する気がなくなった…」――毎日忙しい中で受験勉強を続けていれば、そんな風に感じてしまうこともありますよね。受験生であれば誰でも一度は通る道と言えるでしょう。
「勉強しなくちゃいけないのはわかっている。わかっているのに行動できない」という時、どうすればやる気を絞り出すことができるでしょうか。受験を成功させた大学生たちの体験談を基に、モチベーションがどん底になってしまった時に抜け出す方法を見ていきましょう。
1-1. 自分の目標を見直してみよう
やりたいことや将来の展望がないと、「やる気が出ない・やる気を維持できない」という問題はくすぶり続けますよね。実際に大学生の先輩たちはどう克服したか、聞いてみました。
勉強する目的を明確に持つことがおすすめです。「なぜ就職ではなく、大学進学を目指すのか」「どうして〇〇大学が第一志望なのか」「大学に進学して何をしたいのか」等々、自問自答を繰り返し、自分なりに納得のいく結論を出すことで、やらなければならないことも明確になり、自然と勉強に対するモチベーションが湧いてきました。
(Y.H.さん/中央大学理工学部)
自分一人では答えを見いだせない場合は、友達や先生、親など周りの人に頼って相談に乗ってもらうのもおすすめです。自分が何を目指していたのかを思い出すと、自然とそれに向かって進もうとする気力が湧いてきたり、目標を初めて設定した頃の“わくわく感”を思い出したりするはずです。また、そうした目標を忘れないように、紙に書いて見やすいところに貼っておく、志望校のキャンパスまで足を運んでみる、合格した先輩の体験記を読んでみる、というのも有効でしょう。
1-2. 大学入学後の目標が決まっていなくても…
一方で、まだ受験勉強の明確な目標が立てられていないといったこともあるかもしれません。
そのような時、特に周りに明確な夢や目標を持ち、それに向かって邁進している友人などがいると、その人と自分を比べてしまい、「自分はダメなんだ」という劣等感や焦りを感じてしまいがちです。
大学入学前の時点で、大学で学びたいことや将来やりたい仕事などが決まっていない人も多いのが実情ですが、そんな人は次のように考え方を変えてみてはどうでしょうか。
「自分が何を学ぶか、将来どのような仕事をするかについて考えるのは、いったん先延ばしにしよう。少なくとも、大学に進学したいという気持ちはあるのだから、まずはその目標に向けて前に進もう。」
そもそも、自分が何をしたいのか、あるいはどんなことが好きなのかということさえ、まずは色々なことを知ったり、やってみたり、学んでみたりしてからでなければわからないものです。受験勉強を通じてさまざまな科目・分野を学ぶのも、そのための重要なプロセスです。
「**を学びたいから**大学に行く」と将来に続く明確な意志があるのも素晴らしいロードマップですが、「何がしたいかを見つけるために大学に行く」としか今は考えられない自分を肯定的に捉え、数か月、数年後の「受験に合格すること」そのものを目標にして突っ走ることができるのも、高校生ならではの特権です。
1-3. 入試が終わった後の自分をイメージしてみよう
大学受験に合格して喜ぶ自分の姿や、楽しみにしていた大学生活が始まるところを思い浮かべれば、なんとしてもそれを実現したいという気持ちが高まるのではないでしょうか。
…とはいえ、高校生に大学生活の実際のイメージはつきにくいですよね。「入試後の自分をイメージしてみる」というのは、具体的にどのようなことでしょうか。大学生にアドバイスを聞いてみました。
受験勉強のやる気を失った時、私は行きたい大学の「授業内容」「留学制度」「大学周辺のごはん情報」などを調べるようにしていました。行きたい大学で学びたいイメージをつけることは、推薦入試対策にも役立ちます。
また、大学周辺の地理を調べることで、オープンキャンパスや受験当日に少し安心して大学に行くこともできるというメリットもあります。
やってみたいサークルを調べて、大学4年間にどんな楽しいことがあるのか思いを馳せてみるのも、息抜きになるのでおすすめです。
(M.O.さん/上智大学法学部)
受験生の今から大学入学後の楽しみを想像してみましょう!
大学生のリアルライフについては、これらの記事にもまとまっていますのでぜひ読んでみてください。
>> 【大学生活】現役大学生のリアルな1日のスケジュール!~授業のある平日編~
>> 【大学生活】現役大学生の「時間割」を大公開!~高校とは全然違う?大学での“学び方”~
>> 【大学生活】現役大学生のリアルな休日の過ごし方 〜サークル?遊び?…それとも課題?〜
1-4. 勉強の合間にリフレッシュをしてみよう
受験勉強に精を出す時期は、学校や塾と自宅との往復といった代り映えのない日々が続きがち…。どこかに出かけたくても、勉強をしなくてはならないという強迫観念に襲われるなど、苦しい思いを感じることもありますよね。そのような時、先輩たちはどのように対処していたのでしょうか。
高校時代、やる気を失った時は一度勉強から離れて思いっきり遊ぶか、音楽を聞いていました。
受験勉強をしていると、ずっと勉強をし続けなければ周りに置いていかれてしまうような感覚になることもありますよね。ですが、一度勉強から離れて非日常の体験をしてみるのも、かえって勉強が捗るきっかけになることもあります。
受験の天王山の夏休みや直前期の冬休み、数時間でも単語帳やスマートフォン、全てから解放されてリフレッシュしてみると、かえってその後の勉強に集中できるようになりました。
また、もう1つのおすすめは、休憩時に音楽を聞いて自分を奮い立たせることです。かっこいい系の映画のサントラや盛り上がるゲーム音楽などを聞いていると、自分が主人公になってすごいことをしている気分になっていました。
(Y.T.さん/お茶の水女子大学文学部)
受験勉強を続けるコツは“メリハリ”。非日常を取り入れることで勉強の合間の楽しみを増やしてみましょう!
2. モチベーションを下げないコツ
モチベーションが下がった時にそこから抜け出すことも大事ですが、そもそも日常的にモチベーションが下がらないようにしたいものです。どうすれば普段から勉強のやる気を保つことができるでしょうか。
2-1. 体調管理に気を配ろう
人は、小さな要因が引き金となって簡単に気分が浮き沈みすることが知られています。
睡眠不足によるだるさなども、誰もが一度は経験したことがあると思います。「人は些細なことがきっかけでコンディションが悪化するものだ」ということを予め知っておくべきです。
気分が乗らなくなりそうな時は、いつもより勉強の分量を減らしたり、基本的な練習問題をやるにとどめたり、自分にかける負荷を調節してみましょう。
また、「毎日同じ時間に起きて同じ時間に就寝する」といったルーティンワークを取り入れるのも効果的です。
一見大したことのないように思える要因でも体調や気分はすぐに落ち込み、そのような時に考えごとをすると、思考はネガティブな方へと向かいやすくなってしまいます。もし睡眠不足で体調がすぐれないと思うなら早めに寝るなど、健康第一を心掛けてくださいね!
2-2. 見通しを立てて日々のタスクを可視化しよう
手帳にToDoを書き出し、タスクを可視化してみましょう。まずは、やるべきことを書き出し、いつまでに終わらせるかを整理することが大切です。
ToDoリストを作る際は、各メモの頭に四角マークを書き、チェックボックスのように利用します。1日のタスクが終わるとチェックボックスを消化できるので、達成感を得ながら日々の成長を実感できますよ。
また、タスクには必ずしも勉強だけでなく、気分転換としての「運動」を組み込んでみるのもおすすめです。部活を引退してしまった人でも、自分が打ち込んでいたスポーツに久しぶりに取り組んでみたり、ウォーキングやヨガなど軽い運動をプラスアルファで取り入れてみたり――。勉強をしている間に凝り固まった身体をほぐすこともできますよ!
さらに、タスクを消化するごとに小さなご褒美を用意してみるのはどうでしょうか。例えば、「コンビニスイーツを買う」「映画を1本見る」など、自分の頑張りを形にして称えてみるとよいかもしれません。
2-3. 1人で抱え込まず誰かと一緒にシェアしよう
1人で黙々と勉強することも大切ですが、時には周りと「受験勉強をシェア」することで、普段の〈家勉〉にはないメリハリが生まれることもあります。
自分の性格を熟知し、やる気を高めるための「シェア」を実践していたという大学生の声も。
記述問題の添削を担任の先生にお願いしたり、友達と一緒に英単語の問題を出し合ったりしていました。
問題を添削してもらうと返却時に改善点や良かった点などフィードバックしてもらえるので、「ここ褒められて嬉しい!」や「ここを間違えちゃって悔しい」といった感情が湧いてきます。その感情をモチベーションにしてみましょう。
また友達と一緒に問題を出し合うと、間違えた問題などがあった時に悔しさを味わえます。負けず嫌いを発揮する人は、さらに勉強をするやる気になるでしょう。
誰かと一緒にやることで、自分1人でやった時よりも強く「できた・できなかった」を感じることができますよ。
(Y.T.さん/お茶の水女子大学文学部)
2-4. 他人とではなく自分自身と戦おう
一方で、他人と競い合い過ぎてしまうことには要注意です。
受験には、他者との競争という側面が確かにありますが、それは合格圏内に成績が達してからの問題。自分と他人を比べるよりも、まずは、自分自身が目標レベルに到達できるかどうか、昨日より今日の自分の方が成長しているかに視点を置いて過ごす方が健康的です。
勉強が得意だったり運動が得意だったり、持って生まれた素質や才能は人それぞれです。
スタート地点で、誰かが誰かより有利だったり不利だったりするのは当たり前で仕方のないことですが、色々な制約があっても、ベストを尽くせば自分自身の成長は可能。それをよろこびとすることの方が、はるかに幸せな気持ちになれることでしょう。
視点を変えることで損することは何もありません。他人と比較し過ぎるのではなく、自分には何ができるか、何をすべきかを考えることを心掛けましょう。
3. 不安との向き合い方
モチベーションを上げて維持する――その方法は色々とあれども、大学受験に関しては人生の一大イベントですから、やはりどうしても漠然とした不安は襲ってくるものですよね…。
その「不安」との付き合い方について、もう一度考えてみましょう。
不安とは、漠然としたまま放置しておくと、非常に厄介な「敵」のように思えるものですが、しっかりと正面から向き合って、冷静に対処すれば、「なんだ、自分はこんなことで悩んでいたのか」と、気持ちが軽くなったり、むしろ糧にできたりすることもしばしばです。
不安を解消するためには、次の3つのステップを踏むことが有効です。
- 紙に書き出すなどして、具体的に「何が不安なのか」をはっきりさせる
- それぞれの不安にどう対処したらよいかを考える
- 可能なものはすぐに対処法を実行する
特に難しいことはなくシンプルですね。
もちろん、これですべての不安が雲散霧消するというわけではありませんが、モヤモヤとした不安の原因をさぐり、対処法を考えることで、漠然としたネガティブな気持ちを減らすことができるでしょう。
「人事を尽くして天命を待つ」ということわざがあります。「人としてできることは全てやり、あとは運を天に任せて、結果が出るのを待つ」という意味です。
できることは全てやって、それでも100%満足のいく結果が得られない場合もあると思いますが、「目標に向かって全力を尽くした」という経験は残りますし、その経験はその後の人生の様々な局面で活かすことができるものです。
すべての不安を完全に取り除くことは不可能です。最善策はただ1つ、自分に可能な範囲でベストを尽くす、それだけです。それだけですが、やるのとやらないのとでは雲泥の差が生じます。そして、自分の力ではどうにもならないような不安については、気にしない・考えないようにするということも大切です。
このことを簡潔に言い表した、米国の詩人ロバート・ヒルヤーの言葉を引用します。
“Perfectionism is a dangerous state of mind in an imperfect world. The best way is to forget doubts and set about the task in hand…[中略] If you are doing your best, you will not have time to worry about failure.”
(完璧主義は、この不完全な世界にあっては危険な心の持ちようです。最善策は、不安を無視し、目の前にある課題に取りかかること。全力を尽くしているなら、失敗を気にする暇などないでしょう。)
― Robert Hillyer
4. まとめ
やる気が出ない日や何もかもがうまくいかないように感じられる時期、つまり「スランプ」というのは誰にでも訪れるものです。受験勉強中にネガティブな気持ちに襲われたなら、その気持ちの原因をさぐってみましょう。大学に入学したい気持ちが強いならば、今はその夢に向かって真っすぐに進める、輝かしい時期でもあるはずです。この記事で紹介した大学生たちからのアドバイスも参考にしながら、どうか大学受験をしなやかに乗り切ってくださいね!StudiCoは日々ひたむきに頑張っている受験生を、心から応援しています。