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大学入試の過去問は「いつから」「何年分」解く? 最大活用のための年間スケジュール

2023.05.09

大学入試の対策において必要不可欠な「過去問」演習。「過去問を解いてみたけど、いまいち有効活用できていない気がする」「いつ、どのように過去問を使えばよいのかわからない」など、勉強法に悩むことも多いはず。
志望校合格のための最強アイテムである過去問の使い方や、時期ごとの勉強法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください!

1. 大学入試過去問の使い方

過去問で勉強する最大のメリットは、何よりも「過去に実施された試験の問題を解ける」という点にあります。過去問からは出題の傾向や“くせ”、自分との相性など、試験を受ける上でとても大切な情報がたくさん手に入ります。さらに、問題を解いて実際に得点に換算することで、自分の志望校合格までの距離もわかります。過去問は、合格に近づくために欠かせないツールなのです。
以下、過去問を解く上での一連の流れをまとめたので、参考にしてください。

  1. 問題を解く前
    過去問を解く際には毎回目標を立て、目的意識を持って取り組むことが重要です。初めて解く時は「出題の傾向をつかむ」、直前期は「合格点以上を得点する」などと、時期ごとに達成すべき目標を考えてみましょう。
    目標設定のために、その大学の合格最低点や、科目配点などを事前に調べておくことも大切です。
  2. 問題を解く時
    問題を解く順番や時間配分を意識して、自分の解きやすい順番や効率の良い時間配分を見つけましょう。
  3. 問題を解いた後
    自己採点をして、自分の得意・不得意な問題の分野・形式などを分析しましょう。
    また、解き直しをおこない、間違えた問題を復習することで自分の苦手をつぶすことが重要です。
    最後に、事前に設定した目標が達成できたか振り返りましょう。

2-1. <基礎固め時期>3月~7月

この時期は基礎固め中心の勉強になります。復習や苦手の克服に注力し、過去問を解くための土台となる基礎力を磨きましょう。加えて、この時期に志望校の過去問を1年分解いておけば、早めに出題傾向を把握することもできます。志望校の出題傾向に対する課題を把握し、今後の勉強計画を立てる上でのマイルストーンにしましょう
最新年度の赤本(※)は、例年5月から11月にかけて販売が開始されます。早めに志望大学の問題形式を確かめたい場合は、前年度の赤本を3月までに購入しておくようにしましょう。なお、古い年度の過去問を入手したい場合、「先輩などから譲ってもらう」「学校・塾で探す」といった方法もあります。
いずれにせよ遅くとも需要が高まる秋になるまでに、購入する年度・大学などを決め、自分に必要な赤本を準備しておきましょう
※「赤本」…大学別の入試過去問集。出版社の教学社から刊行される過去問集は表紙が赤いことから「赤本」と呼ばれる。

2-2. <基礎固め完成期>8月

8月は最後の基礎固め、総復習の期間です。9月以降は過去問や模試といった演習が増えてくるので、なるべく8月のうちに基礎を仕上げておくことが大切です。
特に国公立大学や難関私立大学を受験する場合は、8月から「共通テスト」(旧「センター試験」を含む)の過去問を解くこともおすすめします。共通テストでは基礎力が問われるので、国公立大学二次試験や個別入試の応用的な過去問を解く前に、今まで培ってきた基礎力を実践的に復習することができます。

2-3. <過去問演習スタート期>9月・10月

夏休みが明けたら、過去問をコンスタントに解いていきましょう。入試直前期に「思ったより過去問が解き切れていない」という状況になってしまうことを防ぐため、この時期から少しずつ取り組めると安心です。
頻度としては、週に1日「1年分の過去問演習」と翌日の「解き直し」で、合計2日間取り組むことをおすすめします。過去問を解いたら必ず解き直しをおこなうことを、忘れないようにしましょう。
解き直しの手順としては、まず間違えた問題をチェックしてノートなどにまとめます。その上で、「なぜ間違えたのか」「どこで間違えたのか」を見直し、間違えた原因となる箇所について、それまで使ってきた参考書やノート・教科書に戻って復習することが大切です。解き直しによって自分の苦手な分野や出題形式などの傾向を分析することができるため、目標に向けての課題を明確にすることができます
ただ、まだ習い終えてない範囲がある、基礎固めや復習が終わってないという場合は、無理に過去問に手を出さず自分の課題消化を優先しましょう

2-4. <過去問演習本格期>11月・12月

11月以降は、本格的に過去問演習に取り組みましょう。「1週間に最低2年分取り組む」などと計画を立て、取り組む頻度もペースアップしていくことをおすすめします。
さらに、この時期には併願校の過去問にも取り組みましょう。併願校の過去問を解くことで、自分の問題との相性や傾向を改めて把握することができ、併願校選びにも役立つため、本番直前ではなくこの時期に取り組むことをおすすめします。
「問題との相性が悪く、志望校よりも点数が取れない」「志望校と問題形式がかなり異なり、新たに併願校のための対策が必要になった」など、今後の学習計画や受験予定に大きく影響する場合もあるため、この時期から併願校選択における改善点を早いうちに見つけておきましょう。

2-5. <入試直前期>1月・2月

年が明けたら、いよいよラストスパートです!1月の初めは、共通テストに向けて最終調整、共通テスト後は気持ちを切り替えて私立大学の個別入試や国立大学二次試験の対策に集中しましょう。
過去問を自習室など公共に近い場所で解いたり、試験日程の時間通りに解いたりと、本番に近い環境・状況で問題を解く日を設けることも意識してください。
また、この時期は試験が間近に迫っており、少しのミスでも動揺して落ち込みやすい傾向にあります。そのため新しい過去問ばかりではなく、1度解いたことがある2周目以降の過去問に取り組むことで「解ける」感覚をつかみ、試験に対する自信をつけることも効果的です
過去問の解き直しの際も、いわゆる悪問と呼ばれる難問に囚われ過ぎず、頻出事項や基礎問題の復習を優先しましょう。完璧を目指すのではなく「1点でも多く得点する」という心の持ちようが大事です。

3. 過去問を解く際の注意点

3-1. 過去問演習の時期

これまで過去問活用のためのスケジュールを時系列順に解説しましたが、一番大切なことは自分に合った時期を見きわめて取り組むことです。その基準は、勉強の進度や志望校(国公立大学 or 私立大学、難易度など)によって変わります。
特に国公立大学を志望する場合、共通テストと二次試験の比重などからも優先順位が変わります。科目ごとの配点比重によっては、力を入れる科目にも優先順位を付ける必要が出てきます。過去問を最大限活用するためにも、「いつからどの過去問を解くか」も意識するようにしましょう。
また、過去問を解く期間を十分に確保するためにも、しっかり逆算して勉強計画を立てておくことが大切です。

3-2. 取り組む過去問の分量

過去問を繰り返し解いてその大学の出題形式や“くせ”をつかむことで、内容理解を深めるほかにも問題に「慣れる」ことができるといったメリットがあります。そのため、質だけでなく量にも意識して取り組むことが大切です。
第1志望は10年分以上、第2・3志望は5年分以上、併願校は3年分以上を解いておくと安心とされていますが、時間に余裕がある限りなるべくたくさん解くことをおすすめします。また、安全圏の併願校であっても、過去問を解かずに本番に挑むのはとても危険です。問題内容や出題形式を把握するためにも受験する全ての大学・学部の過去問に必ず取り組むようにしましょう
演習量を確保する方法としては、志望と異なる学部であっても、同大学で出題傾向が似ている場合は解いてみるといったチャレンジもOK。ただし、古い年度の過去問だと出題傾向・範囲が変わっている場合もあるため、最新年度の問題と照らし合わせる、インターネットの専用サイトなどで出題傾向の情報を確認するなど、注意を払っておきましょう。

4. 過去問を利用できるサービス

費用がかさんだり、ほしい年度の問題が見つからなかったりと、十分な量の過去問をそろえることはなかなか大変です。以下に紹介する過去問提供サービスも上手に活用しながら、賢く入試対策を進めてください。

入試正解デジタル』(旺文社)

無料での会員登録をおこなうと、全国 200大学以上の入試過去問を1ヵ年分利用できます。問題と解答だけでなく解説も付いているため、自学での復習にも最適です。
様々な大学の過去問を利用できるため、志望大学の出題傾向を把握できるだけでなく、併願校選びにも役立ちます。
さらに、有料のプレミアムプランに登録すれば、複数年度の過去問も利用できるようになり、さらに豊富なコンテンツでの演習で入試対策が捗るようになります。

過去問データベース』(東進)

最大28年分の入試過去問を利用することができます。大学や学部にもよりますが、かなり多くの年度の過去問が利用できるので、「苦手な形式の大問だけ〇年分解く」など部分的な対策に利用することも可能です。

5. まとめ

過去問を活用した大学入試対策の年間スケジュールについて、要点を振り返ります。

<基礎固め時期>3月~7月‥‥基礎学習を中心に志望大学の過去問で目標までの距離を測る
<基礎固め完成期>8月‥‥最終的な基礎固めに力を入れつつ、共通テストの過去問にも徐々にチャレンジ
<過去問演習スタート期>9月・10月‥‥志望校の過去問演習スタート。自分に合ったペースで!
<過去問演習本格期>11月・12月‥‥本格的な過去問演習に取り組みながら、併願校選びも
<入試直前期>1月・2月‥‥過去問を解き直して最終調整。細かいミスには囚われず自信をつける!

「過去問」は志望校合格に近づくための最強アイテムです。
自分に合った時期、分量を見きわめつつ、入試対策に最大限活用してください!

StudiCoサポーター Y.K.
早稲田大学 文学部合格