本格的に受験勉強をおこなうようになると、平日でも2~3時間の勉強は当たり前となり、休日ともなると5~6時間、人によっては10時間くらい勉強する、という人もいるでしょう。
毎日、これだけ長い時間を集中して過ごすためには、それにふさわしい環境を探す必要があります。
この記事では、色々な勉強場所の長所と短所を整理しながら、勉強への集中力を阻害する要因や、勉強場所にこだわりすぎることのリスクも合わせて見ていきます。
勉強場所に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
1. どこで勉強するのが理想?
勉強するのに適した場所とは、自分が最も集中できる場所です。
完全な無音状態の環境が一番集中できるという人もいれば、周囲に多少雑音があったほうが集中できるという人もいます。ひとりきりでないと勉強できないという人もいれば、家族や友人が近くにいる環境の方が捗るという人もいます。
したがって、自分にとって理想的な勉強場所を見つけるためには、まず、自分が集中しているのはどのような条件が揃っている時なのかを考えましょう。そして、勉強する時には、できるだけその条件が揃うような環境を常に確保しておきたいところ。一般的に勉強にふさわしいとされる場所を見ながら、自分に合った環境を探っていきましょう。
2. スタンダードな勉強場所
2-1. 自分の部屋
自宅に自分の部屋がある場合は、それが最も手近な勉強場所となるでしょう。
メリットはたくさんあります。
お金もかかりませんし、教科書・参考書類から筆記用具まで、勉強道具は揃っているはずです。必要な時に飲み物や食べ物をとるのも自由。最大のメリットは、移動時間がゼロであるという点です。これは決して侮れない大きな長所です。
「移動にかかる無駄な時間を省けるから」ということもありますが、むしろ、「”よし、勉強しよう!”と思い立ったら即座に勉強を開始できる」という点がメリットとして特筆できます。
自分の勉強場所をカフェや図書館などに固定してしまうと、勉強できるのはその店や施設の営業日・営業時間に限定されます。
勉強しようと思った時にすぐ勉強が開始できる。これが他の場所にはない、自宅ならではのユニークな点です。
同時に、自分の部屋は、最も“誘惑”の多い環境でもあります。
集中力が切れた時に、ふと漫画を手に取りそのまま1時間読みふけってしまった… 「ちょっと休憩」と思ってベッドに横たわり気づいたら朝だった… なんてことが起こるのも自宅ならではの”アクシデント”です。
自宅は、リラックスしようと思えばいくらでもリラックスできる環境なので、集中して長時間勉強するには自制心が求められる場所とも言えます。
2-2. 自宅のリビング
自分の部屋ではなく、自宅のリビングなどで勉強をするという人もいるのではないでしょうか。
「家族がいたりテレビが点いていたりして、集中できないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実はメリットもあります。
先ほど触れた自宅ならではのメリットが共通しているのに加え、近くに人(家族)がいるので、ほどよい緊張感を保つことができるのです。自室とリビングを、その時の気分によって上手に使い分けるというのも賢い方法でしょう。
2-3. 早朝や放課後の学校
1日の授業の前後、つまり早朝と放課後の学校の教室も、メリットの多い勉強場所です。
自宅と同様、料金の心配はいりませんし、学校がある日であれば移動時間は実質的にゼロとカウントできるでしょう。
登校時間をいつもより15分早めれば、その時間を使って英単語を覚えたり、暗記系の一問一答問題を解いたりすることができます。
場合によっては、わからないことがあった時に先生に質問しに行くことができるかもしれません。受験勉強をしていれば、自分ひとりでは解決できない問題が必ず出てくるものですから、すぐ疑問に答えてくれるエキスパートが近くにいる環境で勉強するというのは心強いですね。
ただし、注意点もあります。
学校にいると、どうしても友達同士で集まって「一緒にやろうよ」という話になりがちです。わからないことを教え合ったり、励まし合ったりできるというメリットはあるものの、長所はそのくらいしかありません。仲の良い友人が2人以上集まれば、どうしてもおしゃべりをしたくなってしまうもの。もちろん、「裁判員制度について語り合う」とか、「英語だけしか使わないというルールでおしゃべりする」といったところまで突き抜けているのならば、複数人集まって勉強することにも大いに意義がありますが・・・。
勉強とは関係のない話をしてしまうようなら、基本的にはひとりで黙々と勉強する方が効率的だと言えるでしょう。
2-4. 図書館・学校の図書室
地域の図書館や学校の図書室などを勉強場所として活用する人も多いでしょう。
無料で利用できますし、図書館によっては、自習用に個室を提供していることもあります。その場合、申請が必要だったり、制限時間があったりという制約もありますが、逆に適度な緊張感につながるといったこともあります。
勉強場所としての図書館の最大の特徴は、その「静かさ」でしょう。ただ、これは人によって、向き不向きがあります。「静かな場所がいちばん集中できる」という人には、図書館こそが理想の勉強場所であるケースが多いようです。開館日・時間が決まっており、それ以外の時間は利用できないという以外に特にデメリットもありませんから、自分がこれに当てはまると思う人は、積極的に利用するとよいでしょう。
また、「図書館では集中して数学を解いて、帰宅後は自分の部屋で日本史をノートにまとめよう」など、利用時間に制限があることを学習のリズム維持に役立て、むしろ効果的に活用するというのもひとつです。
2-5. 予備校の自習室など
予備校に通っている人なら、教室ごとに自習コーナーが設置されていることが多いので、そこを活用するのも効率的です。予備校には、「入試に合格する」という共通のモチベーションを持った人たちが集まってきているので、緊張感のある中で勉強することが可能です。
ただ、浪人生でなければ、毎日通うというのは現実的でないので、予備校以外にも日常的に勉強する場所を確保しておく必要がありますね。
3. カフェ
街のカフェ・喫茶店も、勉強場所として一般的なスペースのひとつです。これまでに挙げた場所との決定的な違いは、有料であるという点です。
とはいえ、カフェに行けば、その場の雰囲気やおいしいドリンクを楽しむことができ、気分を高揚させることができるという大きな利点があります。
カフェを利用する場合、これらのメリットとデメリットを考慮し、利用頻度を検討する必要がありますね。
また、最近では色々なスタイルのカフェが存在しているようです。
3-1. 通常のカフェ
一般的なカフェについては、ドリンクを1杯飲み終えるくらいの短時間で、さっと勉強に利用するには有効な場所です。
カフェに行くと、大人(社会人)が自分の勉強やパソコンでの仕事をしている姿を見かけますが、それは、職場や自宅とは異なる一種の“異空間”に身を置いて、短時間でグッと集中して作業するのに適しているからです。
社会人と比べて高校生は、本腰を入れた勉強のためにより長い時間を必要とします。その点から言って、「受験勉強の本拠地」としてカフェを日常的に利用するのは難しいでしょう。
もし継続的にカフェに通ったとした時のシミュレーションをしてみましょう。仮にコーヒー1杯が300円だとして、週に5回通えば1週間で1,500円、1カ月で6,000円、これを5ヵ月続けると30,000円という金額になります。決して安いとは言えない金額ですね。
また、こうしたお店で勉強のために長時間席を占有するという行為は、店側や他の客にとって迷惑だということも心得ておく必要があります。時折楽しみを兼ねてカフェで勉強するのも良いものですが、それはあくまでも気分転換したい時や、塾や予備校へ行く前の待ち時間に利用したい時など、 短時間での利用を前提に考えた方が良さそうですね。
3-2. 勉強カフェ
一般的なカフェでの「長時間」利用は“御法度”なのですが、最近では、自習を目的として利用できる、その名も「勉強カフェ」と呼ばれる店や、自習室サービスを展開する業態の店舗が広まってきました。その多くは会員制で会費がかかりますが、利用規約に沿う範囲であれば、気兼ねなく勉強することができる場所です。
例えば、こちらのwebサイトでは、有料の自習室が地域ごとに紹介されています。
●自習室.com
https://jishusitu.com/
4.その他の勉強場所
ここまでは比較的スタンダードな勉強場所を紹介してきましたが、勉強できる場所や環境は、必ずしもそれらに限られません。
●電車やバスなど
通学時に電車やバスを使う人は、既にその乗車時間を勉強時間に充てているという人も多いでしょう。
乗り物での移動中は目的地に着くまでの時間が限られているといった点から、意外と集中できる場所です。車酔いしやすい人で、バスの中で何かを読むという勉強は無理という人でも、スマートフォンとイヤフォンを利用して、英語のリスニング対策などをおこなうことはできるでしょう。
●ランニングや散歩
ランニングや散歩をしながら、イヤフォンをつけて勉強をする人もいます。
何時間も座った姿勢のままだと体にもよくないため、疲れてきたら気分転換に散歩にでかけ、英単語の音声を聞く、英語のリスニング対策の教材を聞く、といった勉強法もおすすめです。
ただし、ランニングや散歩中は、イヤフォンから流れる音に集中しすぎてしまうと、思わぬ事故にもつながりますので、十分注意してください。
5. どんな場所でも気をつけたい●●
おそらく、みなさん自身もよくわかっていることだと思いますが、どんな場所で勉強するにせよ、スマートフォンをちょくちょくいじりながら勉強にも集中するというのは不可能です。
スマートフォンの誘惑を断ち切るには、ずばり、使わないこと。別に、スマートフォンを解約するといった極端な処置は必要ありません。ただ、ここぞと頑張って勉強しようとする時は電源を切るか、通知が表示されないモードに設定しておけば済む話です。
友達との会話をリアルタイムで楽しみたいという気持ちは理解できますが、目先の楽しみを取ることによって志望校合格が遠ざかってしまうというリスクを考慮した時、自分が今何を優先すべきなのか、自らに問いかけてみましょう。
6. こだわり過ぎないことの必要性
ここまで集中できる勉強場所について触れてきましたが、勉強するのに理想的な環境が常に確保できるとは限らないと覚悟しておくことも大切です。
例えば、自分の部屋が一番集中できるという人でも、ある時近くの家でリフォーム工事が始まり、その騒音で集中力がそがれるかもしれません。あるいは、いつも図書館で勉強しているという人が、今日はたまたま向かいの席におしゃべりに興じている人たちがいて気が散る、ということもあるかもしれません。
明らかに勉強に集中できない環境であれば、ただちに他の場所に移動するのが賢明ですが、あまり神経質になりすぎるのも、かえって望まない結果につながる場合があります。
常に100%集中できる環境を求めようとすると、「○○のせいで集中できない」という原因が次々に見つかり、それを理由に何度も場所を変えて時間を無駄にしたり、さらには集中できないからといって勉強自体を放棄してしまったりすることがあります。
そうならないためには、その場に気が散る要因があっても、比較的その度合いが小さいものなら「気にしない」と心に決めて無視するくらいの余裕を持つことと、耳栓をしたりイヤホンで音楽を聴いたりするなどして対処するといった工夫をすることも大切です。
7. まとめ
自分の部屋やリビング、図書館、有料カフェなど、勉強場所として利用した場合の様々な特徴を紹介してきました。
一番大切なことは、「自分が最も集中できるのはどのような環境なのか」を知ることであり、その上で、できるだけそれに近い環境を継続的に確保するということです。
「集中できる環境」というのは人それぞれ。自分に合った勉強場所を見つけ、学習リズムの中でうまく組み合わせて使うことで、最適の環境を手に入れましょう。