「倫理、政治経済」は共通テストのみの受験科目として対策するケースが多く、他科目の勉強時間との兼ね合いがなかなか難しいかもしれません。
3ヵ月の短期集中対策、共通テストの「倫理政経」で高得点を狙うためのコツをレクチャーします。倫理政経を独学でマスターするための勉強法に加え、おすすめの参考書も紹介しますのでぜひチェックしてみてください。
1.共通テスト「倫理政経」対策ですべきこと
「倫理、政治・経済」(以下、「倫理政経」)を3ヵ月間で対策し、共通テストでの得点をできる限り上げるために重要なのは、勉強する分野の優先順位を明確にし、学習方針を立ててから勉強することです。闇雲に最初から暗記していくのではなく、まずは過去問を解いて出題内容を把握・分析し、自分がカバーできていない範囲を見つけてから、効率的に学習を進められるようにしましょう。
また、「インプットとアウトプットを同時並行で進める」ことも重要です。倫理政経は範囲が広いので、ある程度繰り返して勉強し、記憶を定着させていかなくてはなりません。インプットとアウトプットを並行することで知識のヌケ・モレをつぶしていきましょう。
一方で、「政治経済」分野は日常のニュースなどで目にしている情報も多かったり、「倫理」分野の「青年期」についての内容は保健の授業で扱っていたりなど、一度脳に情報が入っていることも多くあるかと思います。改めて勉強することで記憶のきっかけを作りやすいことも倫理政経という科目の特徴なので、必要以上に気負いせず地道にコツコツと覚えていきましょう。
「倫理政経」の大まかな勉強の流れは次の通りです。
①過去問を解いて自分がカバーできていない範囲を特定する
②過去問で出題範囲や問題形式を分析する
③授業ノートや参考書で知識をインプットしていく
④過去問を解いてアウトプットを繰り返す
次章からは、3ヵ月間で「倫理政経」を独学でマスターするための、具体的な勉強法を紹介します。
2. <1ヵ月目>高速で知識をインプット
2-1. 1ヵ月目の勉強法
まず、効率のよい学習方針を立てるために、過去問を解いてみましょう。その結果を通して、自分がまだ学習できていない範囲を特定します。
例えば、「倫理」分野であれば「日本の思想家を覚えられていない」、「政治経済」分野であれば「裁判所の仕組みが押さえられていない」といった未習得分野を特定し、そこから学習を始めるといった具合でよいでしょう。分野ごとにつながりがあるとはいえ、日本史や世界史のように大きな「縦の流れ」があるわけではないので、教科書を最初から覚えていく必要はありません。まんべんなくランダムに範囲を学習し、自分の暗記モレをつぶしていくとよいでしょう。
また過去問を解く機会を増やすことで、どのような問われ方が多いのかに気づくことができます。過去問を解く中で出題形式や言及されている箇所を確認し、その部分に意識を向けながら覚えていきましょう。模試を複数回受けており結果が分かっている場合は、成績表を活用して自分がまだ覚えきれていない範囲を特定するのもよいかもしれません。
1ヵ月目は、暗記と過去問演習を9:1ほどの割合から始めてみてください。演習をして覚えていなかったところを暗記で立ち戻る、というイメージです。
暗記のために使う教材は、自分の授業ノートや、通読できるような講義形式の参考書をおすすめします。授業ノートは使い慣れていて便利ですが、情報の偏りがある場合もあるので注意が必要です。また、この段階で「一問一答」形式の問題集を利用すると、断片的な知識しか身に付かないため、総合的な考察力が求められる傾向にある共通テスト対策には向きません。まずは通読ができる教材を選び、広範かつ網羅的な知識をインプットしていくことをおすすめします。
2-2. 1ヵ月目の学習におすすめの参考書
「倫理政経」の対策を始めて1ヵ月目の学習におすすめの参考書を紹介します。用途に合わせて利用していきましょう。
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『大学入学共通テスト 倫理、政治・経済の点数が面白いほどとれる本』(KADOKAWA/中経出版)
この参考書は講義形式で構成されており、もう一度授業を受けるように網羅的な学習を進めることができます。分量は多くないので細かい知識まで押さえることはできませんが、収録された情報を全てインプットすれば、共通テストで7割程度までは得点を伸ばせるでしょう。
『中川雅博・栂明宏の倫理,政治・経済教室』(旺文社)
先生が生徒に教えるという講義形式をとった参考書です。授業を受けるのと同じイメージで学習ができます。また、章末には確認問題も掲載されており、学んだことをすぐに確認することができます。
3. <2ヵ月目>徐々にアウトプットを増やす
3-1. 2ヵ月目の勉強法
2ヵ月目にすべきことは、基本的には1ヵ月目に進めていた学習の続きです。自分で問題を解いていて、実力が伸びてきたことを感じられたら、暗記:演習の割合を7:3~6:4にシフトしていきます。
この時期になって、広範囲の知識を身に付けることができたら、「一問一答」形式の問題集などを使用して、細かい知識を詰め込んでいきましょう。
3-2. 2ヵ月目の学習におすすめの参考書
「倫理政経」の対策を始めて2ヵ月目の学習におすすめの問題集を紹介します。1か月目に利用した講義形式の参考書と並行して活用しましょう。
『倫理,政治・経済 一問一答【完全版】3rd edition』(ナガセ)
この問題集は、共通テストの内容を100%カバーしていることを売りにしています。収録内容を確実に頭に入れることができたら、共通テストでは満点近くを目指すことができるでしょう。
そのぶん分量が多く、掲載されている情報も細かくなっています。★1から★5まで設定されている頻出度を確認しながら、自分が目標としている点数に応じて適宜覚える項目を取捨選択し、効率よく覚えていくとよいでしょう。
4.<3ヵ月目>復習重視で知識の精度を磨く
4-1. 3ヵ月目の勉強法
共通テスト直前期には、演習量を増やしていきましょう。ただし、ここで重要なのは、直前期に慌てて演習だけに取り組まないことです。演習しながらインプットを繰り返すことで、テスト前日までスコアを伸ばすことができます。
またこの時期は、模試や今まで解いた問題の復習を中心に、細かい点を着実に押さえるようにしましょう。今まで進めてきたインプットも継続しながら、問題演習でアウトプットをおこなってください。1ヵ月目、2ヵ月目までに進めていた勉強法も継続しながら、知識を完成させていくイメージです。新たな参考書に手を出す必要はなく、自分に合っていると感じる問題集をとことん繰り返すことが高得点への鍵となるでしょう。
共通テストの「倫理政経」では、広範な知識をどれだけまんべんなく覚えられたかが得点につながります。必ずしも深い知識は必要とはなりません。似た概念を混同しないように、正確に覚えていくことが重要になってくるので、何度も同じ問題集や参考書を繰り返し復習しましょう。
また、共通テストでは独特の形式で問題が出されることも多いので、過去問や予想問題集を繰り返し解いて出題形式にも慣れておきたいところ。入試本番での得点を伸ばしたい直前期は、新たな問題に取り組むよりも復習重視の方針で学習に取り組んでみてください。
4-2. 3ヵ月目の学習におすすめの参考書
『2022大学入学共通テスト実戦問題集 倫理、政経』(代々木ライブラリー)
ある程度知識の完成度が上がったら、本番を意識した実戦演習に入りましょう。この問題集は、共通テストの前身であるセンター試験からの出題傾向分析を基に作られており、豊富な予想問題にチャレンジすることができます。
力試しに解いてみた上で間違えた部分を確認し、暗記のヌケ・モレを詰めていきましょう。
5. まとめ
共通テスト「倫理政経」を短期間で対策するためのポイントをまとめます。
まず、学習の全体的な流れは以下の通り。
- 過去問を解いて自分がカバーできていない範囲を特定する
- 過去問で出題範囲や問題形式を分析する
- 授業ノートや参考書で知識をインプットしていく
- 過去問を解いてアウトプットを繰り返す
<対策の1ヵ月目>暗記と過去問演習を9:1程度の割合からスタート。
過去問演習をして覚えていなかった分野に立ち戻って知識をインプット。
使う教材は、自分の授業ノートや通読できる講義形式の参考書がおすすめ。
<対策の2ヵ月目>暗記:演習を7:3~6:4にシフト。
「一問一答」形式の問題集などを使って知識の定着に努める。
<対策の3ヵ月目>直前期にも慌てず復習ベースで知識の精度を向上。
新たな参考書に手を出すことなく、自分に合っていると感じる問題集で繰り返し演習。
復習重視で広範囲の知識をまんべんなく着実にマスター。
共通テストで攻略すべき「倫理政経」。勉強法を工夫し、短期間の対策で高得点を狙ってみましょう!