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日本史・世界史の復習に効果抜群!「模試まとめノート」のつくり方

2024.07.17

模試の結果をしっかり復習していますか?「日本史探求」「世界史探求」といった暗記系科目の学習において、模試の振り返りは学力向上の近道です。返ってきた成績表をただ見直すだけでなく、ノートに復習内容をまとめて活用し、周囲に差を付けましょう!
復習に効果的な「模試まとめノート」をつくるには、用語・内容正誤問題や年表問題、地図問題、資料・史料読み取り問題、論述問題など、問題形式ごとにコツがあります。それぞれのポイントをおさえて模試をしっかり復習し、受験本番に向けて着実なステップアップを図りましょう。

1. 模試を振り返る意義

これまで学校や塾などでも、「模試を復習しよう!」と耳にすることがあったかもしれません。まずは改めて、模試を復習する意義を確認しましょう。

  1. 大学入試を想定した問題に対応する力をつけられる
  2. 学校の勉強や自習だけでは気づけない弱点や苦手を見つけられる

*模試を復習する意義については、こちらの記事でも詳しく紹介されています。ぜひ参考にしてください。
>>「【模試活用】もう後回しにしない!効率的な模試の復習方法3ステップ」

特に、模試を通して弱点や苦手を見つけることは非常に重要です。
受験勉強においては、知識の「穴」を埋めていくことで学力を伸ばすことができます。模試は、自分の知識の「穴」を明らかにして、それを埋められる絶好の機会です。
模試で問題を間違えてしまったこと自体は決して悪いことではありません。入試本番ではなく、模試の段階で自分の弱点が見つかって良かったと考えるようにしましょう。模試で解けなかった問題をしっかり振り返ることで、その分野を受験本番での得点源にすることができるのです。

2. 【問題形式別】日本史・世界史の模試復習法

暗記系科目である「日本史探求」「世界史探求」の、具体的な模試復習法を紹介します。
模試復習のファーストステップは、自分が解けなかった問題を明らかにすることです。模範解答と自分の解答を見比べて、間違えてしまった問題や、たまたま合っていた問題を洗い出しましょう。
結果的に正解となったけれど解答選択肢を迷ったなど自信を持って解答できなかった問題や、答えは合っていたものの思考の根拠が解説と異なっていた問題など、問われていた知識の周辺に「穴」があった内容を中心にピックアップしておくと、より精度の高いまとめノートをつくることができます。
次に、模試の内容をまとめるためのノートを用意しましょう。間違えてしまった問題や、足りなかった知識を書き加えて、「自分だけの問題集・参考書」に仕上げるイメージです。
振り返るべき内容をはっきりさせてノートを用意したら、問題の形式ごとに模試を復習していきます。

2-1. 用語・内容正誤問題

用語や知識の内容を問う問題については、足りなかった情報を補うことが最も効果的な復習法です。
・用語を間違えていた場合は、その用語と問題文をノートに書いておきましょう。
・用語に関する内容を間違えていた場合は、その用語を書き出し、説明を添えて新たな知識として覚えておきましょう。

2-2. 年表問題

歴史的事象の時期を問う問題です。
まずは年表の問題のうち、どのような問題であったのかを分析しましょう。
(1)単純な知識を問う問題
(2)歴史的事象の因果関係が問われている問題
まずは、単純な知識を問う問題のまとめ方について。この問題は知識の有無が問われています。用語の勉強法と同じくノートに書き出し、その場で覚えてしまいましょう。
次に、歴史的事象の因果関係が問われている問題について。このタイプの問題は、例として以下のような出題内容が考えられます。

(問)海上交通の動向に関して述べた次の文を,古いものから年代順に正しく配列したものを一つ選べ。

Ⅰ 重源は東大寺再建のため,瀬戸内海を通じて周防国の材木を輸送した。

Ⅱ 平忠盛は海賊鎮圧などの功績を経て,貴族としても活躍していった。

(令和4年度 大学入学共通テスト 日本史B 本試験 筆者改題)

さあ、日本史選択のみなさんはわかりましたか。答えはⅡ→Ⅰの順番ですよね。
この問題でのポイントとなるのは、「源平の争乱の際に平家の平重衡が東大寺を焼き討ちした」という知識です。この知識を踏まえると、「平忠盛は源平争乱より前の時代の人物である」「重源が東大寺を再建したのは源平争乱よりも後の時代」というような歴史の“流れ”が見えることで正解できますね。
このように、歴史的事象の因果関係が問われている問題の場合は、歴史の“流れ”を確認する必要があります。模試の解説を読みながら、それぞれの出来事や要素を矢印で繋いでノートに記すなど、時系列と因果関係を意識してまとめるようにしましょう。

2-3. 地図問題

地図上のどこで歴史的事象が生じたのか問う問題についての復習法を解説します。
地図問題は基本的に知識の有無が問われていると思って良いでしょう。歴史的な出来事を地図と結びつけて覚えるようにしましょう。
地図問題が特に苦手な場合は、オリジナルの地図を作って、日ごろから日本地図や世界地図についての理解を深めてください
具体的には、まず、インターネットで日本地図や世界地図をダウンロードして印刷します。帝国書院のホームページでは、世界・日本の白地図を無料でダウンロードできます。ぜひ有効活用しましょう。
*参考:「帝国書院 白地図」

白地図を印刷したら、日本史の場合、まずは日本地図に教科書に出てくる都市(平城京・平安京・鎌倉・箱館など)の位置を地図に書き込みます。
世界史選択の場合は、まずは主要な地域や都市の名前を地図に書き加えたり、マーカーで目立たせたりしましょう。また、教科書に出てくる重要な河川や山・島・砂漠などの地理の知識も書き加えるようにします。
地図問題が苦手な方は、このようにしてオリジナルの地図を1枚作ってみましょう。この地図に模試でわからなかった問題に関する知識や情報を書き加えていきます。そうすることで、受験本番までに地図問題への知識が蓄積され、頭の中で地図と情報を紐づけて思い出すことができるようになります。
例として以下の白地図には、地理の知識や都市名、歴史上重大な戦場などが書き加えられています。また、書き込んだ情報の性質ごとにマーカーの色を変えて見やすくしてあります。

地図問題が苦手な場合はこのような白地図を使って、歴史上の事柄と場所の情報を結び付けて覚えることをおすすめします。

2-4. 資料・史料読み取り問題

資料・史料の読み取り問題についての復習法を解説します。
資料・史料読み取り問題は、近年の共通テストにおいても頻出の問題形式となっています。
実際の史料などは現代の感覚からすると取っつきにくい部分もありますが、模試や大学入試で出題される問題ということは、基本的に教科書レベルの知識と設問を結びつけて考えることができる問題なのです。そのため、模試の問題を復習する際には、「この設問はどのような知識を問うていたのか?」ということを意識しましょう。
具体例として1問紹介します。

(問)史料1の内容について述べた後の文Xについて、その正誤を選択せよ。

史料1 戦国大名六角氏の命令

紙商売の事、石寺新市※1の儀は楽市たるの条、是非に及ぶべからず※2
濃州ならびに当国中※3の儀は、座人の外(ほか)商売せしむるにおいては、見相(みあい)※4に荷物押さえ置き注進致すべし。

(「今堀日吉神社文書」)

※1石寺新市:戦国大名六角氏の居城である近江国観音寺城の城下町。
※2是非に及ぶべからず:あれこれと議論してはならない。
※3濃州ならびに当国中:美濃国と近江国。ここでは近江国の石寺新市は含まれない。
※4見相:見かけること。見つけること。

X:史料1によると、六角氏が治める近江国・美濃国には楽市が出され、座の特権を強要しようとする商人の荷物は没収されることになっていた。

(令和6年度 大学入学共通テスト 日本史B 本試験 筆者改題)

この問題の正解は「誤」ですね。
さて、この史料問題を間違えてしまった場合、ノートにまとめるポイントは中世の「楽市」と「座」の概念を理解することでしょう。
簡潔に説明すると、「座」とは営業の独占などの特権を与えられた同業者組織(世界史における「ギルド」のような組織)です。「楽市」とは、そのような座の特権を廃止する政策のことです。問題文にある「濃州ならびに当国中の儀は~(中略)~見相に荷物押さえ置き注進致すべし」とは、座の特権を容認する命令であることがわかります。したがって、設問の「六角氏が治める近江国・美濃国には楽市が出され」の部分が明確に誤っていることがわかりますね。(六角氏は居城の城下町である石寺新市には楽市令を敷きましたが、それ以外の美濃・近江国で座人以外の紙商売は禁じられていました)
このように、一般的に資料・史料読み取り問題では、教科書レベルの知識から資料・史料を読み解いて推論することができるようになっています。資料・史料の内容に対応した教科書レベルの知識を、ノートにまとめるようにしましょう。

2-5. 論述問題

論述問題は、日本史・世界史において最も難易度が高い問題形式ではないでしょうか。
論述問題を振り返る際に重要な点は、「加点ポイント」をチェックすることです。「加点ポイント」とは、論述問題で採点基準となる要素のことです。
論述問題の答案では、限られた文字数の枠内で「加点ポイント」を過不足なく盛り込む必要があります。模試の復習では、自分の答案と模範解答を見比べて、どの「加点ポイント」を書き出せていなかったのかをはっきりさせましょう。
加点ポイントの抜けがあった場合や、自分の答案の記述に誤った知識が盛り込まれていた場合は、模範解答から知識を書きだして、メモしましょう。

例に挙げたノートでは、答案の加点ポイント部分に下線が引かれています。また、自分の答案に盛り込めなかった加点ポイントについても、空いたスペースにしっかりメモ。さらに、別の論述問題を解いて新たに得られた知識が、追加で書き込まれています。
自分の答案に「加点ポイント」の知識を盛り込んで、満点の答案に書き換えるといったアプローチも有効です。満点の答案を作ることは、解答を決められた文字数に収める練習になります。
自作の答案が完成したら、それをなるべく見返すようにしましょう。論述問題の答案をどんどんストックして頭に入れておくことで、類題に対応するための“引き出し”を増やすことができます。
また論述問題では、さまざまな切り口で「歴史の流れ」を問われているケースが多いため、論述問題の答案を多くストックすることは、さまざまな視点で歴史を捉えることにも繋がります。

3. 模試を復習する上での注意点

模試の問題を復習する際の注意点について解説します。

3-1. 必要以上の時間を割き過ぎない

模試の復習に限らず、ノートへのまとめでついやってしまいがちなのが、ノートづくりに時間を割き過ぎてしまうことです。
紙面の見栄えや体裁は確かに見やすさに影響しますが、きれいなノートを作成するよりも、何度もまとめノートを見返すことの方に時間をかけるようにしましょう。

3-2. まとめノートへ頻繁に目を通す

模試まとめノートを作成した後は、頻繁に目を通すことで学んだ内容を記憶に定着させましょう。
適宜新しい知識を書き加えたり、答案を書き換えたり、内容を更新していくことも大切です。
模試まとめノートを活用して、自分の弱点や改善点を把握し、次の模試や入試本番に向けて知識を蓄積してください。

4. まとめ

模試の内容を振り返って復習する意義と、日本史・世界史の問題形式別に具体的なまとめノートのつくり方を紹介しました。効果的な復習法をまとめておきます。
【用語・内容正誤問題】
・用語を間違えていた場合は、その用語と問題文の内容を書き出す。
・用語に関する情報は、説明を加えて新たな知識としてインプット。
【年表問題】
・単純な知識を問う問題は用語と同様に覚える。
・歴史的事象の因果関係が問われる問題は、「歴史の流れ」を意識して時系列順にまとめる
【地図問題】
・歴史の出来事を地図と結びつけて覚える。
・白地図に情報を書き込み、オリジナルの地図を作成する。
【資料・史料読み取り問題】
・設問が何を問うていたのかを意識して、教科書知識を再確認する。
【論述問題】
・答案の加点ポイントを押さえる。
・自作の満点答案を作成してストック、アップデートする。

良質な「教材」である模試を効果的に活用して、自分だけのまとめノートをつくり、日本史・世界史の得点力を伸ばしましょう!

StudiCoサポーター K.K.
早稲田大学 文学部 合格