日本史の勉強をする上で必要になる参考書。単純にアイテム数が多いだけではなく、レベルや学習目的別に様々な種類が刊行されています。
その中から自分にぴったりの1冊を見つけるためには、しっかり各参考書の内容や性格を吟味する必要があります。ここでは参考書選びで失敗しないための判断基準と適切な購入時期、ジャンル別のおすすめ参考書を紹介します。
1. 大学受験「日本史」の参考書を選ぶ基準
1-1. 参考書を買う「目的」をはっきりさせる
日本史の勉強を進める上で、「参考書」が必要になる場面があると思います。しかし日本史の参考書には沢山の種類があるので、その中から1冊を選ぶのはとても難しいことです。
参考書の種類には、教科書のように文章で書かれていて歴史の流れを把握するのに適している「講義系」の参考書や、知識の徹底的な暗記に向いている「一問一答」形式の参考書、身につけた日本史の知識をアウトプットすることで自分のレベルを確認することができる「問題集」があります。さらには、辞書のように日本史の用語とその解説を細かく掲載している「用語集」や、画像や図などを中心に構成されている「資料集」、日本史を学習する上で重要な史料をまとめている「史料集」もあります。
これらの種類から適切な参考書を選ぶ必要があります。そのためにまずは、「参考書を購入する目的」を明確にしましょう。「自分が日本史の勉強において何を求めているのか」「どのような力を身につけたいのか」 この2点をはっきりさせてください。
例えば、「日本史が苦手だから基本的な知識を定着させたい」といった場合、ふさわしいのは「講義系」の参考書か「一問一答」形式の参考書になるでしょう。目的がはっきりしていれば、スムーズに参考書を選ぶことができます。
1-2. 日本史の参考書を購入する時期と選び方
参考書を購入する目的を明確にしたら、次はアイテム選びです。
参考書には適切な購入時期があります。「講義系」や「一問一答」の参考書は、基本的な知識の定着に大きな効果があるので、早めの購入をおすすめします。基礎レベルの知識の定着は早いに越したことはないですし、定期テスト対策にも使えるからです。
また「用語集」や「資料集」も日本史を勉強し始めた時から使えますから、それぞれ1冊手元にあると安心でしょう。
一方で「問題集」を購入する場合は、他の参考書に比べて慎重に判断する必要があります。定期テスト対策の問題集などは早い段階で手に取ってみても問題ありませんが、大学の過去問や発展レベルの問題集の購入を考えている場合は、「今」それが必要かどうか見極めてください。本来使用すべき時期より早く購入してしまうと、「いざ使用する時になって違う問題集を使いたくなる」または「自分のレベルに合っていない問題集だった」ということが起こりかねません。問題集を購入する際は十分注意してください。
さらに、大学などの過去問題集を購入する場合は、「現時点での自分の学習レベル」と「目標としているレベル」を明確にし、その差がどれくらいなのかを把握するようにしてください。目標のレベルが手の届く範囲にある場合には過去問を解いても効果があると思いますが、まだまだ手の届かないところにあるという場合は、過去問を解く前に自分のレベルを上げるための問題集を使った学習が必要です。たとえ入試本番までの時間が少なくても、基礎レベルの知識が欠けている状態で点数を伸ばすことは難しいことを覚えておきましょう。
また、参考書の選び方ですが、日本史の勉強を始める前に一式準備しようとするのではなく、「少し勉強が進んでから書店に行き、同じような種類の参考書を見比べてみる」という方法が良いでしょう。
この方法では、参考書の既習範囲の部分を見て比較することで、参考書の難易度や適性を自分のものさしで測ることができます。実際に自分の目で見ることで、「難し過ぎないか」「最後まで使えるか」「参考書を購入する目的と合致しているか」などを判断してください。
さらにStudiCoやネット書店などのレビューもあわせて参考にすると良いでしょう。実際に使用した感想が見られると思います。
2. 大学受験「日本史」のおすすめ参考書
日本史の勉強に役立つ参考書を紹介します。参考書の種類別に紹介するので、勉強の目的や学習段階に応じて、自分にぴったりな参考書を見つけてみてください。
2-1. 日本史「講義系」の参考書
4.7
『金谷の日本史「なぜ」と「流れ」が分かる本【改訂版】』(ナガセ)
書名にもあるように、「『なぜこの事件が起きたのか』という日本史に対する疑問」と「歴史の流れ」を分かりやすく解説した参考書シリーズです。この2点は歴史を勉強する上では最も重要なポイントなので、何度も繰り返し読んで確実に知識を定着させると良いでしょう。日本史の「論述」問題に答える上で、まず必要になるのは用語の暗記です。
「原始・古代史」「中世・近世史」「近現代史」「文化史」の4冊で構成されており、苦手な時代や分野を徹底して読むということも可能です。共通テストレベルの基礎的な内容が中心となっているので、日本史が苦手な人でも手に取りやすい1冊です。
『石川晶康 日本史B講義の実況中継』(語学春秋社)
「原始~古代」「中世~近世」「近世~近代」「近現代」の全4冊で構成されている、講義系の定番参考書シリーズです。本文の重要なポイントを赤シートで隠して覚えることができます。
また、覚えるべきポイントが簡潔にまとめられているコーナーがあることも特長です。基礎的な内容だけではなく発展的なレベルの内容にも踏み込んで解説されているので、入試対策にも使える1冊となるでしょう。
2-2. 日本史「一問一答」系の参考書
『日本史B一問一答 【完全版】 2nd edition』(ナガセ)
問題文の空欄を埋める形式の一問一答問題集です。空欄ごとに難易度を示すマークがついているので、今の自分の実力を体感しながら学習を進めることができます。基礎的な用語はもちろん、発展的な知識を身につけることができるので、大学受験の対策にもぴったりな1冊です。
『一問一答日本史Bターゲット4000 三訂版』(旺文社)
こちらも問題文の空欄を埋める形式の問題集です。最大の特徴は、参考書全体が3段階のレベルに分けられていて、自分の実力や目的に合わせた勉強ができるということです。何度も繰り返し解くことで確実に知識を身につけることができますし、ある程度解けるようになったらレベルを上げて解き進めることで、周囲に差をつけることができるでしょう。
2-3. 日本史知識のアウトプットに適した問題集
『HISTORIA[ヒストリア] 日本史精選問題集 本当によくでる「究極の100題」』(学研プラス)
大学の過去問を中心に構成されている問題集で、選択式の問題が多いことが特徴です。基礎レベルから発展レベルまで様々な問題が収録されているので、この1冊で相当の力をつけることができるでしょう。
また、解答解説の冊子では問題を解く上で根拠になる部分にマーカーが引いてあり、問題ごとに丁寧な解説がついています。
『“考える”日本史論述 -改訂版-』(河合出版)
日本史の「論述」問題に特化した参考書です。国公立大の過去問を中心に構成されているので、問題のレベルはやや発展的ですが、入試対策にはぴったりの1冊です。問題の解き方や解説がとても丁寧に掲載されているので、論述問題にあまり慣れていない人でも使いやすい参考書です。
『実力をつける日本史100題[改訂第3版]』(Z会出版)
実際の入試問題にとても似た問題が収録されているので、実践的な練習を積みたい人におすすめの1冊です。選択式の問題よりも記述式の問題が多いので、正しく用語や知識を覚えられていなければ正解率を上げることは難しいでしょう。この問題集を解いて間違えた場合は、解説を読んで丁寧に復習することを心がけてください。
2-4. 日本史の用語集
『日本史用語集 改訂版 A・B共用』(山川出版社)
日本史の学習をする上で欠かせない1冊です。1万以上の用語を収録、学習に必要な項目のほぼ全てをひとつひとつ丁寧に解説しているので、辞書を引く感覚で使うと良いでしょう。
重要な用語が赤字になっているだけではなく、重要度を数字で表示しているため、自分に合ったレベルの用語を確認することができます。かなり発展的な用語まで収録されているので、分からない知識に出会った時は、まずこの用語集で調べると理解が深まると思います。
2-5. 日本史の資料集・史料集
『詳説日本史史料集(再訂版)』(山川出版社)
日本史の学習において必要不可欠な「史料」が収録されている1冊です。「史料本文」「用語の注釈」「解説」というシンプルな構成ですが、史料の解説がとても細かいです。
また、史料の中でポイントとなる部分が赤字になっているので、その部分を覚えると史料問題を解く際に要点を思い出しやすくなるでしょう。
『共通テスト 日本史B 史料・図版の読解問題100』(旺文社)
史料を読む、または図を見た上で出題される問いに、マークシート形式で解答する問題集です。史料・図版問題をメインに対策をすることは少ないかもしれませんが、日本史の試験では必ずと言っていいほど史料・図版問題が出題されます。この問題集をひと通り解くだけで史料読解に慣れることができるでしょう。
共通テスト向けの参考書なので、史料・図版問題が苦手な人でも対策を始めやすいと思います。
『日本史史料一問一答 【完全版】 2nd edition』(ナガセ)
この参考書は史料を中心とした一問一答式の問題集です。必ず押さえておきたい基礎レベルの史料から発展的な史料まで幅広く収録されており、史料問題に強くなることができます。各史料に関連した一問一答に加えて、現代語訳と丁寧な解説も掲載されているので、史料に対する理解を深めることができるでしょう。
3. まとめ
大学受験を見据えた「日本史」対策を進める上で、参考書選びの際に注意しておきたいポイントを振り返ります。
- 「日本史の勉強で求めていること」と「身につけたい力」など、参考書を購入する「目的」を明確にする。
- 参考書の購入時期を見極め、必要だと判断したら書店等で類書を比較しながら、自分の目標レベルにぴったりの1冊を見つける。
大学入試で日本史を安定した得点源にするためには、早めの学習が必要不可欠です。勉強の心強いパートナーとなるような参考書を見つけ、普段から丁寧な学習を心がけましょう。