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【新課程】理系必見!理論化学の勉強法とレベル別おすすめ参考書6選

2022.12.07

理系科目「化学」は、文系も履修する「化学基礎」に比べて扱う内容が難しくなります。特に「化学基礎」「化学」の両科目で学習する「理論化学」では、難易度の違いに苦労することが多くあるでしょう。
「これから理論化学を勉強するけど不安だらけ…」「理論化学が苦手で点数が取れない…」――そんなお悩みをこの記事で解消しましょう!
「理論化学」を理解する上で意識すべきことや、自習に適した難易度別のおすすめ参考書を紹介します。

※この記事では主に、2022年度の高校1年生から順次移行となる〈新課程〉における「化学」の内容について扱います。履修および大学受験時の学年についてご注意ください。

※この記事は2022年12月に書かれた内容を一部最新の情報にリライトして投稿したものです

1. 理論化学の特徴

「化学」科目は「理論化学」「無機化学」「有機化学」の3つの分野から構成され、なかでも「理論化学」は「無機化学」「有機化学」の土台となる分野であり、扱う単元は多岐にわたります。
また、大学受験において「化学」は、他の理科3科目(物理、生物、地学)に比べると、暗記が必要な“知識”と、理解が必要な“計算過程”がバランスよく問われますが、中でも「理論化学」は解法がパターン化された典型問題が多く、奇をてらった内容が出題されることは少ないと言えます。
したがって、各理論の基礎をいかにきちんと理解するかが合否の分かれ目となります。自分のレベルに合った問題集を適切に選択し、確実に習得できるまで繰り返し演習して対策しましょう。

2. 【新課程】理論化学の全体像~各単元の特徴~

「理論化学」は「化学基礎」「化学」の両科目を通して学習します。
本記事では、「化学」で扱う「理論化学」の各単元を学習する上でのポイントについて簡単に紹介します。各単元の特徴について理解して、ぜひ勉強計画に役立ててください。

2-1. 物質の状態変化

「物質の三態」「気液平衡」「蒸気圧」について学習します。「蒸気圧」は希薄溶液の性質を理解する上で重要になるため、抜けがないようしっかり押さえましょう。
扱う内容が少なく難易度も高くないため、手早く理解して他の単元の学習を進めましょう。

2-2. 溶液の性質

「気体・固体の溶解度」「コロイド」に加え、希薄溶液の性質として「蒸気圧降下」「沸点上昇」「凝固点降下」「浸透圧」を学習します。
希薄溶液の性質で登場する公式数は少ないですが、他の化学反応と関連した応用問題が多いです。問題演習を重ねて、公式を暗記するのではなく使いこなせるようにしましょう。

2-3. 気体の性質

「状態方程式」「混合気体」「実在気体」などについて学習します。気体の状態方程式(PV=nRT)を適切に使いこなせるかがこの単元を理解するポイントとなります。化学反応を交えた問題もあるため、演習を重ねて典型問題の解法を押さえましょう。
状態方程式を本質的に理解できていないと、式中の記号(PVなど)がどの物質の値であるか意識せずに、公式にただ数値を代入してしまう間違いが多いです。単位換算のし忘れにも注意しましょう。

2-4. 固体の構造

「イオン結晶」「金属結晶」「共有結合の結晶」「分子結晶」「分子間で働く引力」などについて学習します。「化学基礎」で学ぶ「化学結合」の応用的な内容となるため、難しいと感じたら「化学基礎」の復習から始めましょう。
「結晶格子」の数値問題は解法がパターン化されているため、演習を重ねて確実に身につけましょう。

2-5. 熱化学

「反応熱」「ヘスの法則」「エンタルピー変化」などについて扱います。
化学エネルギーの差の表記について、現行課程の「熱化学方程式」から新課程では「エンタルピー変化」で表すことになりました。化学反応が発熱・吸熱反応のどちらであるか理解することがポイントです。

2-6. 電池・電気分解

「イオン化傾向」や「鉛蓄電池」「マンガン乾電池」などの「電池」、さらに「電気分解」について学習します。この単元では、「電池」の仕組みと「電気分解」の違いについて押さえることが大切です。そのためには極板で酸化・還元反応のどちらが起こっているか、常に意識して問題を解きましょう。
現象の理解に苦しんだときは「化学基礎」の「酸化還元反応」まで戻って基礎を確認する必要があります。

2-7. 反応速度と化学平衡

「反応速度」「化学平衡」「酸と塩基の電離平衡」「溶解度積」について学習します。「理論化学」で最後に扱う難度の高い単元であり、他の単元との関連性も強いです。特に「酸化還元反応」の理解度を上げてから臨みましょう。
「化学平衡」の基礎として「ルシャトリエの原理」は入試頻出であるため、確実に理解しましょう。計算問題が多く、バリエーションに富んでいるため、問題集を通して演習量を増やすことが知識を定着させる近道です。

3. 【新課程】理論化学の勉強におすすめの参考書6選

「理論化学」の学習内容の理解や問題の解法習得に役立つ参考書・問題集を、レベル別に厳選して6冊紹介します。

この章で紹介する参考書は現行課程(2022年度の高校2,3年生が対象)の「化学」を取り扱っています。購入の際は改訂版書籍が刊行されていないか、事前にチェックをお願いします。

3-1. 定期テスト対策レベル

高校 とってもやさしい化学 高校 とってもやさしい化学
理科
化学
高校 とってもやさしい化学
5
柿澤壽/著
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高校 とってもやさしい化学』(旺文社)

各単元の用語の意味や基本的な計算問題の解法について、図表や色分け等を用いて端的に分かりやすく説明しています。さらに基本事項が理解できたかどうか、書き込み式の基本問題で確認することができます。
「教科書の説明が分かりにくい」「自力で基本的な例題を解くことができない」と感じている場合におすすめです。

 

化学[化学基礎・化学]入門問題精講 四訂版 化学[化学基礎・化学]入門問題精講 四訂版
理科
化学
化学[化学基礎・化学]入門問題精講 四訂版
0
鎌田真彰 橋爪健作
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化学[化学基礎・化学]入門問題精講 四訂版』(旺文社)

大学入試にもつながる基本問題を全142問(理系科目「化学」の理論化学では全46問)扱っています。解説では問題の解答だけでなく、重要なポイントについて図・表を用いてまとめられ、関連するキーワードについても丁寧に説明がされています。
「授業で習った単元の理解度を確認したい」「短期間で基本問題を網羅したい」といった場合におすすめの1冊です。

 

3-2. 大学入試 基本問題レベル

大学受験Doシリーズ 鎌田の理論化学の講義 三訂版 大学受験Doシリーズ 鎌田の理論化学の講義 三訂版
理科
化学
大学受験Doシリーズ 鎌田の理論化学の講義 三訂版
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鎌田真彰
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大学受験Doシリーズ 鎌田の理論化学の講義 三訂版』(旺文社)

各単元の基礎事項について、図・表や色分けを多く用いて分かりやすく解説しています。教科書とは異なり、典型問題の解法の手順についてもまとめられています。
「入試攻略への必須問題」を用いて理解度を確認することができますが、問題数は少ないため、あくまで参考書として使用しましょう。定期テストと模試で点数に差があると感じている場合におすすめの1冊です。

 

化学一問一答【完全版】3rd edition 化学一問一答【完全版】3rd edition
理科
化学
化学一問一答【完全版】3rd edition
0
橋爪健作
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化学一問一答【完全版】3rd edition』(東進ブックス)

各単元の公式や基本問題の解法について、赤シートを用いて一問一答形式で確認することができます。最新の大学入試問題の分析によって問題が選定されているため、共通テスト・国公立大・私立大どの入試にも対応しています。さらにすべての問題で3段階のレベル別に表示されているため、優先順位をつけて問題に取り組むことができます。
通学時などのスキマ時間に効率よく基本事項を学習したいと感じている場合におすすめです。

 

3-3. 大学入試 応用・発展問題レベル

理系大学受験 化学の新研究 第3版 理系大学受験 化学の新研究 第3版
理科
化学
理系大学受験 化学の新研究 第3版
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卜部吉庸
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理系大学受験 化学の新研究 第3版』(三省堂)

教科書だけでは扱いきれない、各公式が成立する背景や発展的な内容についてまで丁寧に説明しています。分量が多く難度も高いため、初めから全てを理解しようとするのではなく、解いた問題の該当箇所を適宜確認して理解を深めるといった使い方が効果的です。
「化学公式を本質的に理解したい」「難関大学の過去問演習で併用できる参考書が欲しい」といった場合におすすめです。
同シリーズの『化学の新演習』を用いて、応用・発展問題の演習を積むことでさらに理解が深まります。

 

新課程 2024 実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学 新課程 2024 実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学
理科
化学
新課程 2024 実戦 化学重要問題集 化学基礎・化学
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数研出版編部
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新課程2024 実戦化学重要問題集 化学基礎・化学』(数研出版)

大学入試問題を基に全268問で構成され、重要事項を押さえた質の高い問題が収録されています。A問題(標準的な頻出問題)、B問題(応用問題)、巻末補充問題(総合問題)の3種類に分類され、段階を踏んで演習することができます。
基本事項は概ね理解できている状態で、大学入試に向けて演習量を積みたい場合におすすめの1冊です。

4. まとめ

「理論化学」は「無機化学」「有機化学」につながるとても重要な分野です。「理論化学」で扱う単元数はとても多いため、本記事で紹介したおすすめの参考書を有効に利用しつつ、1つ1つ丁寧に理解していきましょう。

また、大学受験対策としては「理論化学」を完璧に理解してから「無機化学」「有機化学」に進むのではなく、6~7割ほど理解できたら「無機化学」「有機化学」の好きな方から学習を始めましょう。「無機化学」「有機化学」での学びで「理論化学」の理解度をさらに高めつつ、バランスよく勉強を進めていくことが合格への近道です!

StudiCoサポーター Y.H.
中央大学 理工学部合格