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【勉強×リフレッシュ】古典漫画のススメ ~大学受験頻出の古典作品も登場~

2024.04.24

勉強の息抜きとしてゲームを始めたら、いつのまにか何時間も経っていた……そんな経験はありませんか。勉強のリフレッシュ方法も、工夫次第で効率的に時間を使うことができます。
古典作品を漫画化した、「古典漫画」を読むというのもおすすめ。文学史や古文常識も同時に学べる古典漫画を読んで、息抜きも勉強も充実させましょう!

1. 息抜きにも!古典漫画のススメ

受験勉強を乗り切るには適度に息抜きをすることも必要です。もちろん、スマートフォンを使ってほどよく休憩するのも良いですが、息抜きにも勉強にもなる方法があれば一石二鳥ですよね。
そこで、古典を題材にとった「古典漫画」の世界に浸る、というのはいかがでしょう。受験生が古典漫画を読む利点は3つにまとめられます。

1-1. SNSやゲーム以外の息抜き

勉強の合間にスマートフォンを使ってちょっとSNSやゲームをしようと思ったものの、ついつい時間を忘れて寝る時間になってしまった……という経験はありませんか。
その点、漫画はおもしろいコンテンツが多く読み続けやすいものも多いですが、「今日は○○話まで」などの読むペースや区切りもつけやすくなっています。そのため、息抜きとして古典漫画を読むことで、勉強・休憩の時間管理がしやすくなります。
また古典漫画は、心動かされるラブストーリーやクスッと笑ってしまうユーモアを持ち合わせています。古典漫画を読むことはほどよい息抜きにもなりますよ。

1-2. 古典作品のあらすじがわかる

古典漫画を読むことで古典作品のあらすじを知ることができます。受験本番に古典漫画で読んだ作品が出て、読解が非常に容易となることも。
さらに、古典作品のあらすじを知っておくことは文学史や日本史の勉強にもなります。

1-3. 古典常識を視覚的にイメージできる

小説と比べた漫画の利点として、古典作品の舞台を視覚的にイメージできるという点も挙げられます。
例えば入試問題で扱われる古典作品に「蔀戸(しとみど)」という語が出てきたとして、「それってどんな戸?引くの?押すの?…そもそもなんて読むの?」などと、疑問がたくさん出てきてイメージしづらいかもしれません。場面がイメージできないと肝心の読解もなかなか上手くいきませんよね。そんな場合でも、もし古典漫画の中で、姫君が女房に「そこの蔀戸を開けてちょうだい」と頼んでいる場面を読んだことがあったら、一発ですんなり理解できます!
古文の勉強には、古典作品が著された時代の社会や生活の知識を勉強する「古文常識」という分野があります。仏教文化や平安建築など古文常識で学ばなければならないものは、古典漫画のイラストに頻繁に出てきます。ビジュアルで古典作品の舞台を理解しておくことは、受験勉強にも役立つでしょう。

2. おすすめ古典漫画

おすすめの古典漫画を紹介します。おもしろさと大学受験での原典の出題頻度という観点から、漫画9作品と、おまけで小説を1点選びました。

2-1. 受験頻出の物語文学

大学受験頻出の物語文学として、『源氏物語』『伊勢物語』『落窪物語』を題材にとった漫画を紹介します。

【1】『あさきゆめみし』(大和和紀/講談社)
『あさきゆめみし』は、平安時代中期に成立した古典文学作品『源氏物語』を題材にとった漫画です。
『源氏物語』を題材にした多くの漫画が出版されているなかで、『あさきゆめみし』は“不朽の名作”として、これまでたくさんの受験生からも愛読されてきました。その理由はやはり、漫画としてのおもしろさ・わかりやすさをしっかり追求した構成になっていることでしょう。
『源氏物語』原文では時間の前後関係を替えて書かれている部分を、わかりやすく時系列順で描くなど、より「物語」として理解しやすくなっています。そのぶん、「帚木(ははきぎ)」の帖だけ読む、「桐壺(きりつぼ)」を取り巻く人間関係のみ理解したい、といったようなインスタントな読み方ではなく、『源氏物語』の全容を平安貴族の生活様態とともにきっちり理解することを目的として、最初から最後までじっくり読んでほしい作品です。
ストーリーは長いですが文庫化もされているため、手に取りやすくなっています。『源氏物語』は大学入試最頻出の古典作品のひとつですので、『あさきゆめみし』を息抜きとして読むことは受験勉強にも大いに役立つでしょう。

【2】『伊勢物語』(木原敏江/集英社)
漫画『伊勢物語』は、平安時代初期に活躍した貴族の在原業平を主人公とする『伊勢物語』を題材にとった漫画です。
『伊勢物語』は歌物語なので多くの和歌が出てきますが、読解においてもそれらの和歌の解釈がポイントとなります。この漫画を読んでおけば登場する和歌に込められた思いがしっかり理解できるようになるでしょう。
『伊勢物語』の和歌がどのような心情・情景を描いているのかを、漫画を通して感じ取ってみることをおすすめします。

【3】『おちくぼ』(山内直美/白泉社)
『おちくぼ』は、平安時代の物語文学である『落窪物語』を題材にとった漫画です。漫画『おちくぼ』は原作に忠実であるため、古典作品のあらすじを知りたいと思う人に特におすすめです。
これから読む人の楽しみを奪ってしまわないように詳しい説明は避けますが、『落窪物語』は勧善懲悪をベースにしたストーリー展開です。漫画『おちくぼ』もこの構成に沿って描かれており、現代の読者にもとても読みやすいだけでなく、『落窪物語』が書かれた当時の倫理観や宗教観を自分の感覚として掴むことができるようになるでしょう。

2-2. 受験頻出の日記文学

受験頻出の日記文学として、『蜻蛉日記』『更級日記』『紫式部日記』を題材にとった漫画を紹介します。

【1】『NHK まんがで読む古典2 蜻蛉日記・更級日記』(羽崎やすみ/ホーム社)
『NHK まんがで読む古典2 蜻蛉日記・更級日記』は、平安中期の日記文学である『蜻蛉日記』『更級日記』を漫画化したものです。前者は藤原道綱母、後者は菅原孝標女(むすめ)により著されており、どちらも平安女流日記文学の代表作です。文学史の問題で頻出かつ、センター試験・共通テストでの出題歴もあるため、漫画でストーリーを把握しておくことをおすすめします。
日記であるため特にオチらしいオチのつかないエピソードがあったり、同じ人物が何度も登場したりしますので、漫画で全体の状況や人間関係などを掴んでおくととても理解しやすくなります。

【2】『新編 人生はあはれなり・・・ 紫式部日記』(小迎裕美子/KADOKAWA)
『新編 人生はあはれなり・・・ 紫式部日記』は、紫式部によって記された『紫式部日記』を題材にとっている漫画です。『紫式部日記』をコミカルに描いており、受験勉強の息抜きにピッタリな作品です。ラブコメよりもユーモラスな漫画を読みたいという方におすすめ!
ところで、2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公は紫式部です。これまで同様、模試や大学受験で紫式部に関連するトピックが出題される可能性もありますし、家族や友だちと共通の話題ができることは勉強以外にメリットがありそうですね。

2-3. 受験頻出の随筆文学

受験頻出の随筆文学として『枕草子』『徒然草』を題材にとった漫画を紹介します。
【1】『新編 本日もいとをかし!! 枕草子』(小迎裕美子/KADOKAWA)
『新編 本日もいとをかし!! 枕草子』は、清少納言によって著された平安時代を代表する随筆作品『枕草子』を題材にとった漫画です。先ほど紹介した『新編 人生はあはれなり・・・ 紫式部日記』と同じ漫画家さんがコミカライズしているため、一緒に買って読み比べてみるのも良いでしょう。
この漫画も同じく『枕草子』をベースに、現代でも共感できる内容をコミカルに描いています。『紫式部日記』とあわせて読むことで、比較されることの多い清少納言と紫式部それぞれの特徴を、感覚的に掴めるかもしれません。

【2】『マンガ日本の古典(17) 徒然草』(バロン吉元/中央公論新社)
『マンガ日本の古典(17) 徒然草』は、兼好法師(卜部兼好)が鎌倉時代末期に著した『徒然草』を漫画化したものです。『徒然草』は受験頻出ですので、漫画でストーリーの概略を知っておくことは受験勉強に役に立ちます。
また、今回紹介した漫画の中では数少ない、鎌倉時代を舞台とした作品です。『マンガ日本の古典(17) 徒然草』を読むことで、時代とはまた違う鎌倉時代の雰囲気を知ることができるでしょう。

2-4. 受験頻出の歴史書

入試問題には昔の歴史書である“鏡もの”もよく登場します。
「四鏡」(※)と聞いた時、全て挙げることができますか?――今回は四鏡の中から『大鏡』、四鏡には入っていませんが『吾妻鏡』を漫画化した作品を紹介します。

※四鏡(しかがみ)……「大鏡」「今鏡」「水鏡」「増鏡」の四つの歴史物語の総称。

【1】『もしも紫式部が大企業のOLだったなら 大鏡篇』(井上 ミノル/創元社)
『もしも紫式部が大企業のOLだったなら 大鏡篇』は、平安時代後期に成立したとされる紀伝体の歴史物語『大鏡』を漫画化したものです。『大鏡』は、四鏡の最初の歴史物語であり、藤原道長などの有力貴族が織りなす政治ドラマを批判的に描いています。
『もしも紫式部が大企業のOLだったなら 大鏡篇』は、『大鏡』で描かれる平安時代の歴史を「内裏商事」という企業の歴史に置き換えられおり、「内裏商事」という企業を舞台とした権力争いやスキャンダルなどをコミカルに描いた作品です。そのため、現代を生きる我々にとっておもしろおかしくて読みやすい作品となっています。
紫式部はじめ、藤原道長、藤原彰子、和泉式部など古文を勉強する上で重要な人物が登場するので、文学史の勉強にもなるでしょう。
また『大鏡』は、2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」の一部の脚本のベースとなった歴史物語です。話題性の観点からも、カバーしておくべき古文作品と言えるのではないでしょうか。

【2】『マンガ日本の古典(16) 吾妻鏡』(竹宮惠子/中央公論新社)
『マンガ日本の古典(16) 吾妻鏡』は、鎌倉時代に成立した歴史物語である『吾妻鏡』を漫画化した作品です。『吾妻鏡』には鎌倉幕府の歴史が著されています。
『マンガ日本の古典(16) 吾妻鏡』は全3巻で、鎌倉幕府の成立から北条得宗家の執権政治の確立までを描きます。平安時代の貴族社会とは異なる中世の武家社会を中心にストーリーが展開されるので、武士が活躍する点を新鮮に感じられるのではないでしょうか。
源頼朝をはじめ、梶原景時や畠山重忠など平安末期から鎌倉時代初期に活躍した多くの歴史的人物が登場するので、日本史の勉強にもおすすめできる作品となっています。

2-5. 平安時代を舞台にする作品

特定の古典作品を題材にとってはいませんが、平安時代を舞台とした小説を紹介します。
こちらは漫画ではなく小説ですので、これまでおすすめした漫画を読んで、ある程度平安時代の貴族たちの生活などが理解できてから読むと、おもしろさも一入でしょう。
【1】『なんて素敵にジャパネスク』(氷室冴子/集英社)
『なんて素敵にジャパネスク』は、平安時代を舞台にした創作ラブコメです。ストーリーのテンポが良く、セリフも現代語寄りなので読みやすい作品となっています。
特定の古典作品に基づいている漫画ではありませんが、当時の貴族や姫君、女房たちの暮らしぶりがわかる作品となっており、古文常識の勉強にもなる作品です。

3. まとめ

大学受験でも頻出の古典作品を題材にとった、おすすめの古典漫画を紹介しました。
今回紹介した作品以外にもたくさんの古典漫画があります。創作が交じっていたり、作者の空想で行間を埋めていたりということはありますが、話の大筋や時代的な背景知識をイメージするための入り口になってくれるでしょう。
受験勉強に役立つ娯楽として空いた時間や受験勉強の息抜きに、気になった「古典漫画」を読んでみてください!

StudiCoサポーター K.K.
早稲田大学 文学部 合格