2025年からスタートする新課程対応の大学入試にあわせて、共通テストにもさまざまな変更が加わりました。「数学II,B,C」の問題構成も大きく変わっていますが、選択問題でどの問題を選ぶべきか迷っていませんか?
選択問題に対応した各単元の特徴と、文系・理系別におすすめの選択パターンを紹介するので、ぜひ参考にしてください!
1. 【新課程】共通テスト「数学II,B,C」の選択問題
まず、新課程での共通テスト「数学II,B,C」の問題構成について確認しておきましょう。
(試験時間70分)
第1問 | 数Ⅱ | 必答 | 三角関数 |
第2問 | 必答 | 指数関数・対数関数 | |
第3問 | 必答 | 微分・積分の考え | |
第4問 | 数B | 3問選択 | 数列 |
第5問 | 統計的な推測 | ||
第6問 | 数C | ベクトル | |
第7問 | 平面上の曲線と複素数平面 |
試験時間が60分から70分に10分延長しましたが、その分問題数も増えています。そのため、今まで以上に問題を解くスピードが必要になるでしょう。
また、新課程入試では公式・解法を暗記するだけでは対応困難な問題が登場し、さまざまな視点から情報分析をする力が問われるので、共通テストの予想問題などでこうした問題形式に慣れておく必要があります。
1-1. 数列
「数列」の単元は、国公立大学の二次試験や私立大学の個別試験においてもよく取り上げられるため、二次試験等で数学が必要な場合は対策に力を入れましょう。
公式の理解や運用が難しい単元ですが、マスターできれば、他の単元での問題を解決する能力を高めることにも繋がります。特に新課程では、問題分析・応用力が問われるので、「数列」単元をしっかりと理解することがポイントとなるでしょう。
大学入試情報センターに公開されている以下の試作問題を見る限り、「数列」の問題内容や出題形式は今までと大きく変化はありません。問題数は変わらないか少し増えることも予想されるため、時間内に素早く解答することが大切です。
また、大多数の人が選択すると考えられるため、問題演習を繰り返して解答スピードと正答率を高め、周囲に差をつけられるようにしましょう。
*参照:令和7年度大学入学共通テスト 試作問題・正解一覧はこちら
1-2. 統計的な推測
数学I「データの分析」の続きのような単元です。「統計的な推測」では新しい概念が多く、はじめは理解するのが大変かもしれません。ただ、他の単元に比べて、履修する全体の分量がそこまで重くないことも特徴です。
以下の試作問題を見ると、共通テストでは設問に長文や会話文が用意されることも考えられ、他の単元の問題に比べて文章量が多くなっています。
また、解答の選択肢が設けられていることも特徴のひとつです。もちろん選択肢から選ぶために計算して解く必要はありますが、この単元の内容に慣れてくると、「大きい/小さい」からどちらかを選ぶような問題はすぐに解けるようになり、ここで時間を稼ぐこともできるかもしれません。
*数学の統計分野をまとめた記事もぜひ参考にしてください。
>> 【統計分野】数学1「データの分析」、数学B「統計的な推測」の勉強法とおすすめ参考書7選
1-3. ベクトル
「ベクトル」の概念は、座標平面や複素数平面など多くの場面で応用可能であり、特に複素数平面ではベクトルを用いることで解法を大幅に簡略化できます。
以下の試作問題を見る限り、出題形式や問題内容に大きな変化は見られませんが、他の問題に比べて解く分量が多く、さらには全体がひと続きの関連する構成となっているため、1か所でもミスをすると後も引きずられてしまう点に注意が必要です。
ただ、概念や解き方を習得してしまえば、テンポよく解いていける単元でもあります。
数学Cになったことにより高校での履修時期が遅くなってしまうことが懸念されますので、早めに自習を始めることをおすすめします。
1-4. 平面上の曲線と複素数平面
「平面上の曲線と複素数平面」は「図形と方程式」や「三角関数」「ベクトル」などさまざまな単元の延長線上にあるような単元です。特に三角関数が理解できていないとかなり厳しい分野です。分量的には「統計的な推測」より少し重めですが、既習事項の発展的な内容が多いと考えると効率的と捉えられるかもしれません。
以下の試作問題を見ると、すべて解答が選択肢で用意されているものの、圧倒的に設問の文章量が多くなっています。全て熟読する必要はありませんが、問題を解いていくうちに重要な部分が見えてくるはずです。
演習問題をたくさん解いて、注意して読むべきところがどこかを判断する力や1回読んできちんと文章を理解する力を養いましょう。
*参照:令和7年度大学入学共通テスト 試作問題・正解一覧はこちら
2. 「数学II,B,C」のおすすめ問題選択パターン
新課程共通テストの「数学II,B,C」では、選択問題の対象4問から3問を選ぶ形となります。文系・理系別におすすめの問題選択パターンを紹介しますので、1つの意見として参考にしてください。
個人の得意分野などもあると思いますが、一般的に以下のような選択方法がポピュラーです。
・文系:「数列」「ベクトル」「統計的な推測」
・理系:「数列」「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」
「複素数平面」は考え方に馴染みがないと、文系では苦労するかもしれません。また文系では、国公立大学の二次試験で「複素数平面」が扱われないことが多いため、やはり共通テストでは、「統計的な推測」を選択することをおすすめします。
(※志望大学における二次試験の出題範囲や過去問は必ず確認しておきましょう)
一方理系では、「複素数平面」は二次試験でも多く出題され、逆に「統計的な推測」を出題する大学が少ないため、「複素数平面」の方を選択することをおすすめします。
3. まとめ
共通テスト「数学II,B,C」の選択問題として出題される単元ごとの特徴や、おすすめの選択パターンを紹介しました。自分に合った選択の方法がなんとなく掴めたのではないでしょうか。
全単元をひと通り学習することも大事ですが、重点的に対策する単元の問題を設定しておくことで、試験本番で自信をもって挑むことができます。対策の方針決定や不安解消のためにも、ぜひ一度自分に合った単元・選択問題を考えてみてください。