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数学は図やグラフが問題攻略のカギ!誰でもできる情報整理のコツやポイントを紹介!

2024.05.30

数学は「授業は聞いても理解ができない」「問題の解説を読んでもよくわからない」「公式を覚えてもうまく活用できない」などの苦手意識から、テストで高得点を目指すことをあきらめていませんか?数学をより深く理解し、正確に問題を解けるようになるコツは、図やグラフを使ってうまく情報を整理することです。
――わかってはいるけど、自分ではひらめかないし数学的才能がないと思う……そんなあなたのために、数学の図やグラフの描き方から、情報整理のコツまでを丁寧に紹介します。

1. 図を描くことで問題攻略のカギとなる単元

数学では図を描くことで内容を理解しやすくなり、問題を解くスピードも上がります。また、ケアレスミスも減らすことができます。まずは図やグラフを描くことが問題の攻略のカギとなる、数学の単元を紹介します。

1-1. 数学I 図形と計量

「図形と計量」では三角形が多く登場します。しかし問題に図が載っているケースは少なく、辺の長さや両辺の間の角度などを数値情報として与えられることが多くなっています。
そこで、問題用紙に自分で三角形やグラフ座標を描いて、与えられた数値を元に情報を整理していく必要があります。

1-2. 数学I 二次関数(グラフ・図形の移動、最大・最小)

「二次関数」の単元は特に苦手としてしまうケースも多いようです。文字を使った計算の単元だと思われがちですが、重要なのは二次関数の式を見たときに、頭の中でおよそのグラフの形を想像できるかです。
ただ、初めから簡単にグラフをイメージできるものではありませんよね。慣れていくためにも、式を見たらまずは簡単で良いので、手を動かして問題用紙に座標グラフを描くことから始めましょう。
どの問題でもグラフを描くことで情報が整理され、解法のカギを掴みやすくなります。最初のうちは時間のロスに思えることもあるかもしれませんが、続けることでグラフを描くスピードや、頭で想像する力がついてきます。

1-3. 数学A 図形の性質

図形が苦手な人にとって「図形の性質」の単元は、選択問題では解かないと決めているケースも多いようです。ただ、この単元は図形がうまく描けるようになれば簡単に答えにたどり着けるようになります。苦手意識だけで最初から捨ててしまうのはもったいないですよ。
図形をより正確に描けるようになると、角度を求めたり比率を求めたり、定理を使ったりする時に、自分の描いた図から解き方がひらめきやすくなります。
他の数学Aの単元に比べて計算ミスが出にくい単元なので、図を書くコツを身につけて選択問題で得点できるように対策してみましょう。

1-4. 数学A 場合の数と確率

「場合の数と確率」の単元では情報整理が、問題を解くカギとなります。集合や事象を図で表したり、樹形図を描いたりすることで、応用問題でも計算式が思いつきやすくなったり、集合または事象において重複を見つけ出しやすくなったりします。
また、他にも「組み合わせ」や「確率」などでは、問題の情報を自分なりにビジュアル化することで問題を深く理解できるようになります。

1-5. 数学2 図形と方程式

「図形と方程式」の単元では、グラフ座標上に円や三角形などの図形が現れます。ここで特に重要なのはグラフです。
答えに直接つながると思われる図形をいきなり描こうとするのではなく、グラフをしっかり座標上に正確に描いた上で図形を浮かび上がらせるのが大切です。また、グラフを正確に描けるようになれば図と直線の距離や位置関係も正確に把握できるようになります。

1-6.数学2 三角関数

「三角関数」ではどの問題においてもまずは、グラフ座標平面上で原点を中心とする半径1の単位円を描くことが重要となります。このグラフを簡単に描けるようになることで、三角関数への理解度が深まり、応用問題にも取り組みやすくなります。

1-7. 数学2 微分・積分

「微分・積分」ではほとんどが計算問題になります。計算が得意で与えられた式のグラフが想像できる人はグラフを描く必要がありません。
しかし、複数の式の位置関係を頭で把握することはかなり難しいです。この時、与えられた式を簡単に問題用紙にグラフとして可視化することで、「共有点を持つか」「極大・極小が存在するか」「数値は何か」などがわかりやすくなり、計算ミスも見つけやすくなります。

1-8. 数学C ベクトル

「ベクトル」では向きと大きさで定まる量が提示されますが、それが何かを完全に理解するのは難しいと思います。そこでベクトルの感覚や概念を掴めるようになるまでは、与えられたベクトルを毎回矢印で表して可視化することが重要です。ベクトルの向きや大きさがわかるだけではなく、ベクトルの計算もしやすくなります。
特に、ベクトルと方程式や平面・空間図形の問題では、図を描くことで情報が整理され、解き方もひらめきやすくなります

以降の章ではこれらの単元を「図形」「グラフ」「情報整理」の3つに分けて、実際の描き方や問題を解くコツをより詳しく紹介します。

2. 図形を描く

まず、図形を描く単元において重要なのは、定理や公式をただ暗記するのではなく、図形を覚えて理解することです。
図形が絡む定理・公式には、「余弦定理」「正弦定理」「チェバの定理」「メネラウスの定理」「方べきの定理」など、覚えて活用する式が多く存在します。これ以外にも「四角形の対角の和が180度ならば四角形は円に内接する」「円外の1点から引いた2本の接線の長さは等しい」など、式では表されていないものの良く活用される定義も数多く存在します。
これらをただ文字式として覚えるのではなく、図の形と共に覚えることで、問題を解いている中で見覚えのある図に出くわした時に公式・定理との関係性に気づくことができます。すると、その定理の図形に至るまでに足りない補助線を引いたり、数値を求めたりできます。それができれば、後は定理の式に数値を当てはめるだけで、答えを求めることができます。

例題1)三角形ABCにおいて,辺BCを3:2に内分する点をD,辺ABを5:4に内分する点をEとする。また,ADとCEの交点をFとし,直線BFとACの交点をGとする。このとき,AG:GCとAF:FDの比を求めなさい。

<ポイント>三角形の辺上の線分比を求める問題→チェバの定理・メネラウスの定理(これらの定理に合う図を探す)
(1)問題の通りに図を描く

(2)AG:GCをみて図の形からチェバの定理を使うことがひらめく

(3)AF:FDをみて図の形からメネラウスの定理を使うことがひらめく

点の追い方が分からない人は、「頂点→分点→頂点→分点→頂点…」で追ってみると式を立てやすくなります。(メネラウスの定理では線分BDの外分点が点Cとなる)
何をどのように使うのかひらめくためにも、定理と図の形を同時に覚えておくことが重要です。

正解1)AG:GC=15:8,AF:FD=25:8

例題2)円O上にAB=7となる点A,点Bをとる。点BにおけるOの接線上にBD=6となる点Dをとり,ADとOの交点を点Cとすると,CD=3となった。このとき,ACを求めなさい。

(1)問題の通りに図を描く

(2)この図から、接線や接点を通る弦を辺にもつ相似な三角形の角の定理を思いつく

角BAD=角CBDより、三角形BAD∽三角形CBD
したがって、BD:CD=AD:BD からACが求められる

正解2)AC=9

このように、図形の問題では自分の知っている解く手段を使えるように、図形を描いたり補助線を足したりしていきます。そのためにも毎回問題用紙に図を描くことが大切です。図によって何の定理が使えるのか、足りない情報が何かなどに気づくことができます。
定理や式は文字で覚えるのではなく、図の形を覚えて理解する」ということを徹底しておくと、図形の苦手意識もなくなるでしょう。

3. グラフを描く

グラフを描く問題で重要なことは、与えられた情報を正確に記入していくことと、キーワードに着目して解き方をひらめくということです。
まず、与えられた情報を正確に描くことで、「グラフが軸と共有点を持つのか」「軸・頂点の位置はどこか」「グラフが複数ある場合の共有点の数」など、問題で与えられた情報以上のヒントを得ることができます
また、座標の範囲が指定されている場合、範囲もしっかりと押さえておくことで、最大・最小を求める時に最大・最小値の存在の有無や値が求めやすくなり、複数のグラフとの共有点の変化も捉えやすくなります。
さらにキーワードごとに解き方を覚えることで、問題の解き方をひらめきやすくなります。

例題3)2次関数のグラフと直線の共有点の個数を求めなさい

<ポイント>共有点・交点・接点というキーワードは式同士を代入する
正確に作図することで共有点の個数が簡単にわかるようになります。

これは三次関数のグラフも同様で、作図により共有点3個、2個、1個、0個が見えてきます。
共有点というキーワードをもとに式同士を代入し、その値を用いてグラフを正確に描きましょう。

正解3)上記グラフの通り

例題4)次の二次関数の与えられた変域における最大値,最小値を求めなさい。
1:y=x²-2x-5(0≦x≦3)
2:y=x²-2x-5(2≦x≦4)

<ポイント>どこを「切り取る」かによって、最大・最小を取る場所が変わる!グラフを描くことで見えてきます
(1)平方完成する
y=(x-1)²-6
(2)それぞれ範囲で切り取る

このように、軸と変域の位置関係によって最大・最小の位置が軸か変域端か変わってきます。軸と変域端点の値を求めて簡単にグラフを描き、範囲を示すことで正解を求めることができます。

正解4)1:最大値=-2,最小値=-6  2:最大値=3,最小値=-5

4. 情報を整理する

図形やグラフを描く問題以外でも、自分なりにビジュアル化することが解法のカギになります。特に決まった描き方などはありませんが、文字だけの問題文からより情報を理解するためにも、簡単な図に描き出してみることは有効です。
特に、利益を求める問題や食塩水の問題、組み合わせ・確率の問題などでは、問題文の内容を「○○の場合△△になる」と簡単な表現に直したり、図や矢印と合わせて数字をまとめたりして、情報を整理することが問題をより正確に解くコツになります。

例題5)ビーカーAには100mlの食塩水が入っており濃度は10%である。ビーカーBには200mlの食塩水が入っており濃度は5%である。そこで,ビーカーAから20mlの食塩水を空のビーカーに移してビーカーBに,同時にビーカーBから100mlの食塩水を空のビーカーに移してビーカーAに移した。このときビーカーA・Bのそれぞれの濃度を求めなさい。

<ポイント>食塩水の問題では食塩の質量を中心に求める(入れ替えのタイミングが同時か、順番かによって解が異なるので注意)
(1)問題の通りに図で表す

(2)ビーカーA,Bそれぞれの食塩の質量を求める

(3)移動した食塩水の食塩の質量を求める

(4)A,Bそれぞれの移動後の食塩の質量を求めることで濃度が求められる

正解5)ビーカーA:7.2%  ビーカーB:5.8%

例題6)赤球4個、白球3個、青球2個が袋の中に入っている。1個の球を取り出し、取り出した球は戻さずに3回引く。3回とも赤球が取り出される確率を求めよ。

<ポイント>問題文を絵に表して理解する
(1)問題文を絵に表す

(2)3回とも赤球を引く

正解6)1/21

例題として挙げた内容はシンプルですが、文字情報だけではわかりにくい問題文の内容は、このようにビジュアル化することで理解しやすくなります。

5. まとめ

数学の問題を解く上で効果的な、作図やグラフ描画、情報整理の方法について紹介しました。
問題用紙の余白は全てメモ欄だと思って、自分の思うようにたくさん図やグラフを描いて活用してください。
問題を解くたびに図やグラフを毎回描き続けることで、作図や描画のテクニックは上達します。問題演習を繰り返して数学の「ひらめき脳」を養ってください。――きっと、数学の苦手意識を克服でき、大学入試での得点力にもつながるでしょう。

StudiCoサポーター K.S.
早稲田大学 スポーツ科学部 合格