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【新課程】共通テスト「数学I,数学A」目標点数別の勉強法とおすすめ参考書4選

2024.08.27

国公立大入試の1次試験という位置づけであり、私立大入試にも利用できる共通テスト。基礎力が問われるという性質からハードルが低そうに見える一方、高得点をとるのは容易ではなく、十分な対策が必要となります。
2025年度から始まる新課程の共通テストの中でも、「数学I,数学A」科目は学習指導要領の変更の影響を大きく受けており、問題形式の変化などによって解答時間が足りないと感じるケースも多いようです。
「これから共通テストの対策を始めるけど不安だらけ…」「安定して目標点数をとることができない…」――そんなお悩みをこの記事で解消しましょう!
共通テスト「数学I,数学A」を対策する上で意識すべきことや、過去問以外で問題演習に適したおすすめ参考書を、目標点数別に紹介します。

※この記事は2023年8月に書かれた内容を一部最新の情報にリライトして投稿したものです。紹介するレポートには旧版のものも含まれています。

1. 【新課程】共通テスト「数学I,数学A」科目の特徴

2025年度実施の共通テストから、試験問題が新課程に対応した内容に変更されます。「数学I,数学A」科目について、2024年度までの旧課程から新課程への移行で注意するべき内容は、以下の4点です。

(1)「数学A」での選択問題の廃止
「数学A」科目の問題に関して、旧課程では「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」の3分野から2分野選択して解答します。一方で、新課程では「場合の数と確率」「図形の性質」の2分野が全問必答に変更となり、選択問題がなくなります。(実質的に「整数の性質」の取り扱いが外れます)
したがって、共通テストで高得点を目指すには、苦手分野をつくらず出題対象の全単元を万遍なく対策することが必要になります。また、旧課程の過去問で対策をする際は「整数の性質」以外の選択問題を選んで解けば、新課程の問題形式とほとんど同じ形式で過去問演習をすることができるでしょう。

(2)試験時間は70分で変更なし
問題数には大きな変化がないことから、試験時間は現行課程と変わらず70分。しかし、試作問題では問題文が長くなっている傾向にあり、十分な対策をしておかないと解答時間に余裕がなくなることも考えられます。

(3)数学I「データの分析」で“仮説検定の考え方”が追加
旧課程において高校数学で学ぶことのなかった“仮説検定の考え方”が、新課程では問われることになります。「帰無仮説」「対立仮説」「有意水準」といった新たな用語の意味を理解できるかどうかが得点のカギとなります。
数学B「統計的な推測」では仮説検定についてさらに深掘りするため、新課程の共通テスト「数学II,数学B,数学C」科目受験者は、特に押さえておきたいところです。

(4)数学A「場合の数と確率」で“期待値”が追加
旧課程の数学B「確率分布と統計的な推測」で学習する“期待値”について、新課程では数学Aで扱うことになります。旧課程では「確率分布と統計的な推測」は必須単元ではないため、多くの受験生が新たに学習することになると予想されます。

この4点に加えて、日常生活や実生活に関連した内容を基にした問題が用意されると予想されます。問題の文章量が増えたり、条件設定が複雑になったりすることから、解答に必要な情報を適切に押さえる読解力や理解力が問われることになります。

なお、過去3年間における共通テスト「数学I・数学A」の平均点の推移は、57.68点(2021年度)→37.96点(2022年度)→55.65点(2023年度)です。年度によって難易度にばらつきがあり、その差も激しいことから、受験当日は自分の感覚での出来具合に一喜一憂せず、次の試験科目に臨むことも必要になるでしょう。

2. 共通テスト「数学I・数学A」科目の全体像 ~各大問のポイント~

本章では新課程の共通テスト「数学I・数学A」の各大問を解く上で押さえるべきポイントについて解説します。2024年度までの旧課程の過去問では問題形式が異なるので注意しましょう。

2-1. 第1問 数と式/図形と計量

「数と式」では、「平方根」「2次方程式」「1次不等式」の問題が頻出です。典型問題が多く、難易度は他の大問に比べて高くないため、1問も落とさずに完答したいところです。

「図形と計量」では、日常生活や実生活に絡めた形式で出題されることがあります。条件設定を見落とさないためにも、必要事項を付け加えながら自分で作図して解き進めるのがおすすめです。「三角比」の定義を理解し、「正弦定理」「余弦定理」を使いこなすことができれば、完答しやすくなるでしょう。

2-2. 第2問 データの分析/2次関数

「データの分析」では、図表の読み取りや「分散」「相関係数」といった用語の意味が理解できているかが問われます。共通テストやセンター試験の過去問を繰り返し演習して、問題形式に慣れておくのがベストです。新課程で受験する場合は、“仮説検定の考え方”についても十分に対策しましょう。

「2次関数」は、日常生活や実生活に絡めた問題形式となっています。条件設定が複雑な場合もありますが、しっかりと問題文を読み取れればそこまで難易度は高くないはずです。終盤の問題では2次関数の「平行移動」「最大値・最小値」が頻出です。共通テスト特有の出題形式となっているため、「データの分析」と同様に過去問演習を重ねて慣れておきましょう。

2-3. 第3問 図形の性質

「図形の性質」で学ぶ各定理について幅広く出題されるため、抜けなく全ての定理・公式を覚えることが得点のポイント。小問によって条件設定が変わることがあるため、その都度必要事項を付け加えながら作図して解き進めることをおすすめします。

2-4. 第4問 場合の数と確率

条件設定が複雑になっている場合が多く、問題文を適切に理解する読解力が必要です。難度の高い問題の解法として、それまでに答えてきた問題での考え方がヒントになっている場合が多いため、問題の誘導や条件設定に見落としがないか注意しましょう。
終盤の問題では「条件付き確率」が頻出です。新課程で受験する場合は、“期待値”についても十分に対策しましょう。

2-5. 番外編 整数の性質(旧課程で出題)

年度によっては終盤の小問に難度の高い問題が多く、完答するには高度な数学力が必要です。一方で、中盤までの小問では典型問題が多いため、「最大公約数と最小公倍数」「不定方程式」「n進法」あたりをマスターしておきたいところ。
新課程の共通テスト「数学I,数学A」科目では出題されないため対策不要ですが、国公立大2次試験や私立大入試では「整数の性質」が出題される可能性があります。自分が受験する大学の出題傾向を確認しておきましょう。

3. 【新課程】目標点数別・共通テスト「数学I,数学A」対策におすすめの参考書4選

共通テスト「数学I,数学A」の出題範囲の理解や問題の解法習得に役立つ参考書・問題集を、目標とする点数別に厳選して4冊紹介します。年度によって難易度にばらつきがあり一概には言えませんが、対策のポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

※この章で紹介する参考書は2024年度までの旧課程の「数学I・数学A」を取り扱っている書籍を含みます。購入の際は改訂版書籍が刊行されていないか、事前にチェックをお願いします。

3-1. 〔60点〕受験者平均レベル

まずは、数学IAの公式や基本問題の解法を抜けなく習得しましょう。高校で扱っている教科書や問題集を使用して基礎固めをするのもおすすめです。共通テスト本番では、基本レベルの問題をいかに落とさないかが重要となります。全ての問題を時間内に解答することよりも、解ける問題を確実に正答することを優先しましょう。
次に、苦手分野でも安定して50%以上得点できるようになることがポイントです。得意分野で満点を目指すよりも、苦手分野で基本問題が正答できるように対策する方が、全体で得点がアップしやすいです。授業時や過去問演習などを通じて、苦手な分野については出題パターンまで細かく分析しましょう。

共通テスト対策に特化した基礎固めにおすすめの参考書は、次の2冊です。

改訂第2版 大学入学共通テスト 数学I・Aの点数が面白いほどとれる本 0からはじめて100までねらえる 改訂第2版 大学入学共通テスト 数学I・Aの点数が面白いほどとれる本 0からはじめて100までねらえる
数学
数学Ⅰ・A
改訂第2版 大学入学共通テスト 数学I・Aの点数が面白いほどとれる本 0からはじめて100までねらえる
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志田晶
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改訂第2版 大学入学共通テスト 数学I・Aの点数が面白いほどとれる本 0からはじめて100までねらえる』(KADOKAWA)

「パターン編」と「チャレンジ編」の2部構成となっています。
「パターン編」では共通テストで頻出の出題パターンが見開き1ページでまとまっています。共通テスト頻出の公式に関する証明問題や使い方のポイントなどについても扱っています。
「チャレンジ編」では、共通テスト本番レベルの問題に取り組むことができます。難易度や解答目安時間が記されているため、共通テスト本番で必要な数学力と自分の現状との差を把握することができます。
「これから共通テスト対策を始める」「基本的な解法から学習したい」といった場合におすすめの1冊です。

 

共通テスト必出 数学公式200 五訂版 共通テスト必出 数学公式200 五訂版
数学
分野・単元別
共通テスト必出 数学公式200 五訂版
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辻良平 矢部博
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共通テスト必出 数学公式200 五訂版』(旺文社)

新課程の共通テストで頻出の数学I・A・II・B・Cの公式200項がまとめられています。
そのうち数学Iは43項目、数学Aは35項目。1項目につき1ページでまとめられており、公式の証明や間違いやすい点、例題などが紹介されています。
公式の証明についての説明がとてもわかりやすいので、理論からしっかり理解でき丸暗記に頼らずに済むようになるでしょう。新書版のサイズで持ち運びにも便利です。
「スキマ時間や試験前に公式を確認したい」「公式を暗記しているだけで理解できておらず、適切に使いこなせない」といった場合におすすめの1冊です。

3-2. 〔70点〕上位国公立大レベル

ここからは、得意分野を伸ばすことを意識して学習を進めましょう。共通テストで70点を安定して得点するには、基本問題を確実に得点することに加えて、標準(~応用)問題にも対応できることが求められます。
まずは、自分が得意な分野1つで難度の高い問題を正答できるように学習を進めましょう。共通テストだけでなく、センター試験の過去問も活用して演習量を積んでおけるとなお良いでしょう。
共通テスト対策に特化した標準レベル問題の演習におすすめの参考書は、次の1冊です。

大学入学共通テスト 数学I・A 実戦対策問題集  大学入学共通テスト 数学I・A 実戦対策問題集
数学
数学Ⅰ・A
大学入学共通テスト 数学I・A 実戦対策問題集
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嶋田香(数学)
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大学入学共通テスト 数学I・A実戦対策問題集』(旺文社)

各単元、基本問題と実戦問題の2段階の難易度に分けて構成されています。解答目標時間が設定されているため、共通テスト本番を想定した演習に取り組むことができます。
別冊の解答では、全ての問題で“STEP”式に解答手順が記されているため、自分の解答手順と照らし合わせて、間違えた原因を把握することができます。実戦問題の解説では、“この問題のねらい”として理解すべき基本事項について触れられており、間違えた箇所に対応する“POINT”を見直すことで効率的に復習できます。
実戦問題は各単元3~4題のため、他の問題集や過去問を併用することでより実践的な演習を積みましょう。
「共通テスト対策に割ける時間が少ない」「過去問演習への橋渡し的な参考書を使いたい」といった場合におすすめの1冊です。

3-3. 〔80点以上〕難関国立大・医学部レベル

共通テストで安定して80点以上をとるには、どの分野でも完答できる力が必要です。問題演習の中で、自分の苦手な出題パターンや抜けている知識を整理しながら学習を進めましょう。
さらに、時間配分や検算といった実践的なテクニックを養う必要があります。自分に合った問題の解き方を模索しながら、過去問演習や模試に臨みましょう。
共通テスト対策に特化した応用問題の演習におすすめの参考書は、次の1冊です。

短期攻略大学入学共通テスト数学1・A. 実戦編 短期攻略大学入学共通テスト数学1・A. 実戦編
数学
数学Ⅰ・A
短期攻略大学入学共通テスト数学1・A. 実戦編
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榎明夫 吉川浩之
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短期攻略大学入学共通テスト数学1・A 実戦編』(駿台文庫)

共通テスト本番以上の難易度の問題が単元ごとに8題あり、計64題の演習を積むことができます。各問題で目標解答時間が表示されているため、時間配分を意識して問題演習に取り組むことが可能です。さらに、全ての問題で3段階の難易度が設定されているため、間違えた問題の難易度から各単元での理解度を確認できます。
「短期間で演習量を積みたい」「単元別に得点力を伸ばしたい」といった場合におすすめの1冊です。
分からない問題や知識の抜けが多いと感じる場合は、本シリーズの基礎編に戻って学習を進めるのが良いでしょう。

4. まとめ

共通テスト「数学I,数学A」では、基本公式や典型問題の解法といった基礎内容の定着度がとても重要になります。日常生活や実生活に関連した形式でも出題されるため、過去問演習などを通じて問題形式に慣れておきましょう。
また、大学によっては国公立大2次試験や私立大入試で、「整数の性質」といった共通テストで使用しなかった単元が必要になる場合があります。志望する大学の出題傾向をしっかり把握しておきましょう。
新課程の共通テストを受験するにあたって、不安を感じることもあると思います。しかし、それはどの受験生も同じ。問題形式や傾向を理解して万全に対策しておくことで、自信を持って試験本番に臨めるようになります。今回紹介した参考書や過去問を活用して、共通テスト「数学Ⅰ,A」の攻略を目指しましょう!

*各単元の特徴や学習する上でのポイントについては、こちらの記事も参考にしてください!
>>【新課程】数学1A(数IA)が苦手な人必見!基礎固めの勉強法とおすすめ参考書4選

StudiCoサポーター Y.H.
中央大学 理工学部合格