数学が苦手で、いつもテストの得点に波があるという人は多いのではないでしょうか?ですが、文系・理系問わず、国公立大学の受験には、センター試験の数学で7割〜8割以上の得点が必要です。
この記事では、数学が苦手な文系受験生でも、センター試験で7割以上を得点できるようになるための戦略と効率的な勉強法を紹介します!
1. 数学の苦手は克服できる!
数学が苦手な人から、「センスがないので問題を見ても解法が浮かばない」というような言葉をよく耳にしますが、実際、センター試験レベルの問題については、数学的なセンスを問わない問題がほとんどです。
センター試験の数学では、問題の出題パターンをどの程度知っているかということが最も重要なのです。
問題の出題パターンを知るためには、教科書レベルの基本を確実におさえておく必要があります。
数学が苦手な人の中には、基本をおさえずしてセンター試験レベルの問題に取り組もうとする人が多いようですが、まずは、基本をおさえることが肝心だということを心に留めておきましょう。
2. センター試験でクリアすべき分野とは?
2-1. 数学1Aは全分野をまんべんなく学習しよう
例年、数学1Aについては、すべての分野からまんべんなく出題されています。その中でも、近年のセンター試験で必ず出題されているのは、「二次関数」「図形と計量」「データの分析」「場合の数・確率」「整数の性質」「図形の性質」(前から3つは必答問題の分野、後ろから3つは選択問題の分野)です。これらの分野はきちんと学習しておく必要があるでしょう。
必答問題の中で、特に「データの分析」は得点源となる分野です。なぜなら、「データの分析」の内容は覚えて理解していれば得点できるものだからです。
したがって、高得点を目指すには、「データの分析」問題でしっかり得点できる状態となった上で、さらに自分の得意な分野をもう1つ作ることが、重要となるのです。
選択問題に関しては、「整数の性質」と「図形の性質」の2分野からどちらかを選択することになるでしょう。(※出題形式は年度によって変更となることもあるので、大学入試センターのHP等で、必ず事前に確認しておきましょう。)
数学が得意な人であれば、試験時に問題を見比べて解きやすい方を選択する方法で良いと思いますが、数学が苦手な人はどちらか1分野に絞って勉強し、試験時も悩まずに勉強してきた分野を選択するといった対策法がおすすめです。どちらかと言えば、「整数の性質」の分野の方が問題のパターンが少なく、ある程度出題形式が決まっているため、きちんと対策をしていけば得点しやすいでしょう。
2-2. 数学2Bは「関数」分野と数学B全般を学習しよう
数学2Bの出題傾向は「関数」分野(「指数・対数関数」「三角関数」「微分法と積分法」)から必ず出題されています。「関数」の分野は、数学1Aの「二次関数」と「図形と計量」の内容を発展させた分野になるため、これらの分野を事前におさえておく必要があります。
また、数学Bの「数列」、「ベクトル」、「確率分布と統計的な推測」の分野から2つを選択することになります。ここで受験生の多くが「数列」と「ベクトル」を選択しますが、数学が苦手な受験生にとっては、この2つの分野のどちらか、もしくは両方が苦手であるという場合が多いのも現実です。理系の受験生であれば、国公立大2次試験や私立大受験のために「数列」と「ベクトル」を頑張って勉強するべきだと思いますが、文系の受験生であれば「確率分布と統計的な推測」の分野を独学してしまうのも1つの手だと思います。なぜなら、「確率分布と統計的な推測」は数学1の「データの分析」に学習内容の性質が近く、覚えて理解していれば得点できる分野になるので、数学が苦手な人でも得点しやすい分野だと言えるからです。
3. 苦手からの脱出作戦
3-1. 教科書の問題を振り返る
センター試験の難易度は近年難化傾向にありますが、やはり基本は教科書です。センター試験用の問題集を解く前に、教科書や教科書準拠の問題集の問題を確実に解けるようにしましょう。「教科書の問題なんて授業で解いているから余裕だよ!」と感じるかもしれませんが、案外解けなくなっている問題が見つかるのではないでしょうか。
また、教科書に書かれているすべての説明文について納得できるように理解を進めましょう。「なぜこうなるの?」と思った箇所に印をつけて、その疑問を解決していくことで、それまで公式の丸暗記で解いていた問題を「意味を理解しながら解く」ことができるようになってきます。
授業で習った時は理解できなかった内容も、後から振り返ってみると実は簡単だった、ということもたくさんあるので、少し数学の勉強が楽しくなるかもしれません。教科書レベルの問題が難なく解けるようになると、センター試験の問題で5割を切ることはなくなります。
3-2. 問題集を1冊仕上げよう
多くの高校で購入する『チャート式』シリーズ(数研出版)か『ニューアクション』シリーズ(東京書籍)は、受験生の間でメジャーな受験用問題集かと思います。数学が苦手な人におすすめなのは、この中でも“黄チャート”と呼ばれる、『新課程 チャート式 解法と演習』(数研出版)です。センター試験で高得点を狙うのであれば、これらの書籍の例題レベルを確実に解けるようになる必要があります。
かなりボリュームがあるので、例題を仕上げるだけでもひと苦労ですが、解説が丁寧なので進めやすいでしょう。また、何度も反復学習をして、各分野の問題パターンを把握することが大切です。“黄チャート”が仕上がれば、センター試験で7〜8割を切ることはなくなります。
『新課程チャート式 解法と演習数学I+A』(数研出版)
4. 先輩たちの苦手克服エピソード
先輩たちの声を聞くと、やはり基礎が大事だと痛感している人が多いようです。
実際の克服法も踏まえて、参考にしてみてください!
4-1. 模試で伸び悩み...基礎から学び直して克服!
いつもマーク式の模試で点数が思うように取れなかったので、学校の先生に相談したら教科書の問題を解いてみるように勧められました。そのときは、「さすがに教科書は分かるよ…」と思いましたが、実際に解いてみると「あれ?よくわからないぞ?」の連発でした。考えることが苦手なので、定期テストは公式を暗記して乗り越えていたのですが、覚えた公式の意味や使い方を理解していないことに気がつき、かなり焦りました。それから、教科書を読み返して、少しでも疑問に思うところには付せんを貼って、その日のうちに先生や友達に質問して解決するようにしたところ、自然と模試の得点が伸びていきました。
(Tさん/山梨県・国立大学合格)
4-2. 問題集をやっているのに点数が伸びない!
もともと数学が苦手で、やみくもに『チャート式』で勉強していましたが、初めてのマーク式模試では数学の得点が5割前後でした。これではまずいと思い、高校2年生の春休みに数学の教科書を読み込み、教科書準拠問題集の問題を全て解いたら、『チャート式』の例題をある程度理解しながら解けるようになりました。高校3年生の夏休みに『チャート式』の例題を反復して解いたところ、夏休み明けの模試からは7割を切らなくなりました!やはり、受験レベルの問題を解く前に、基礎をきちんと固めた方がいいと思います。
(Sさん/秋田県・公立大学合格)
4-3. 試験時間内に解き終わらない...を克服!
高校3年生の夏まで、数学1Aの選択問題は両方の分野を勉強して、試験時にどちらの分野を解くかを選んでいました。しかし、毎回解答する問題を選ぶのに時間がかかってしまい、試験時間内に問題を解き終わらないことがあったため、秋から「整数の性質」の分野に絞ることに決めました。その結果、本番前の模試では時間内に焦ったり、問題が解き終わらなかったりすることはなくなり、どんどん得点が上がっていきました。本番のセンター試験でも、典型的なパターンの問題が出題されたため、選択問題を完答することができ、合計得点は8割を超えました。私のように選択問題を選ぶのに時間がかかる人はどちらかに絞ってしまうのも悪くないと思います。
(Kさん/埼玉県・国立大学合格)
5. まとめ
数学は苦手意識を持っている人も多いですが、センター試験においては、基礎をしっかり固めることで高得点も狙うことができる教科です。
まずは、記事内で紹介した以下の内容を実行してみましょう。
●1A・2Bのそれぞれの問題傾向を知り、自分が得意にするべき分野を見つける。 ●教科書の内容を必ず確認し、基礎を理解する。暗記で乗り越えていないかチェックする。 ●受験用問題集の例題を反復練習し、問題のパターンを見つけて把握する。
この流れがしっかりとできれば、センター試験で7割以上得点することは難しくありません。高得点を目指して頑張りましょう!