近年英語の検定試験に課されていることが多いスピーキング。大学受験への利用が拡大している「TEAP」においてもスピーキング試験が課されています。スピーキングのスコアを伸ばすには、英会話塾に通ったり、海外留学をしたりする必要があると思われるかもしれませんが、スピーキングの対策も独学できます。
TEAPのスペリングを攻略するための対策方法を、実際の試験に出題されるパート別にレクチャーします。
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1. TEAPとは
※この章の内容はこちらの記事の第1章と一部共通となります。
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TEAPおよびTEAP CBTは、主に高校生を対象に大学入試での利用を想定して開発されたテストです。テスト構成・レベルは、日本における「大学教育レベルにふさわしい英語力」を測るよう設計されています。
スピーキング試験の問題構成は以下の通りです。
Part1 受験者に関する質問
Part2 受験者がExaminerにインタビュー
Pert3 1つのテーマに沿ったスピーチ
Pert4 Q&A
試験は年に3回(7月,9月,11月)の実施、難易度の目安としては英検®準2級〜準1級程度(CFRL A2~B1)です。スコア8割獲得を目指すには、英検®2級~準1級レベルが必要な印象があります。
TEAPのスコアは、技能別に最高点を抽出して提出できることが特徴です。
例えば、高校2年生時の11月に「Reading(R):63, Listening(L):60, Writing(W):72, Speaking(S):81」を取得した後、高校3年生時の7月に「R:78, L:67, W:74, S:74」という点数を取得したら、Speakingのスコアは1度目の方が高かったので、大学への出願に利用する際は「R:78, L:67, W:74, S:81」といったように、技能別に受験回の最高点を抽出して提出できます。
大学の一般入試のように一度きりのチャンスというわけではないので、心のゆとりを持って高いスコアを目指すことができると言えるでしょう。
ただし、スコアの有効期限が2年間なので、大学受験の時期に合わせてTEAP受験日程を組む必要があることに注意してください。高校3年生の大学受験時にスコアを使用しようと考えている場合は、高校2年生から受験することが一般的です。
TEAPの受験結果はCEFRとスコアで評価されます。
CFER :Common European Framework of Reference for Language
海外で生活したり就業したりする際に必要な言語能力の基準が示されたガイドライン。A1~A2が基礎段階、B1~B2が自立した段階、C1~C2が熟達した段階というように6段階に分けられている
TEAPではCEFR基準のB2レベルまでの技能を測ることができます。
2. TEAPスピーキングの対策方法
TEAPにはリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能試験があり、スピーキングの試験は1番最後におこなわれます。試験は1対1の面接方式で、試験時間は約10分です。
スピーキング試験は4つのパートにわかれています。パート別に攻略方法を詳しく解説します。
2-1. Part1の解説と攻略のポイント
TEAPスピーキングのPart1は「受験者についての質問に答える」課題です。習慣や趣味といった日常生活に関すること、中学校や高校での体験といった学校生活に関すること、夢や大学進学後など将来に関することなど、さまざまな質問をされます。
●コツ1 あらかじめ解答を作成
このパートで問われる内容は、簡単な英語で答えられるものばかりなので、あらかじめ日本語で回答を準備し、英語で話せるように練習しておきましょう。過去問などが掲載された問題集から、聞かれそうな内容の検討をつけることができます。準備をしておけば確実に答えられるので、このパートでは確実に点数を取りに行きたいところです。
●コツ2 瞬発力を意識
約2分の時間の中で3~4問程度を聞かれます。本番で回答するにあたっての準備時間はないので、考え込まず瞬発的に英語を話せるようにしておきましょう。英語のスピーキングに慣れるためには、日常生活でも習慣的に英訳をして、ぶつぶつ自分でつぶやいてみるなどの練習法が有効です。自分が使える英語のフレーズを増やしておきましょう。
2-2. Part2の解説と攻略のポイント
TEAPスピーキングのPart2は「受験者が面接官に質問する」課題です。「トピックカード」という、課題の指示などが書かれたカードを使います。トピックカードの内容を即座に理解し、質問文を組み立てる力が必要です。
●コツ 即座に与えられたシチュエーションを判断する
課題のシチュエーションは様々で、「官僚にインタビューする」「芸能人にインタビューする」など、ユニークなシチュエーションを与えられることもあります。インタビュアーになりきって楽しんでみることもおすすめです。準備時間が30秒あるので、この間に面接官に対して受験者が投げかける質問を即座に準備しましょう。このパートにかける全体の時間は約2分です。
2-3. Part3の解説と攻略のポイント
TEAPスピーキングのPart3は「受験者がスピーチをする」課題です。トピックカードに基づいて、1分間スピーチをします。準備時間の30秒で、話す内容を4文程度組み立てておく必要があります。
●コツ1 英語をつぶやく練習で1分間話し続けられるように
練習段階から、とにかく1分間何らかのことを話し続けるトレーニングをするとよいでしょう。この練習は、話す相手がいなくても大丈夫です。まずは自分1人で声に出してつぶやく練習をしてみてください。1分間話し続けられる自信がない人も、実際口に出して練習することで、スピーチにおいて必要な構文や自分に足りていない英単語力が分かるようになってきます。
●コツ2 解答の構成を工夫する
解答を作る際には以下の手順で進めてみましょう。
①トピックカードに書かれた内容に賛成か反対か意見を述べる
②その根拠を述べる
③再度自分の立場の主張を繰り返す
●コツ3 接続詞を活用する
For example, Also, In addition などの接続詞を活用して、自分の考えを詳細に述べることで、根拠のある主張を展開することができます。
2-4. Part4の解説と攻略のポイント
TEAPスピーキングのPart4は「さまざまな話題についての質問に答える」課題です。日常の話題というよりも、社会的トピックについての話題が多くなります。各質問に対して賛成か反対かの立場を示した後、その理由や根拠を1~3文で答えます。
●コツ 話を広げられるような解答に工夫
なるべく多くの事柄に触れて答えられるように、質問に対する返答のひと言目を工夫し、話を広げられるようにすることが成功のコツです。
本番で回答するにあたっての準備時間はありません。瞬発力が求められていることに留意しましょう。
3. TEAPスピーキング対策におすすめの参考書
TEAPのスピーキング対策に役立つ参考書を紹介します。
TEAPの参考書・問題集自体、市販されているものが少ないので、インターネットなどでの購入・取り寄せも適宜検討してください。
『TEAP実践問題集 』(旺文社)
4技能全ての対策ができることが特徴で、網羅的な学習ができます。また、本番で使用するものと同様の形式のマークシート式の解答用紙が付いているので、解答の練習もすることができます。
リスニングアプリ「英語の友」に対応しているので、音源を聞く際もCDプレイヤーを用意する必要がなく便利です。
英語の友とは…
英語の友(iOS・Android対応/ダウンロード無料)
旺文社刊行の英語資格試験対策書に対応したリスニングアプリです。英検・TOEIC・TOEFL・IELTSなど、対策書に付属する音声を再生することができます。CDを再生する必要なく、スマートフォンで手軽に音声が聞けるので、書籍での学習をより効果的に進めることができます。
『TEAP攻略問題集』(教学社)
過去問とその解説だけでなく、受験のコツや勉強法を掲載していることが特徴です。TEAP対策で初めて取り掛かる問題集にも適しているでしょう。
『TEAP技能別問題集ライティング/スピーキング』(旺文社)
ライティングとスピーキングのパートに問題が絞ってあることが特徴です。分野別に問題が収録されているので、他のどの参考書よりも各技能に絞った学習ができるでしょう。
スピーキングの問題に多く取り組みたい人は、この1冊が大きな助けになるでしょう。また、アプリ「英語の友」に対応しているので、効率よくスピーキングの学習が進められます。
出題内容の詳しい解説やワンポイントアドバイス、TEAP受験コラムが多く掲載されているので便利です。
4. TEAPスピーキングの勉強法
4-1.スピーキングに有効な学習方法
スピーキングの学習法として有効なのは、「ひとりディスカッション」をしてみることです。出てきたトピックに対して、ひとり言のようにぶつぶつと自分の意見を英語で話してみるという学習法です。
スピーキングの練習は誰かに付き合ってもらう必要があるように感じるかもしれませんが、ある程度力がつくまでは、自分1人で練習した方が効率は良いです。
また、頭の中で英文を作り声に出してみることで、まだ身についていない表現方法や単語に気づき、集中的に鍛えることができます。このスピーキングの学習法は、TEAP以外にも応用することができ、面接官ではなくパソコンに向かって話すGTECやTOEFLの試験の際にも役立つでしょう。
「ひとりディスカッション」で長く英文を話せるようになったら、誰かに英語を話してみましょう。自分1人である程度話せる練習ができていると、英語を伝える相手がいる状況でも、過度に緊張することなく話しやすくなります。学校の先生や友だちに聞いてもらいましょう。
学術的な語彙やフレーズを使いながらスピーチができるようになるためには、ラジオの聞き流しが有効です。TEAPのレベルに対応するには、NHKのラジオ講座「ラジオ英会話」やBBCの「World news」などを集中して聞くことをおすすめします。
また、学園ものの海外ドラマを見ることで、日常的に使うフレーズやトピックを多く身につけることができます。とっさに話す時にも役立ちますので、ぜひ参考にしてみてください。
4-2. 番外編:発音力向上について
試験では英語の発音も評価されます。自分だけで発音の質を向上するのはなかなか難しいですよね。そのような時に役立つのは「ELSA」というアプリです。AIによって自分の英語発音の「ネイティブ度」を測ってくれて、発音矯正に役立ちます。発音もレベルアップさせながら、スピーキングの点数に繋げましょう。
5. まとめ
TEAPスピーキング対策のまとめです。
●Part1:自分自身について語る課題では、あらかじめ日本語で回答を準備し、瞬時に英語で話せるように練習しておく。
●Part2:即座に英文を組み立てるインタビュー形式の課題では、準備時間のうちに面接官に対して受験者が投げかける質問を準備しておく。
●Part3:トピックカードに基づいて1分間スピーチをする課題では、練習段階からとにかく1分間何らかのことを話し続けられるようにトレーニングしておく。
●Part4:さまざまな話題についての質問に1分程度話すことが求められる課題では、なるべく多くの事柄が答えられるよう、質問に対する返答のひと言目を工夫し、話題を広げられるようにする。
参考書やアプリも活用しながら、着実にスピーキングの点数を伸ばしていきましょう!