この参考書のレポート
- 総合満足度
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- わかりやすさ
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- 見やすさ
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- 使い勝手
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- 使い始めた時期
- 高校卒業後 ・4月
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- 使用期間
- 1年以上
使い方レポート
「『良問』と『重問』どちらを選ぶ…?」 そんなアナタに捧ぐ!
一言でいえば、“旺文社版 重要問題集”といったところ。
数研の『実践 化学重要問題集』(以下、『重問』)にそっくりな紙面構成になっており、明らかに『重問』を意識したつくりになっていますね。内容のみならずこれほど紙面構成まで寄せているのは、類書溢れる学参業界でも珍しいです。
そのため、どちらを選ぶか悩んでいる人も多いと思います。
そこで、本レビューでは、読者の皆さんが理解しやすいよう、両者を対比しながら説明を進めます!
1.解説面の特徴
解説そのものは“詳しめ”という評価。「とても詳しい」とまでは言えませんが、学習者の疑問点を解消するには、まずまずなものと言えるでしょう。
ただ、付言すれば、『重問』では、「問題自体の解説」に加えて、右側に“欄外”を設定して脚注のような形で「より基本的な知識事項の紹介」や「理解を助ける追加の解説」が多く盛り込まれています。
一方、『良問』にも類するものが設けられていますが、“比較的あっさり”と書かれている印象です。分量としては多くありません。
こうした基本事項の説明などがあると、問題演習をしながら基礎に立ち返りつつ学習できるので、多くの知識を整理・吸収でき、今後につながる効果的な学習が出来ます。
この点では、『良問』は「改訂版に期待」といった印象ですね。
2.問題の配列に関する特徴
逆に、「問題の難易度が初歩から入試実践レベルまで三段階にレベル分けされていて、順を追って学習しやすい」のは、『良問』の側の美点でしょう。
『重問』では、いきなり「入試基本~標準レベル」の問題からはじまりますが、『良問』は「基礎レベル」の問題から掲載されており、階段をのぼるように基礎から順番に学習できるのが嬉しいところ。何事も基礎が肝心!特に受験勉強はそれにつきます。
とはいえ、上述のような特徴を持つ『良問』と言えども、『セミナー』や『リードα』などの教科書傍用問題集や、特に『基礎問題精講』(以下、『基礎問』)を一通りこなしてから利用しないと、「必須問題」や「レベルアップ問題」のレベル的に途中で挫折する可能性もあるので、注意が必要です!
参考書・問題集は「薬」と一緒です。薬は服用の仕方や順番を間違えると本来の効力を発揮してくれないばかりか身体に悪影響を与えることがありますよね?
優れた参考書や問題集も使用方法や順序を間違えると効果が低下するばかりか、その教科への知的好奇心を阻害することにもなりかねないので、自分のレベルと状況をきちんと冷静に把握して、利用するものを正しく選択しましょう!
3.問題数
問題数は合計341題で、内訳は「理論化学184、無機化学56、有機化学62、高分子化合物39」となっています。『重問』の問題数268題(理論化学145、無機化学43、有機化学45、高分子化合物22、総合問題13)と比べても約70題ほど数が多いですね。
これは、他と比較しても多く、「類書の中で最多クラスの問題数」と帯で宣伝しているだけはあります。
こうなっている理由は、「基礎レベル」の問題から構成される「確認問題」を掲載していることにあると筆者(アベ)は考えます。
そのため、時間的な余裕がないと、教科書傍用問題集や『基礎問』をやったうえで『良問』一冊全部をきちんとこなしてモノにするのはなかなか至難の業です…。
ただ、「『基礎問』などをぶっ飛ばして、問題集一冊で入試レベルの問題に一定程度は対応できるところまで到達せねば…!」という、時間的に追い詰められた受験生であれば、話は別。
取り組むべき100題をピックアップしてくれているなど、優先順位をつけて学習しやすい点からも、上述のような学習者に持って来いと言えるこちら。「『良問』を一冊やりこなして、ここにある内容をきちんと身につけましょう!」という形でやることは、十分に効果的な学習法だと言えます。(ちなみに『重問』ではそういう学習法は推奨できません。)
4.注目著者・柿澤壽先生
さて、『良問』について何よりも特筆すべき点は、共著のひとりとして、化学(基礎)の分野で最近大人気の参考書である『とってもやさしい化学・化学基礎』の著者、柿澤壽先生の名が入っているということです。
「とってもやさしい」という書名の通り、とても分かりやすくかつ必要十分な情報を解説して下さる柿澤先生は、この『良問』でも余すところなくその力を発揮されています。
そのため、解説の質や本の題名でもある「良問」の選定の質としては、類書と比較しても高いと言えます。
~本レビューを参考に、皆さんの状況を踏まえてご利用をお考えくださいね!~