この参考書のレポート
- 総合満足度
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- わかりやすさ
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- 見やすさ
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- 使い勝手
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- 使い始めた時期
- 高校卒業後 ・11月
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- 使用期間
- 1ヶ月〜3ヶ月
使い方レポート
わかりやすさのために一般性を捨てていない。
物理学の多くの基本原理は微積分やベクトル解析を含む方程式で記述されるが、高校生(特に低学年)には、微分方程式やベクトル解析を扱えない学生が多い。そこで高校物理では専ら、簡単な数学のみで議論できるような限定的な場合を対象としている。よって扱う数式も一般的な(より多くの場合を含む)ものが減り、かえって根本的な部分が見えづらくなっているように思われる。一方大学入試では、数学的手法を問題中で与える、誘導をつけるなどして数学的な障害を除き、題材にする現象を増やそうとしているように見える。
このように、仕方がない部分もあるとはいえ、日本の高校生は回りくどいことをさせられている。大学入試を受けるときには多項式や三角関数の積分をしているにもかかわらず、物理で微分方程式を敬遠するというのは、随分いびつなことである。
『新・物理入門』は、数式の食わず嫌いをせずに辛抱強くテキストを読むことのできる学生が、高校物理のいびつさから逃れ、物理をより深く学ぶのに役に立つ。本書は参考書として、教科書と問題集を別に用意するのが良い。本書の数式や図を紙に書きながら議論を追って理解し、他の教科書や問題集などに出てきた現象を、(各小問に答えるだけでなく)本書のような観点から分析することで、見たことのない問題でも根本原理に従って対応できるようになってゆく。時間と労力を割いて大学入試で物理を強みにしたい人に勧める。