「英検に合格したいけどリスニングが苦手で足を引っ張る…」――そんな状況に陥っていませんか。
英検を含めた英語試験でリスニングの配点は高く設定されていることが多いものの、勉強法がイマイチわからずに対策を後回しにしてしまっているケースも多いかもしれません。
安定して点数を取り、リスニングを得点源にしていくには、「音読」や「シャドーイング」といった学習法が有効です。英検に焦点を当てたリスニング対策で、確実に得点へつなげましょう!
1. リスニング力向上に有効な「シャドーイング」「音読」
リスニング力を鍛えるためにおすすめの方法が「シャドーイング」です。
シャドーイングとは、聞こえてきた音声をそのまま真似して発音する学習法のことです。英検において必要とされる正確なリスニング力をつけるためにも有効な学習法であるため、ぜひマスターしましょう。
シャドーイング学習のメリットと実際のやり方を紹介します。
1-1. シャドーイングで得られる力
シャドーイングを通して身につけられることは、以下の3点です。
- 英語発音の特徴に慣れることができる
- 英語発音の地域差に気づけるようになる
- 英語を英語のまま理解できるようになる
順番に詳しく解説します。
(1)英語発音の特徴に慣れることができる
「シャドーイング」の練習をすることによって、ナチュラルな英語の発話スピードや英語特有のイントネーション、文章の運び・言い回しなどを、自分でも真似して実践できるようになります。また、自分で発音しながらスクリプトを確認する作業を進めることによって、脱落している音やリンキング(linking:前後の音と音とのつながり)に気づけるようになります。
(2)英語発音の地域差に気づけるようになる
近年、リスニング問題では、アメリカ英語とイギリス英語の両方の話者による読み上げが出題され、英語圏内でも異なる発音への対応力が求められるようになりました。「この男性の声では聞き取れるのに、この女性の声で出題されると聞き取りにくい…」――このような悩みを抱えていませんか。もしかしたらその「聞きづらさ」は、地域独特のアクセントにより発音されにくい音があったり、独特の抑揚があったりすることに起因するかもしれません。実際に出題された時、話者の地域差によって異なる発音に動揺しないよう、シャドーイングの練習で、様々な地域特有の英語発音にも慣れておきましょう。
(3)英語を英語のまま理解できるようになる
英語の音は聞き取れても、頭の中で日本語に訳する作業に時間がかかってしまうという人もいるのではないでしょうか。シャドーイングをしつつスクリプト(和訳文)を確認する作業を繰り返すことで、意味を理解しながら、英語を聞くトレーニングができます。英語を英語のまま理解できるようになると、意味を理解できないまま、いつのまにか次の問題に進んでいたという事態を防ぐことができます。
1-2. シャドーイングの学習法
それでは実際に、シャドーイングの方法を具体的に説明します。
まず、準備するものは以下の2つです。
・英語本文が書かれたテキスト
・CDプレイヤー/英語教材音声サービス(アプリなど)
シャドーイングに取り組む際には、音声が対応した教材が必要です。CDが付属している、音声再生用アプリがあるなど、音源提供サービス対応の教材を選ぶようにしてください。
教材の準備ができたら、音声を再生してシャドーイングにチャレンジしましょう。
シャドーイングは「影」のごとく、聞こえてきた音声をなぞりながら発音をしていきます。
- 音声を流す
- 聞こえてきた音声を聞こえたままに発音する
- 聞き取れなかった部分をスクリプトで確認
- 2,3の作業を繰り返す
シャドーイングの進め方は上記の通りなのですが、最初はなかなか難しいと思います。初めのうちはスクリプトを確認しながら、音声と同じ速さで口を動かせるように練習してみましょう。
シャドーイング練習をするにあたって、初めからすべての音を聞き取れなくても大丈夫です。
「聞こえてきた音声をそのまま自分で発音してみる」というシャドーイングの手法に慣れるまで、何度も繰り返し同じ教材に取り組んでみましょう。
慣れてきたら、英文を見ずに音声だけでのシャドーイングにも挑戦してみてください。
1-3. リスニング力の基礎を鍛える「音読」
シャドーイングしかり、リスニングの勉強に「音読?」と思うかもしれません。スピーキングの対策だけでなく、リスニングにも音読は有効な勉強法なのです。いきなりのシャドーイング練習がやはり難しいといった場合、リスニングの対策には、まず「英語を聞いて実際発音する」機会を増やしてみることから始めてみましょう。
音読を通した勉強法は次の通りです。
- リスニング問題を解く
- 苦手だと感じた問題を中心に英文のスクリプトを確認する
- 一度で理解できなかった新出単語の意味や日本語訳を確認しながら音読
- 日本語訳を思い浮かべながら音読
リスニング力向上には、自分の声からも耳に英語を慣れさせるという作業が効果的です。音読回数の目安として、3~5回ほど同じ文章を繰り返し音読することをお薦めします。
最初は時間がかかり、音読を絡めた勉強法にハードルを感じるかもしれません。ですが、リスニング対策は「急がば回れ」。コツコツとした積み重ねが重要です。
音読をしながら、本文中に出てくるわからない単語やあいまいな発音を調べることによって、単語力や文法・発音問題への対応力の強化、またスピーキングに使える表現を覚えることで話す力の強化にもつながります。
また、音読に使う教材は、リスニング問題以外でもOKです。例えば、英検のリーディングパートに出てくる文章も、どんどん「音読」して使ってみましょう。耳から英語を取り入れる習慣を増やしてくださいね。
2. リスニング・シャドーイング練習におすすめのアプリ
シャドーイングの練習をしていると、「音声の一部分が聞き取れなかった」「どうしてもうまく発音できない」といったことが起こります。
「何度も巻き戻して練習したい!」と思った時に便利なのが、出版社がサービスの1つとして提供している、英語音声付き教材に対応したアプリです。
ここでは2つのアプリを紹介します。
●旺文社リスニングアプリ「英語の友」(iOS・Android対応/ダウンロード無料)
旺文社刊行の英語資格試験対策書に対応したリスニングアプリです。英検・TOEIC・TOEFL・IELTSなど、対策書に付属する音声を再生することができます。CDを再生する必要なく、スマートフォンで手軽に音声が聞けるので、書籍での学習をより効果的に進めることができます。
さらにこのアプリの便利な点は、バックグラウンド再生や単語のシャッフル再生など、語学学習に便利な機能が満載であることです。3秒巻き戻しや読み上げ速度の調節もできるので、シャドーイングの練習にも最適です。
●Audipo
・iOS版アプリ
・Android版アプリ
音声の速度変更機能があり、端末内に入れた音声の再生速度を調節しながら勉強することができます。
自分に負荷をかけて勉強を進めたい場合は、このアプリを使って1.5倍速などで練習を進めてみてください。1.5倍のスピードに耳を慣らしておくと、試験本番の音声のスピードに余裕を持って臨むことができるようになり、リスニング力向上にかなりの効果が得られます。
また、このスピードでシャドーイングができるようになると、ネイティブレベルの話すスピードも身につけることができます。ネイティブの会話テンポが速過ぎて聞き取れない…という悩みも解決できて、一石二鳥。音声の速度を変えながら勉強したい時はこのアプリを活用してみてくださいね。
3. シャドーイングにおすすめの教材
シャドーイングという勉強法は、どの試験のリスニング対策にも役立ちます。
英検対策と日常学習向けにそれぞれおすすめの教材を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
~英検対策向け~
リスニング・シャドーイング練習におすすめの教材
●『英検分野別ターゲット リスニング問題』(旺文社)
●『英検 でる順 合格問題集[新試験対応版]』(旺文社)
英検のリスニング試験も同様にシャドーイングで対策が可能です。
特にシャドーイングの練習が有効なのは、長文リスニングです。準2級からは1度しか文章が読まれないので、1回で英語を理解するトレーニングがさらに重要となります。シャドーイングの練習で耳を鍛えましょう。
なお、ここで挙げた参考書は、前章で紹介したアプリ「英語の友」に対応しているので、CDを出し入れするなどの手間なく、アプリで手軽にリスニング・シャドーイングの練習ができます。
~日常学習向け~
リスニング・シャドーイング練習におすすめの教材
●『NHKラジオ英会話テキスト』シリーズ(NHK出版)
日常的なリスニング学習に役立つ、NHKのラジオ講座です。NHKのラジオストリーミングアプリ「らじるらじる」から音声を聞くことがでます。いつでも自分のタイミングでラジオを聞くことができるので、スキマ時間の学習にもぴったりです。
さまざまな講座が開講されており、自分の目的や実力に合った番組でリスニング力の維持や向上を目指すことができます。
このラジオ講座においても、ただラジオを聞き流すのではなく、シャドーイングをすることで受動的なリスニングから能動的な学習に切り替えられます。
4.まとめ
リスニングは独学によって能力を伸ばすことができる分野です。
音読・シャドーイングといった学習法を通して、リスニング力を徹底的に鍛えましょう。以下にポイントをまとめます。
●音読のポイント
・スクリプトは3~5回ほど繰り返し音読する
・音読を繰り返すことで“英語耳”が育つ
・単語力や文法・発音問題への対応力も強化される
●シャドーイングのポイント
・音声付きの教材を利用する
・効率アップにはアプリを活用する
・シャドーイングはどの検定や試験の対策にもなる
英語をしばらく聞いていないとリスニング力は低下してしまうので、毎日もしくは2~3日に1度は英語を耳から取り入れましょう。
シャドーイングのトレーニングによって、英語を英語のままインプットできるようになると、頭の中で日本語に訳す時間が節約できるようになるので、長文リスニングにも対応しやすくなります。
音読・シャドーイングの練習といった英語に触れる機会を増やして、リスニングを大学受験・英語資格試験での得点源にしましょう!