受験生が年に何度も受ける模擬試験。1科目あたり90分程度の試験時間がある模擬試験を復習しようとすると、分量も多く、また普段受けている定期テストよりも難易度が高いため、時間もかかりますよね。復習しなければと思いつつ、学校の課題に追われていたり、どこから取り組んで良いかわからなかったりして、手がつけられずつい後回しになっていませんか。模試には得点力を伸ばすヒントがたくさん詰まっています。上手く活用すれば弱点を効率よく強化でき、さらなる飛躍につなげることができます。せっかく受けたのですから、活用しないのは非常にもったいない!模試復習のタイミングを「受験中」「返却時」「長期休み・休日」の3つに分けて、復習の効果を最大化しましょう。“一度間違えた問題、次は絶対に間違えない!”――そんな気持ちで模試受験に取り組むみなさんを、この記事で応援します!
1. 模試復習の意義
模試を受験する回数は、学校にもよりますが、高校2年生で年5~6回、高校3年生では年間10回以上受けるケースもあります。通っている塾や予備校で受ける模試を含めると、さらに増えるでしょう。毎日忙しい高校生がこれだけの回数、時間を割いているのですから、ただ受けて終わりにするのではなく、効果的に活用したいところです。模試を受験するのは、現時点での自分の実力を把握するためだと思っていませんか。返却された成績表を見て一喜一憂、――模試の意義は決してそれだけではありません。模試は受験後、復習する時にこそ真価を発揮するのです。
・入試を想定した問題に取り組む力をつけられる
一般的に、模試は出題範囲が指定されていないため対策が難しいと言われています。さらに、学校の定期試験よりも試験時間が長いことが多く、各問題の時間配分を考えたり、集中力を保ったりするのに苦労することもあるでしょう。出題範囲の不確定さ、長い試験時間…こういった性質は“模擬試験”の名の通り、大学入試と同じ。入試を想定した問題を繰り返し解くことで、問題への対応力や時間配分の感覚、集中力などを鍛えることができます。
・学校の勉強や自習だけでは気づけない、弱点や苦手を見つけられる
模試は学校の定期試験よりも難易度が高く設定されていることが多いです。基礎力を問う設問とともに、普段の定期テストや問題演習ではあまり出会わないような、複数単元にまたがった応用問題が出題されることもあります。そのため、試験中わからない問題にあたったり、思うような点数が取れなかったりすることもあるでしょう。しかし、そういった結果だけを見て落ち込む必要はありません。入試本番の前に初めて解く問題に取り組むことができるというメリットとして捉えてみましょう。大切なのは、「難しいから」「わからないから」などと言って、模試を“受けっぱなし状態”にしないこと。自分がどこを間違えたのか、なぜ間違えたのかを特定することで、普段の学習では気づけない自分の苦手分野を把握できます。苦手がわかれば、それをもとに適切な対策が打てます。
点数や合格判定だけを見て一喜一憂するのではなく、1回ごとの模試を活用し、次の模試につなげましょう。
2. 模試復習の3ステップ
模試の問題はボリュームがあり、復習を始めるハードルが高く感じますよね。スムーズに「解き直し」を始められるよう、効率的に復習するためのコツを、3ステップの各タイミングに分けて紹介します。
2-1. 【ステップ1】受験中 ~復習の準備~
模試復習の準備は、実は模試を受けている時から始まっています。試験中、理解があやふやなまま解いてしまった問題やカンで解答した問題に印をつけておきましょう。その試験ではたまたま正答できていたとしても、その後受験する模試や本番の試験での失点につながるかもしれません。こういった問題を記録しておくことで、復習する際スムーズに「次回解けるかはあやしい」問題、「カンで答えたからこそ間違えてしまった」問題の原因を特定することができます。初めから模試の全問題を解き直そうと思うと気が重くなりますが、あらかじめ復習に力を入れたい問題に目星をつけておくことで、重点的に復習すべき問題をすぐに見つけることができ、復習に取り組むハードルを下げることができます。
【ポイント】
・模試を受けながら、難しいと感じてあやふやなまま解いてしまった問題を記録する
2-2. 【ステップ2】返却時 ~クイック復習~
模試が返却されたら、まず何を確認しますか?志望校の合格判定や順位など、気になることは色々あると思います。模試の返却後ある程度気になる点を確認したら、そこで終わりにせず、自分が間違えた問題とその正答を確認してみてください。特にすべきは、問題の正答率と自分の解答結果を照らし合わせること。正答率の高い問題で間違えていたら、相対的に自分の苦手分野であるということがわかります。模試の結果を通して自身の苦手を特定することで、その後の学習の方針を立てることができます。
次に、解答解説冊子に載っている「重要なポイント」などを読んでマーカーを引きながら、自分がなぜ間違えたのかを確認しましょう。解答解説冊子はポイントまとめの宝庫です。例えば、古文・漢文であれば重要構文のまとめ、日本史であれば年代史がわかりやすくまとまった表、英語であればリスニングのコツなど、普段の問題演習とは異なるアプローチの解説が掲載されていることがあります。解答解説冊子の重要部分を押さえることで、模試の復習がぐっと楽になりますよ。
返却後すぐのタイミングには、あくまで間違えた問題とその原因を確認するというクイックな復習でOK。全ての問題を解き直さなくては…と気負うことなく、30分から1時間ほどの時間を確保して終わらせましょう。返却されてからできるだけ早いうちに、受験した全科目の「間違えた問題」「ミスの原因」「今後の勉強の方針」だけざっと整理しておくと、この後の復習の効率が良くなります。
【ポイント】
・問題の正答率と自分の解答結果を照らし合わせ、苦手分野を把握する
・解答解説冊子の「重要ポイント」をチェックして、間違えた原因を特定する
2-3. 【ステップ3】長期休み・休日 ~じっくり復習~
学校のある平日は課外活動や部活、課題や授業の予習・復習に追われ、なかなか時間が取れないことが多いですよね。一方、長期休みや休日は比較的まとまった時間が確保でき、全科目の問題を解き直せる絶好のチャンスです。
模試を返却された時に「クイック復習」をしておけば、間違えた問題の解法が一度頭に入った状態になっていると思います。長期休みなどまとまった時間が取れたタイミングには、実際に自分がその問題を解くことができるのかどうかを確認するため、模試全体を見返して解き直してみましょう。模試を受験してから一切問題に触れていないと、かなり期間が開いてしまうので、一からおさらいしなければなりませんが、返却時にざっと整理していれば、解法が身についているのか確認するところから始められ、効率的な定着を図れます。
一気に全問題を解くほどの時間はないという場合は、「この科目だけ」「理解があやふやな部分や間違えた問題だけ」といった形でアレンジしても良いでしょう。長期休み・休日でじっくり復習できるタイミングでは、ぜひ自分の手を動かして解き直してみてください。
【ポイント】
・返却時の「クイック復習」で頭に入れた解法を、実際に問題を解いて身についているか確認する
3.おすすめの模試復習ノートの作り方
長期休み・休日に「じっくり復習」をする時におすすめしたい、模試の復習に便利なノートの使い方を紹介します。
まず、ノートは見開きで使います。左ページを問題の解き直しに、右ページをポイントまとめに使います。1つの模試の1科目に対して、2ページ分の1見開きを使ってください。5色パックのノートを購入し、科目ごとに色でノートを分けるのも良いです。
左ページは、縦に3分割します。これは、3回解き直しができるようにするためです。左から1回目、2回目、3回目の解き直しに使います。
使うタイミングとして、例えば、1回目の解き直しスペースは模試返却後の週末に、2回目のスペースは長期休みの解き直しに、3回目のスペースは特に力を入れたい分野や1・2回目で間違えた問題などに使うのがおすすめです。1ページの中に自分の解答を記録できるので、以前自分が間違えた問題が解けるようになっているか、正答率が変化しているかを確認できます。
右ページは、左ページで解き直した問題の解答のコツや、間違えたポイントのまとめに利用します。こうすることで、「この1見開きを確認すれば、さまざまな問題に対して自分が苦手としているポイントがわかる」ノートを作ることができます。
このようにして作成した1冊の模試復習ノートは、自分が間違えやすいポイントがまとまっているため、次回模試前日の復習にも役立ちますよ。
1冊に模試対策を集約させることで、自分の学力の成長や、得意・不得意傾向もつかみやすくなります。最初は手間に感じるかもしれませんが、ぜひ取り組んでみてくださいね!
4. まとめ
模試の効率的な復習方法と、おすすめの復習用ノートの作り方を紹介しました。
模試の復習は、最初から全てを終わらせようとするとハードルが高いですが、受験中に復習すべき問題を絞ることで取り掛かりやすくなります。また、返却時に「クイック復習」しておくことで、長期休みの「じっくり復習」を通し、知識や解法が定着しやすくなります。
難しく感じる問題も、復習を繰り返すことで解けるようになります。一度間違えたミスを繰り返さず、弱点を強化しさらに学力を伸ばすため、3ステップの復習で模試を最大活用してくださいね!