受験勉強を頑張るモチベーションとして「大学でのキャンパスライフをイメージしている」という人、「大学生活がどんな感じか知りたい」という人へ。
現役大学生4名が「大学生と高校生の違い」「リアルなキャンパスライフ」について語り尽くします。異なる大学・学部に通うメンバーですが、大学での学びの内容からお金の使い道・友達に関することまで、幅広く話してみると共通点もたくさん…!
大学入学後に待っている世界を、ちょっと覗いてみましょう。
*この記事の後編はこちら
~登場人物~
・Tさん:大学3年生。専攻は日本語・日本文学史。
・Oさん:大学3年生。専攻は法学。
・Hさん:大学3年生。専攻は土木工学。
・Nさん:大学3年生。専攻は日本史。
1. 宿題を出さなくても怒られない!?大学の授業とは
-Oさん:
大学生と高校生の一番大きな違いは、やっぱり「授業」だよね。
-Hさん:
授業にも『必修科目』『選択必修科目』『自由選択科目』や、『教養科目』『学科の専門科目』など種類があるよね。
-Oさん:
低学年の授業は、どの学科でも必修科目が多い印象かな。
-Tさん:
他にも免許や資格を取るための授業もあるよね。特に教職課程(※)は大変って聞くよ。ほぼ全学部で教員免許は取得できるけれど。
(※教職課程‥‥教員免許状の取得するために必要な大学の課程)
-Oさん:
他にも大学の授業は、宿題を出さなくても怒られないけれど、単位を落としたら最悪の場合進級できなかったりする。高校と違って『自己責任』の場所だし、出席についてもうるさく言われることは少ないかな。でも単位取得が危うくなったとしても、高校のように個別に対応してくれたり救済措置があったり…といったことはない。自己管理が大切になるね。
-Nさん:
時間割も個人差があるよね。高学年になると同じ学科の友達でも週に1コマしかかぶっていない、なんてこともよくある話だよね。
-Hさん:
でも、高校までは5教科を中心に万遍なく学習するけれど、大学では自分の学びたい分野を徹底して追究できるから、そこが一番の魅力だよね!
-Tさん:
低学年の間は第二外国語など必修科目が多いから、初めから専攻分野を決めて深掘りする、というわけではなくて、学年が上がるにつれて専門性が高まる場合がほとんどかな。だから「この分野に興味があるけれど難しそう」と思って諦める必要はないよ。
-Nさん:
確かに1年生の間は『概論』(※)の授業が多かったなあ。高校の内容も含めて幅広く学んだけど、同じ内容でも高校の先生と大学の先生とでは話し方や捉え方が異なっていて、新鮮な気持ちで授業を受けた記憶があるよ。
(※概論‥‥その分野の大まかな部分を学ぶ基礎的な内容の授業)
-Tさん:
それと紙でノートをとることがなくなったよね。
-Hさん:
今の大学生は一年目からパソコンがないと厳しい。課題提出も講義ノートもパソコンだね。依然としてオンライン授業もあるし。
-Nさん:
パソコンを持っていないから講義のリアクションペーパー(※)をスマホで入力して提出している人がいるけれど、スマホで長文を書くのは限界がある。タブレットもパソコンに比べて限界があるように感じる。タブレットでパソコンは補完できないかな。パソコンを優先的に購入して、タブレットは後から必要になった時に買う、それでも全く問題ないと思う。
(※リアクションペーパー‥‥講義の後に授業の感想や意見を記入するために学生へ配られる用紙)
-Hさん:
講義資料をPDF(※)データでもらうことが多くて、ペーパーレスが進んでいることを実感しているね。授業中はタブレット端末でダウンロードした資料に書き込んでいるよ。
(※PDF‥‥「Portable Document Format」の略で、”電子的な紙”としてよく使用されるファイル形式の1種)
-Tさん:
私は今タブレットが欲しいかも。ただ対面授業では紙で資料をもらうことも多いので、活用し切れるかちょっと微妙。
-Oさん:
それとタイピングはできるようになるべきだね。オンラインのテストが増えてきているので、練習するのは早いに越したことはない。
-Tさん:
タイピングについては入学時にパソコンを購入して、レポート書くなりメモとるなりしていたら気がついたらできるようになっていたけど、タイピングが早いと色々有利。あとはショートカットキー(※)とかも覚えておくと便利。
(※ショートカットキー‥‥パソコンのさまざまな機能を使用する際、画面上のメニューから操作するのではなく、手元のキーボードを使って素早く機能を動作させるスキル)
2. 学部によって色々!大学の「専門分野」ってどんな感じ?
-Oさん:
Nさんって日本史が専門分野だよね。ずっと日本史の授業を受けているの?
-Nさん:
1年生は日本史だけではなく西洋史、東洋史、考古学の授業も受けていたなあ。他にも「歴史を学ぶ姿勢」を学ぶ授業もあったよ。3年生になった今は日本史に関係する授業がほとんどだね。時代は古代から現代まで様々。今は本格的に古文書を読んでいて、この1年は「くずし字」を読んでいるよ(主に江戸時代以前の日本で使われてきたミミズの這ったような文字のこと)。
他にも博物館における資料保存の方法や文化財科学についても勉強しているかな。西洋史や東洋史を専攻している友人の中には、歴史を学ぶためにトルコ語やギリシャ語などの言語を勉強している人もいる。第二外国語以外の語学が必要なことも。専攻分野を追究するために様々な科目を履修して、最終的に卒業論文(卒論)を書いていくよ。
-Tさん:
「くずし字」、私もやった!字母(もとになる漢字)が全然違うのに、「くずし字」になると似た形になるので判別が難しくて読み間違えたり、、私の学科では卒業時に卒論発表(※)と試験があるんだけど、その試験でくずし字の判別が問われるそうで、今から震えているよ…。
(※卒論発表‥‥大学4年生の時に提出する卒業論文・研究等の最終的な成果発表)
-Hさん:
卒論を書く時には「くずし字」ができる前提で、それから深い考察をしていく感じ?
-Nさん:
「くずし字」が読めることは近世以前を専攻した人にとっては必須事項かな。政治に携わるような人が書いた史料と庶民が書いた史料では、使っている文字が異なる場合も多くて、また時代によっても字は変化しているから奥が深いんだよ。
でも実は私の専攻は現代史なんだ。だから「くずし字」は必要ないけれど、日本史コースでは専攻する時代を問わず「くずし字」を読む授業は必修科目なんだよね。ちなみに現代史は「なんでも研究できちゃう」ことが最大の特徴で、たとえばファッション誌の歴史について発表するために、雑誌の創刊号を国立国会図書館(※)で探したり。身近な分野を研究できる面白さがある。
(※国立国会図書館‥‥国会に属する唯一の国立の図書館。日本で刊行された全ての出版物を保存している)
-Tさん:
日本文学・日本語学でも、同じように「くずし字」は読むためのツールというか、「くずし字」だけに注目することは少なく、読んだ上で内容や背景を含めた考察が必要。日本語学だと音声資料が残っているのはここ100年間くらいだから、文字媒体が主要で、どんな文字がどのくらい使われているか定量的に調べて当時の音声を推測したりもする。
-Hさん:
今の話を聞いてたらかなり専門性が高いことがわかるね。
-Nさん:
「歴史を学んでいく」と大きくいっても、歴史を学ぶ心得から学んでいったり。
-Hさん:
広いところから学ぶ『概論』から始まるのはどの学部も同じだね。
-Nさん:
理工学部や法学部は高校の学びが直結しているイメージがないけれど、実際はどのような感じ?
-Hさん:
大学でも、高校で習った微積分や物理の力学などは使うよ。大学数学や大学物理は高校の学びがベースになっているからね。大学1年の後期くらいから専門性が高まるので、全く新しい内容が増えてくる。8割くらいが大学で新たに勉強した内容かな。
-Nさん:
ほとんど新しい内容なんだね!
-Hさん:
「高校数学を使うのに算数を使う」みたいな例えがぴったりかも。高校数学ができることは当たり前で、大学数学が進んでいく感じ。同じ理系学部でも化学科とかならまた違うかも。
-Oさん:
法学部は完全にゼロからのスタート。少しずつ法律に深くアプローチしていく。初めは「刑法総論」や「民法総則」などから勉強したなあ。どの内容もゼロからスタートだから「学年が上がるにつれて難易度が大きく変わる」なんてことは少ないかな。授業内容は、裁判の判例を新しい事例に当てはめて検証するよ。たとえば、過去の判例が示されて、それを受けて『○○を本件についてみるに…』といった感じ。
-Nさん:
そうなんだ!法学部が完全にゼロからのスタートっていうのは面白いね。文学部は学科が細かく分かれていることが多いからか、入学前にある程度やりたいことが決まっている人が多い印象かな。
-Tさん:
確かに!文学部だと、初めから特定の時代や作家に興味があるという人は多い。でも大学に入ってから新たに知った分野を専攻することもある。私の場合、大学入学時は日本文学全般に興味があったけど、大学で学ぶうちに日本語学という学問に出会って、専攻するようになった。
-Oさん:
法学部は自分の好きな分野を大学でみつけて、突き詰める。学部によってさまざまだね。
-Hさん:
僕は土木工学が専門。橋や道路、ダムなどのインフラ設備について、どう設計して施工するかについて考える。生活に密接している分野だね。広く勉強して、興味のある分野を設定して進む。研究室ではコンピューターが活躍しているよ。
-Oさん:
大学ならではの場所、『ゼミ』(※)はみんな始まってるの?
(※ゼミ‥‥学科やクラスとは別にある分野・テーマを少人数で研究する集まり。各教授の研究室に紐づくケースが多い)
-Nさん:
私の学科では3年前期からゼミに入るから、もう始まっているね。でも今のところは軽く資料を読んだり卒論のテーマを考えたり。これまで授業で習ったことを活かす実践的な場所、という感覚。座学で今まで学んできたことをアウトプットしているよ。
~後編に続く~