高校生が思い浮かべる大学生活の中には、「部活動」や「サークル」といった活動のイメージもあるのではないでしょうか。
高校の部活動との違いや実際の様子を知りたいという大学受験生のリクエストに応えて、現役大学生の部活動・サークル事情を紹介します。
場合によってはひとつの大学に数百の団体があるので、その様子も千差万別。ぜひ、大学生活を夢見て受験勉強に打ち込むモチベーションにしてくださいね!
1. サークルとは?部活動とは?
そもそも大学における「部活動」「サークル」とはどのような活動なのでしょうか?まずはこの2つについて簡単に解説します。
●部活動:活動日数が多く、大会やコンクールなどに向けた練習が主な活動。
中学・高校の部活動と変わらず、ほとんど毎日活動する団体もあるのが部活動、いわゆる「部活」です。多くの場合、大学公認の団体になっていて、合宿費などを援助してもらえるというメリットもあります。
また、体育系の部活は上下関係が厳しい反面、OB・OGとの繋がりが強いなど、独特の文化があります。ガッツリ課外活動に取り組みたいという人は部活動がおすすめ。
●サークル:主に学生によって立ち上げられた団体で、部活動よりも自由度が高い。
スポーツであってもゆるく活動することが多く、アルバイトや授業などで忙しい生活を送る学生でも比較的参加しやすいのが「サークル」です。(もちろん、各大学や各サークルの文化があるので一概には言えません)
「インカレ」(「インターカレッジ」の略称)と呼ばれる、複数の大学の学生により構成される団体もあるのが特徴。またサークルには、大学から活動について「公認」されている公認サークルと非公認サークルがあるケースも。非公認だからといって質が低い活動をしているわけではなく、活動が活発な団体もたくさんあります。ただし、サークルを装って過激な宗教活動や商売勧誘などにつなげる団体も稀に存在するので、事前に下調べをしておくと安心でしょう。
部活動やサークルに参加すると、人脈が広がったりイベントが増えたりと、大学生活が充実するメリットがたくさん。多種多様な団体があるので、大学受験に合格し入学した暁には、自分の理想の学生生活に合わせて選んでみてくださいね!
2. 実体験(1)「2つのサークルを通して大学を超えた友人ができました!」(Y.T.さん)
所属団体:民族舞踊(フォークダンス)サークル、学内メディアサークル
●民族舞踊(フォークダンス)サークル
週3回、東欧を中心とした世界各地の踊りを踊っているインカレサークルに所属しています。大学に入学して何か新しいことをしたいと思ったのと、衣装の可愛さに惹かれて入部しました。
普段は学園祭や他大学との交流の場で踊りの発表をしています。
同期は8人で、3年生になり部長を任されました。同期の人数が少なく、役職(新歓・広報・学園祭)の掛け持ちが大変ですが、OG・OBさんとのつながりや他大学との交流、そして何より知らなかった文化の踊りを踊るのがとても楽しい!
部員同士も仲が良く、普段からよく活動後に一緒にご飯を食べたり、長い休みには旅行に行ったりドライブに行ったりもしています。
高校生の時のような30〜40人くらいのクラスがはありません。そのため、大学生活ではサークルの友達はとても大切です。
●学内メディアサークル
2年で引退なので、すでに活動からは引退していますが、学内向けのWeb記事やフリーペーパーを作成するサークルに所属していました。
文章を書くことに興味があったので、サークルの活動内容に惹かれて入部しました。同期は10人。活動していた時期がちょうどオンラインでのコミュニケーションが中心になっていた1、2年生の時だったので、あまり部員と交流することはできませんでしたが、記事を執筆・編集する作業はとても楽しかったです!2年生の時には校閲班長を務めており、みんなに協力してもらい完成した記事やフリーペーパーが公開された時の喜びは一入でした。
興味本位で始めたサークルでしたが、このサークルで得られたこと――実際に自分たちで何か記事を制作し、人に読んでもらうという経験は、「どんな相手に影響を与えたいか」「どんな内容をどのように伝えるか」ということを考えるきっかけになり、大きく自分の進路選択に関わっていると思います。
~高校生のうちから知っておこう~
- サークルには新しいことを始められる環境がある
- サークル活動が将来キャリアのきっかけになることも
3. 実体験(2)「国際政治についての議論を通して全国に友人ができました!」(M.O.さん)
所属団体:日本模擬国連
模擬国連とは、外交官をロールプレイして国際世論を再検討する活動です。
将来キャリアとして国際機関に興味があったことや、自分の専門分野を作りつつ交友関係を広げたいと考えたことをきっかけに入会しました。
参加者は1か国の外交官になりきり、国内事情を加味し、各国の利益を反映させながら、国際社会の合意を目指した決議文を作成します。
全国大会が年に4回あったり、自分の所属研究会以外の会議に参加したりといったこともあるので、全国に友人ができることも魅力のひとつです。
内容として堅苦しそうなものですが、大学から始める人がほとんどで、模擬国連への関わり方もさまざま。私自身は、全国大会の運営や全国模擬国連で各研究会の統括の事務作業を中心におこなっています。
週に1度の勉強会や、仲間との交流を通してだんだんと国際政治の知識がついていきます。世界史や国際政治ジョークを飛ばしてくる友人に囲まれるので、なかなか愉快な大学生活を送れています。
「他大学にも友人を作りたい!」と思っている人たちは、インカレ団体を探してみるといいかもしれません。
~高校生のうちから知っておこう~
- インカレ団体に参加することで他大学にも交友関係を広げられる
- 大学での学業をより深められる活動もある
4. 実体験(3)「“隊長”の任務に責任感を持ちつつ、純粋に歌うことを楽しんでいます!」(M.N.さん)
所属団体:聖歌隊
私が通っているのはキリスト教系の大学で、大学に聖歌隊があります。キリスト教に関する知識は全くなかったのですが、クラシック音楽が好きだったので入隊しました。
主に讃美歌やクラシックの曲を歌っています。学内の礼拝での奉仕、定期演奏会やクリスマス関連の行事など、活動は1年を通して盛りだくさんです。
コロナ禍の影響で2年生の春に入隊しました。現在は隊長を務めています。隊長といっても音楽的な部分で隊を引っ張るのではなく、練習場所の予約、毎月の報告書の作成、顧問や大学の教職員の方々とのこまめな連絡など、隊員が安心して練習や本番を迎えられるように準備を進める事務作業がほとんどです。もちろん隊員の様子を見て声を掛けるなど、常に全体に目を配るようにしています。隊長の業務以外にも演奏会のプロジェクトリーダーを務めるなど、日々とても忙しく充実しています。
活動は週2回、それぞれ3時間ほど練習しています。他にボイストレーニングを無料で受けられるので、歌唱技術・表現力の向上を目指して練習を頑張っています。隊の人数は少ない(同学年は私を含め2人!)ですが、皆とても仲が良く、休憩時間はおしゃべりが絶えないです。引退時期はないので卒業まで歌い続けるつもりです。
~高校生のうちから知っておこう~
- その大学ならではの活動団体もある
- 大学では部活動の運営や事務作業も学生に委ねられる
5. 体験談(4)「大学スタッフとしてサークルなどとは一味違った学生生活を送っています!」(Y.K.さん)
所属団体:学生スタッフ
自分が通う大学で、「学生スタッフ」という組織に所属しています。普段のデスク勤務の他に、オープンキャンパスの個別相談会運営、学生生活課主催イベントの運営などを担っています。
学内アルバイトの立場になりますが、スタッフも全員同じ大学の学生で構成されており、イベント後に有志の食事会が開かれるなどサークルのような一面もあります。大学の職員さんと一緒に働いたり、大学公式のイベントに運営側として参加できたりと、貴重な経験ができて面白いです。
大学公式の組織に所属するのも、サークルとはまた違った楽しさ・やりがいがあると思います!
~高校生のうちから知っておこう~
- サークルや部活だけでなく大学公式の組織もある
- 活動に参加することで給与が発生することも
6. サークルや部活動の選び方
いざ大学に入った後、サークルや部活動はどのように探し、どのような基準で選べばよいのでしょうか。
高校生のうちから知っておくと大学入学後すぐにでも役立つ、サークル・部活選びのハックを紹介します。
6-1. サークル・部活、どこで選ぶ?
新入生は次の通り色々なシーンで、サークルや部活の情報に触れることができます。
・新歓イベント(新歓=新入生歓迎)
・大学の公式パンフレット
・サークルのSNSやホームページ
・友人の紹介
大学入学後はサークルや部活を紹介するイベントが数多く開催されるので、積極的に参加して情報を収集しましょう。大学に入学したての頃は知り合いも少なく不安を抱きがちですが、新歓イベントに参加すると、そのような不安を同じ新入生と共有できます。
「新歓は気になるけど、サークルに入るかはまだ決めかねている」「1人で新歓に行くのが怖い」という人も、たくさんの新歓イベントに行ってみると、思いがけない出会いがあったり、自分のやりたいことが見つかったりするかもしれないので、大学入学後は積極的にイベントに参加してみてくださいね!
6-2. サークル・部活、どんな基準で選ぶ?
サークルや部活を選び上でのポイントは次の通りです。
・活動内容
・雰囲気
・活動頻度
・活動にかかる費用
これらを知るには、気になっている団体のSNSやホームページを確認するのが有効です。なかでも一番チェックしておきたい要素は、その団体の雰囲気。一緒に活動する先輩や同期の人柄も、観察してみることをおすすめします。
自分がやりたいことや面白いことから探す軸の一方で、「ガクチカ」重視で考えるといった方法もあります。「ガクチカ」とは「学生時代に力を入れた事柄」のことで、主に就職活動における自己PRの材料となります。
例えば、将来的に国際的な仕事に就きたいという目標を見据え、大学では国際交流団体に入って活動に勤しむといったモデルです。具体的な将来プランがある人は、自分がなりたい姿から逆算してサークルや部活を選ぶといったことも一手かもしれません。
いずれにせよ、高校生のうちから大学での有志活動をわくわくイメージできると、受験勉強のモチベーションにも繋がりますね。
7. まとめ
現役大学生の部活動・サークル事情はいかがだったでしょうか。入部理由も活動頻度もさまざまですが、それぞれ日々の活動から得られているものがあるようですね。一方で、部活動やサークルに所属しないという選択肢ももちろんあります。
自由な時間が増える大学生活。大学に入学したら何をしたいのかあれこれと考えてみて、ぜひ受験勉強のモチベーションを高めてください!