「定期テスト」は高校生活でとても重要なイベントです。推薦入試などを目指すケースに限らず、毎回の頑張りがその後の大学受験に大きく影響します。しかし「いつから対策を始めればよいのか」「普段の勉強とは具体的に何が違うのか」など、定期テストの勉強に対して不安や疑問を抱いてはいませんか?
この記事では、現役大学生4名が、実際に高校生の時に取り組んでいた「定期テスト」期間の勉強法や過ごし方などを、〈1日の勉強時間〉〈平日の過ごし方〉〈休日の過ごし方〉〈自分なりに工夫した点〉の4つのポイントから紹介します。
1. なぜ「定期テスト」が重要なのか
「定期テストはとても重要な試験である」と聞いても、あまりピンと来ない人も多いのではないでしょうか。
「定期テスト」が重要である理由は、「学校の成績に大きく影響する」「推薦入試のための内申点を左右する」などいくつかありますが、成績や評点などの要素以外に「苦手分野の発見」という学習の面での大事な役割も果たしています。
普段の勉強では、「予習に追われてしまい復習のためのまとまった時間を確保することが難しい」、また部活動などで忙しく、「そもそも勉強時間を十分に確保できていない」という声をよく聞きます。
高校生活において重要となる「勉強」になかなか十分な時間を取れないとなると、自分が授業の進度にしっかりついていけているのか心配になる時もありますよね。テストがあることすら憂うつに感じてしまうかもしれません・・・。ですが逆に考えると、自分の学習進捗を確認するひとつの方法が「定期テスト」であるとも言えます。テストの「点数の良し悪し」にばかり囚われるのではなく、その意義について見方を変えてみましょう。
定期テストの対策における復習の過程で、自分の「苦手分野」が見つかると思います。一歩先を見て、大学入試本番で後悔することがないように、今の内から定期テストの勉強を利用して苦手分野をつぶしておきましょう。
「定期テスト」という、短いスパンで訪れる有意義な復習の機会を十分に活用して、大学受験を見据えた勉強につなげることが、高校3年間の長期的な視点においても重要となります。
2. 体験談(1)「無理のない時間配分と2つの目標設定で着実に勉強!」(Y.T.さん)
〈勉強時間〉
平日:朝30分、夜2-4時間
休日:9時間
〈平日〉
テスト前は学校に残って教室で勉強することができたので、2週間前から1日3時間を目標に勉強していました。ただ、2週間前だとまだ授業でテスト範囲が終わっていなかったり、テスト前という意識が薄かったりするので、勉強内容としては普段の予習・復習に加えて、時間のかかる世界史のワークや英文法の問題集などを進めていました。
1週間前になると、テスト日程を考慮した計画を立てて、最低限やりたいこと(例:数1Aテスト範囲のワーク1周)や提出の必要がある課題をリストアップし、テスト日程が早い科目から潰していくことを意識していました。
テスト前の平日は、部活など他の活動のある期間に比べれば時間がありますが、授業などもあり細かく時間が区切られ、まとまった勉強時間の確保が難しかったので、1時間単位でやることを決め、コツコツ進めるようにしていました。
また、定期テストの当日は、テスト終了後時間があったので、最終日以外は翌日のテスト科目の総仕上げをおこなっていました。
定期テストは、授業で学習したことを定期的に確認する良い機会です。「定期テストを利用して学習した範囲を完璧にしてやる!」という気持ちでいると後々も楽になります。
〈休日〉
休日はまとまった時間が取れるので、1.5時間に1回小休憩、3時間おきに長めの休憩を入れて集中力が続くようにしていました。「1日の初めに今日はこれとこれを終わらせる!」という目標を立てると良いでしょう。
学校に行ったり、図書館に行ったり、移動が億劫だったら自宅で勉強したり…と、勉強場所はその時々の気分によって変えていました。
〈自分なりの工夫〉
〈1〉目標を2つ意識する
(A)現実的な目標:実行する前は「少し簡単過ぎるかも…」と感じる最低限の目標(例:提出の必要がある課題のワークを◯日までに1周)
(B)理想的な目標:実行する前は「頑張れば多分できる!」と感じる目標(例:◯日までワーク2周して復習まで)
この2つの目標を設定して、現実的な目標を達成したら理想的な目標の達成を目指すように計画を立てていました。私の場合は実際に最終的には、6割が現実的な目標を達成して、1割が理想的な目標を達成し、残り3割が2つの目標の間で終了するような形に落ち着いていました。
段階的に目標を2つ設定することで、各科目の最低限やるべきことをやり残したり、「全く進んでいない」という漠然とした不安を感じたりすることが少なくなり、効率的に勉強できるのでおすすめです。
〈2〉眠くなったら寝る
日中勉強していて眠くなったら無理せず寝ていました。うとうとしながら1時間勉強して、ノートにミミズのような文字だけが残るよりも、15分寝て45分ちゃんと勉強した方が頭に残る勉強ができると思います。
3. 体験談(2) 「2週間前から余裕のある計画を立てて早め早めに勉強!」(M.O.さん)
〈勉強時間〉
平日:朝1時間、夜2-3時間
休日:10時間
テスト2週間前までは1日2時間、テスト期間に入ってからは1日4時間を目標に勉強していました。テスト期間は特に朝の学習時間を多く取ることによって、テストへの気持ちの切り替えができます。
一方で平日はまとまった時間が取れないので、綿密な計画を立てて、それに沿ってコツコツと勉強を進める必要があります。2週間前までは徹底して暗記を中心におこない、1週間前から実戦対策を兼ねて演習を重ねようにしていました。
〈休日の過ごし方〉
1日10時間の勉強を目標にしていました。10時間のハードルが高くても、午前中に3時間、午後に4時間、夕食後に3時間と時間を区切ることで、疲れることなく学習できるのでおすすめです。
平日に比べてまとまった時間が取れるので、演習を中心に進めるのが良いでしょう。また、平日に終わり切らなかったタスクを休日に消化することで、やり残しや計画倒れを防ぐことができます。息抜きにジュースやお菓子で糖分補給をするなどして、モチベーションを保ちながら勉強していきましょう。
〈自分なりの工夫〉
〈1〉テスト2週間前に手帳を使って勉強計画を立てる
勉強計画を立てる時、日曜日に計画を詰めずに空き日にしておくことで計画倒れを防ぐことができ、かつ2週間のテスト期間中にモチベーションを下げることなく過ごせます。
また、2週間前はまだテスト範囲が発表されていないと思いますが、この時期から暗記科目の対策を始めておくことによって、テスト直前に慌てて知識を詰め込む必要がなくなります。早め早めにテスト対策を進めましょう。
〈2〉就寝前に暗記科目を勉強する
就寝前30分ほどかけて暗記をおこなっていました。朝起きてすぐに前日の夜に覚えたことを復習することで効率よく知識をインプットすることができます。
就寝前にはスマホでSNSなどを絶対見ないといったことも、記憶定着の要となります。テスト期間だけでもスマホは遠ざけましょう!
4. 体験談(3)「達成したい目標から逆算して『小さな目標』を立てて勉強!」(Y.H.さん)
〈勉強時間〉
平日:2-3時間
休日:10時間
テスト1週間前までは部活動があったため、勉強時間を十分に確保するのが難しかったです。そのため、通学での電車移動の時間や授業の合間などの隙間時間を使って、足りない勉強時間を補っていました。勉強内容としては、学校の宿題や暗記事項の確認が中心でした。
テスト1週間前を切ってから、本格的にテスト対策を始めました。理系科目の演習時間を増やし、暗記事項のアウトプットをする機会も増やしていきました。
〈休日の過ごし方〉
家で集中して勉強することができなかったので、学校の自習室や近くの図書館などに行って勉強することが多かったです。
勉強スケジュールとしては、午前中と夕方あたりから理系科目を中心に演習をおこなっていました。昼食・夕食後は眠くなりやすいため、そこまで頭を使わない基本的な問題を確認したり、暗記事項のアウトプットに時間を使ったりすることが多かったです。
集中力を長く続かせるためには、こまめに短時間の休憩をとることがおすすめです。私はスマホを触らないで、散歩をして軽く体を動かしていました。
〈自分なりの工夫〉
〈1〉目標から勉強内容を具体的に考える
部活動などで勉強時間が限られている人ほど、早くから勉強計画を立てるべきです。その際に「いつ・どの科目を勉強するか」よりも、「いつまでに何を理解するか」の視点で計画を立てるのが大事だと思います。
例えば、私は数学で80点を取る目標があった時に、いきなり「火・木・土曜日に数学をやろう」と計画を立てるのではなく、まずは「次の土曜日までに問題集のレベル3までをすべて解けるようにしよう」といったように、具体的に小さな目標を立てていました。
小目標から逆算して勉強スケジュールを立てることで、自分のレベルから目標を達成するのがどれほど難しいか実感できます。計画倒れになることが少なくなるのでおすすめです。
〈2〉周りを巻き込んでモチベーションアップ
テスト期間であっても、勉強する気が全く起きない日もありました。そんな時は友達を誘って学校に残ったり、休日に近くの図書館で一緒に勉強したりしていました。
友達が勉強している姿を見ると刺激を受け、自然とやる気が出てきます。分からないところがあった時に友達にすぐ聞くことができたり、テストの頻出事項を共有できたりなど、勉強の効率化にもつながります。ただ、休憩時間に勉強以外の内容で話し過ぎてしまうことがあるので要注意です。
5. 体験談(4) 「やるべきことを『見える化』してから勉強!」(M.N.さん)
〈勉強時間〉
平日:朝1.5時間、放課後3時間
休日:8-11時間
定期テスト2週間前から試験対策をスタートするようにしていました。その頃はまだ部活動もあるので、朝1.5時間、放課後1.5時間という普段の勉強時間を維持しつつ、少しでも多く試験対策に時間を割くことを意識していました。
私の通っていた高校はとにかく課題の量が多かったため、試験対策がそれらの課題を終わらせることだけになってしまう可能性も十分にありました。そこで「課題を早く終わらせる」ことだけを目的にするのではなく、「課題をこなしつつ、定期テストで1点でも高い点数を取るための勉強をする」ことを意識していました。当たり前のことかもしれませんが、これをより強く意識しながら勉強すると成果につながります。
テスト1週間前からは苦手分野の克服を重点的におこないつつ、気分転換に得意教科の勉強をしていました。苦手な英語と理系分野に時間を割き、内容を暗記するくらいの勢いで勉強していたように思います。ただし「丸暗記」をしても、定期テストでは点数が出るかもしれませんが、それは「身についた」ことにはならないですし、その後の模試などでは点数が出にくくなります。「理解」するための勉強になるよう心掛けました。
〈休日の過ごし方〉
休日は朝から昼過ぎまで近所の図書館で勉強し、その後塾に移動して夜まで勉強していました。勉強中に意識していたことは平日の勉強と変わりません。
1日中勉強で大変ですが、「受験生にもなればもっと大変なんだ」というように自分を鼓舞しながら勉強していました。
また、学校に行く日と同じような生活リズムを心掛けました。睡眠時間が短くならないようにするためにも、だらだらと長時間勉強するのではなく、メリハリをつけて効率よく勉強するようにしました。
〈自分なりの工夫〉
●課題など『すべきこと』は全て紙に書き出し、『優先順位』をつける
課題の提出ミスなどを防ぐためにも、効率よく勉強を進めるためにも、やることを「可視化」することは大事です。全科目の課題、自分で勉強したいこと、目標などを1枚の紙にまとめてみてください。そしてざっくりとでも良いので「優先順位」をつけてみましょう。得意科目より苦手科目、すぐ終わるような課題より分量の多い課題など、順位付けするのとしないのとでは大きな違いが出ると思います。
私は常に紙にやることを書いて、毎日見直していました。「このままのペースで良いのか」「この課題は期限までに間に合うのか」などと目安を立てることは、後々大きな失敗をしないことにつながります。着実に勉強を進めるためにもぜひ実践してみてください。
6. まとめ
「定期テスト対策」の勉強法をひとつとっても、様々な進め方や工夫がありましたね。目標設定の方法や意識の持ち方など、自分に合っていると思ったノウハウを取り入れてみましょう。
一方、共通して挙げられていたことは「計画を立てて勉強する」ということでした。具体的な計画を立ててから勉強に臨むことが、結局は点数アップの近道と言えるのかもしれません。
定期テストの対策を始める時は、今回紹介した先輩たちからのアドバイスをぜひ参考にしてみてください 。
*「なぜ定期テスト対策をするのか」などの素朴な疑問に東大生が回答。こちらの記事もぜひ読んでみてください。
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