TEAPは専用教材の選択肢が少なく対策が難しい試験の1つですが、「リーディング」に関しては、出題形式が似ている他の英語資格試験の問題を利用した学習が可能です。
制限時間との勝負になるTEAPリーディング。参考書を上手に活用しながら英文の読解スピードを引き上げ、得点率8割を目指す方法を紹介します。
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1. TEAPとは
※この章の内容はこちらの記事の第1章と一部共通となります。
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TEAPおよびTEAP CBTは、主に高校生を対象に大学入試での利用を想定して開発されたテストです。テスト構成・レベルは、日本における「大学教育レベルにふさわしい英語力」を測るよう設計されています。「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語四技能別のテストがあり、「読む」つまり「リーディング」試験では、特に大学での生活や学業において必要な英語力が求められます。
リーディング試験の問題構成は以下の通りです。
Part1 アカデミックな内容の短文空所補充
Part2 A 大学の授業を想定した図表の読み取り
Part2 B 掲示・メール文(70語ほど)の読み取り
Part2 C アカデミックな内容の英文(70語ほど)の読み取り
Part3 A アカデミックな内容の長文(270語ほど)の空所補充
Part3 B アカデミックな内容の長文(600語ほど)の読み取り
試験は年に3回(7月,9月,11月)の実施、難易度の目安としては英検®準2級〜準1級程度(CFRL A2~B1)です。スコア8割獲得を目指すには、英検®2級~準1級レベルが必要な印象があります。
TEAPのスコアは、技能別に最高点を抽出して提出できることが特徴です。
例えば、高校2年生時の11月に「Reading(R):63, Listening(L):60, Writing(W):72, Speaking(S):81」を取得した後、高校3年生時の7月に「R:78, L:67, W:74, S:74」という点数を取得したら、Speakingのスコアは1度目の方が高かったので、大学への出願に利用する際は「R:78, L:67, W:74, S:81」といったように、技能別に受験回の最高点を抽出して提出できます。
大学の一般入試のように一度きりのチャンスというわけではないので、心のゆとりを持って高いスコアを目指すことができると言えるでしょう。
ただし、スコアの有効期限が2年間なので、大学受験の時期に合わせてTEAP受験日程を組む必要があることに注意してください。高校3年生の大学受験時にスコアを使用しようと考えている場合は、高校2年生から受験することが一般的です。
TEAPの受験結果はCEFRとスコアで評価されます。
CFER :Common European Framework of Reference for Language
海外で生活したり就業したりする際に必要な言語能力の基準が示されたガイドライン。A1~A2が基礎段階、B1~B2が自立した段階、C1~C2が熟達した段階というように6段階に分けられている
TEAPではCEFR基準のB2レベルまでの技能を測ることができます。
2. TEAPリーディングの対策方法
TEAPは市販の対策用教材がまだ少なく、問題演習を重ねたくても分量と選択肢が少ないのが難点です。 TEAPと出題傾向が似ている、英語資格試験の対策教材も活用しましょう。
パートごとの攻略法と合わせておすすめの参考書を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
2-1. Part1の解説と攻略のポイント
このパートは語彙・語法の問題です。アカデミックな内容の短文の空所補充問題が20問出題されます。
語彙のレベルは英検準1級程度で、高校生の受験者が多い英語試験の中では、高い単語力が求められます。
英検2級程度の語彙力では正答を導くことは困難なので、準1級レベルの単語を覚える必要があるでしょう。英検対策用の単語集などを使って、語彙の幅を拡げておくことが対策の第一歩です。
〈おすすめ教材〉
『英検準1級 でる順パス単 5訂版』(旺文社)
英検準1級の対策を目的に作られた単語帳ですが、TEAPリーディング Part1で求められる語彙レベルとほぼ同じです。まずは「でる順B」までを覚えることで、TEAPでも正しく解答できる単語力が身につくでしょう。
時間が残っていれば「でる順C」まで取り組むことで、ほぼ全問正解ができるようになると思います。
通学時のスキマ時間などを活用しながら、一気に単語を覚えましょう。
2-2. Part2 Aの解説と攻略のポイント
このパートは図表の読解を含む問題です。大学の授業を想定した図表が問題用紙に印刷されているので、図表の内容から正しく情報を読み取ることが必要です。
難易度はTEAPリーディング内でも比較的易しく、英検2級レベルの実力があれば特に対策をする必要はないでしょう。図表といったアプローチに慌てることなく、確実に得点へ繋げましょう。
TEAPの過去問や専用の参考書で実際の出題傾向をつかめておけば、なお安心です。リーディングの試験内容を対象とした参考書を選んでください。
〈おすすめ教材〉
『大学入試合格のためのTEAP技能別問題集 リーディング/リスニング』(旺文社)
リーディングとリスニングのパートに問題が絞ってあることが特徴です。他のどの参考書よりも各技能に絞った学習が進められます。TEAPリーディングの問題に多く取り組みたい人は、この1冊が大きな助けになるでしょう。
リスニングアプリ「英語の友」に対応しているので、音源を聞く際もCDプレイヤーを用意する必要がなく便利です。
英語の友とは…
英語の友(iOS・Android対応/ダウンロード無料)
旺文社刊行の英語資格試験対策書に対応したリスニングアプリです。英検・TOEIC・TOEFL・IELTSなど、対策書に付属する音声を再生することができます。CDを再生する必要なく、スマートフォンで手軽に音声が聞けるので、書籍での学習をより効果的に進めることができます。
2-3. Part2 B・2 Cの解説と攻略のポイント
このパートは学内掲示板情報、Eメールなどをモチーフとした、70語程度の英文の読解問題です。
TEAPのリーディング試験は、全体的に制限時間が短く、スピード感を意識して解かなくては最後の問題までたどり着けません。とにかくムダな時間をかけず、正答を導くことが重要です。
また、TEAPは各問題の配点が公開されていないので、特に“どこから解き始めるべき”という必勝法がありません。Part2Bの難易度はさほど高くないので、正確に早く解くトレーニングを徹底して得点力を磨きましょう。
〈おすすめ教材〉
『1駅1題 新TOEIC TEST文法特急』(朝日新聞出版)
このパートの必勝法は「新TOEIC TEST」Part5の問題を活用して、問題に慣れておくことです。
TOEICのPart5は、TEAPリーディングのPart2B・2Cと問題形式やレベルが似ています。TOEICは多くの対策教材が刊行されているので、トレーニングに活用できる問題の分量に困ることはありません。
TOEICの対策問題を1問20秒ほどで解けるように練習しておけば、TEAPにおいても余裕をもって英文問題を解き進めることができるでしょう。読解スピードを意識しながら、正確に解くトレーニングを進めてください。
2-4. Part3 Aの解説と攻略のポイント
このパートはアカデミックな内容の長文(270語程度)の空所補充問題です。解答時間を短縮するために、空所の近くの英文からヒントを探すようにしてみてくださいね。
攻略するコツを2つレクチャーします。
●コツ1 ディスコースマーカー(つなぎ言葉)に着目する
以下に挙げるような「ディスコースマーカー」の意味を覚えて、正答を導きましょう。
・具体例を表すディスコースマーカー:内容の趣旨が「抽象→具体」と変化する時に使われます(例:For example, For instance, like, such asなど)
・対比や逆説を表すディスコースマーカー:空所の前後で内容の趣旨が対義的となる時に使われます。(例:However, on the other side, even thoughなど)
・理由を表すディスコースマーカー:空所前の内容を説明する場合や、空所の前後で原因と結果の関係性が示されます。(例、because, as a resultなど)
これらディスコースマーカーの意味を覚えていると、文の構成やつながりから正答を導けるようになるので、「内容はある程度理解できているのに間違った答えを選んでしまう」といったミスを減らすことができるでしょう。
●コツ2 タイトルや文脈から推測する
長文の内容読解はもちろん、単語力が問われることも多いのがこのパートの特徴です。Part1と同様、語彙力のインプットは欠かさないようにしましょう。
また扱われるトピックも、タイトルに専門用語などが使われるような場合、すぐには理解できないこともあるので、文脈からトピックやテーマを推測する力を養うことも効果的です。
〈おすすめ教材〉
『英検分野別ターゲット 英検準1級リーディング問題 改訂版』(旺文社)
英検「大問2」と出題形式が似ているので、英検対策用の参考書で読解力を鍛えておく対策が有効です。長文読解は慣れが必要なので、TEAPの過去問だけでなく英検の過去問題などにもたくさん取り組んでみてください。
2-5. Part3 Bの解説と攻略のポイント
このパートはアカデミックな内容の長文(600語程度)の読解問題です。2問目は図表付きの形式となります。文章量も多く語彙のレベルも高いので、TEAPリーディング問題の中では最難関と言えるでしょう。
●コツ1 ペース配分をして時間を割けるようにする
このパートを落ち着いて解くためにはペース配分が重要です。
まずは、これまで紹介してきた攻略ポイントを参考にしながら、Part2までの解答スピードを上げるためのトレーニングをしてください。
「時間が足らずにこのパートまでたどり着けなかった」ということにはならないように、集中力を高く維持できる試験の最初にPart3Bを解くといった戦略も有効です。
●コツ2 脳内で日本語に訳すスピードを上げる
演習で一度解いた問題を「日本語訳を頭に思い浮かべながら5回ほど音読する」といったトレーニングがおすすめです。この練習を通して、知らなかった英単語を覚えることができ、また英文を即座に和訳する能力を磨くことができます。日本語に訳すペースを上げるために、ぜひ「英文音読」を取り入れてみてください。
〈おすすめ教材〉
『英検分野別ターゲット 英検準1級リーディング問題 改訂版』(旺文社)
このパートの出題形式は英検準1級の「大問3」に似ているので、問題演習用には英検用の参考書を活用することをおすすめします。英検のリーディング問題に絞って掲載されているので、リーディングを極めるための勉強には打ってつけの参考書です。TEAPに似た「準1級 大問3」の問題に多く取り組みたい時は活用してみてください。
3. まとめ
TEAPの専用教材はまだ少ないので、他の英語資格試験の参考書を上手に活用しながら、出題形式や難易度の近い問題で、演習を重ねることが有効な学習法でしょう。
TEAPリーディング試験の攻略ポイントをまとめておきます。
●Part1:出題内容は「語彙・語法」。英検準1級の単語を覚えて出題レベルをカバーする。
●Part2 A:出題内容は「図表の読み取りを含む問題」。過去問に取り組んで出題傾向を把握しておく。
●Part2 B・2 C:出題内容は「学内掲示板情報、Eメールなどを素材にした読解問題」。このパートを早く正確に解くことが高得点を取るために重要。TOEICの問題集を使って多くの読解問題に取り組み、演習を重ねておく。
●Part3 A:出題内容は「論説文の空所補充問題」。英検準1級「大問2」の対策問題を使って演習。
●Part3 B:出題内容は「図表の読み取りを含む長文読解問題」。英検準1級「大問3」の対策問題を使って演習。難易度が高いので、音読等を通して日本語訳のスピードを上げる練習をする。
TEAPのリーディングは時間との闘いなので、読解のスピードと正確性を鍛えることが、スコア8割獲得の鍵となります。紹介した参考書・問題集も利用しながら、「早く正確に」問題を解く練習を重ねましょう!