大学入試共通テストでは、英語リスニングの配点が高くなり、「英語を聞き取る力」がより重視されるようになりました。なかなか努力が点数に結びにくいリスニング・・・勉強法がわからず、対策を後回しにしてしまっていませんか?
安定して点数を取り、リスニングを得点源にしていくには、「音読」や「シャドーイング」といった学習法が有効です。大学入試だけでなく、英検、TEAP、TOEICなど中高生にとって切り離せない存在であるリスニングを、確実に得点につなげるための勉強法を紹介します。
※この記事は2021年6月30日に書かれた内容を一部最新の情報にリライトして投稿したものです
1. リスニング力を鍛えるために必要な「音読」
リスニングの対策には、まず英語を「聞く」機会を増やしてみることから始めてみましょう。
そのための手段として有効なのが、「音読」です。耳で聞き取るリスニングなのに「なぜ自分で発音することが必要なの?」と思われるかもしれませんが、リスニング力向上には、自分の声からも聞くことが効果的なのです。
音読に使う教材は、特別にリスニング用のものである必要はありません。学校で使用している教科書の本文や、英検などの資格試験問題のリーディングパートに出てくる文章も、どんどん「読んで」使ってみましょう。
普段のリーディング用の問題でも音読練習をすることで、耳から英語を聞く練習になります。
また、5回ほど同じ文章を繰り返し音読することをお薦めします。本文中に出てくるわからない単語や、あいまいな発音を調べながら音読を進めることによって、単語力や文法・発音問題への対応力の強化にもつながります。
2. リスニング力向上に有効な「シャドーイング」
シンプルな音読に加えて、リスニング力を鍛えるためにおすすめの方法が「シャドーイング」です。
シャドーイングとは、聞こえてきた音声をそのまま真似して発音する学習法 です。
2-1. シャドーイングで得られる力
シャドーイングを通して身につけられることは、以下の3点です。
(1)英語発音の特徴に慣れることができる
(2)英語発音の地域差に気づけるようになる
(3)英語を英語のまま理解できるようになる
順番に詳しく解説します。
(1)英語発音の特徴に慣れることができる
「シャドーイング」の練習をすることによって、ナチュラルな英語の発話スピードや英語特有のイントネーション、文章の運び・言い回しなどを、自分でも真似して実践できるようになります。また、自分で発音しながらスクリプトを確認する作業を進めることによって、脱落している音やリンキング(linking:前後の音と音とのつながり)に気づけるようになります。
(2)英語発音の地域差に気づけるようになる
近年、共通テストやTEAPでは、アメリカ英語とイギリス英語の両方の話者による読み上げが出題され、英語圏内でも異なる発音への対応力が求められるようになりました。
またTOEICにおいても、オーストラリア英語といったアメリカ英語とは全く異なる雰囲気の話者により、出題されるケースがあります。実際に出題された 、地域差によって異なる発音に動揺しないよう、シャドーイングの練習で、様々な地域特有の英語発音にも慣れておきましょう。
(3)英語を英語のまま理解できるようになる
英語の音は聞き取れても、頭の中で日本語に訳する作業に時間がかかってしまうという人もいるのではないでしょうか。シャドーイングをしつつスクリプト(和訳文)を確認する作業を繰り返すことで、意味を理解しながら、英語を聞くトレーニングができます。英語を英語のまま理解できるようになると、意味を理解できないまま、いつのまにか次の問題に進んでいたという事態を防ぐことができます。
2-2. シャドーイングの学習法
それでは実際に、シャドーイングの方法を具体的に説明します。
まず、準備するものは以下の2つです。
・英語本文が書かれたテキスト
・CDプレイヤー/英語教材音声サービス(アプリなど)
シャドーイングに取り組む際には、音声が対応した教材が必要です。CDが付属している、音声再生用アプリがあるなど、音源提供サービス対応の教材を選ぶようにしてください。
教材の準備ができたら、音声を再生してシャドーイングにチャレンジしましょう。
シャドーイングは「影」のごとく、聞こえてきた音声をなぞりながら発音をしていきます。
- 音声を流す
- 聞こえてきた音声を聞こえたままに発音する
- 聞き取れなかった部分をスクリプトで確認
- 2,3の作業を繰り返す
シャドーイングの進め方は上記の通りなのですが、最初はなかなか難しいと思います。初めのうちはスクリプトを確認しながら、音声と同じ速さで口を動かせるように練習してみましょう。
シャドーイング練習をするにあたって、初めからすべての音を聞き取れなくても大丈夫です。
「聞こえてきた音声をそのまま自分で発音してみる」というシャドーイングの手法に慣れるまで、何度も繰り返し同じ教材に取り組んでみましょう。
慣れてきたら、英文を見ずに音声だけでのシャドーイングにも挑戦してみてください。
3. シャドーイングにおすすめのアプリ
シャドーイングの練習をしていると、「音声の一部分が聞き取れなかった」「どうしてもうまく発音できない」といったことが起こります。
「何度も巻き戻して練習したい!」と思った時に便利なのが、出版社がサービスの1つとして提供している、英語音声付き教材に対応したアプリです。
ここでは旺文社の「英語の友」(iOS・Android対応/ダウンロード無料)というアプリを紹介します。
「英語の友」は旺文社刊行の英語資格試験対策書に対応したリスニングアプリです。
英検・TOEIC・TOEFL・IELTSなど、対策書に付属する音声を再生することができます。
CDを再生する必要なく、スマートフォンで手軽に音声が聞けるので、書籍での学習をより効果的に進めることができます。
さらにこのアプリの便利な点は、バックグラウンド再生や単語のシャッフル再生など、語学学習に便利な機能が満載であることです。
3秒巻き戻しや読み上げ速度の調節もできるので、シャドーイングの練習にも最適です。
英語学習の教材を選ぶ際は、「リスニングがしやすいサービス・機能がついているか」ということにも注目してみてください。
4. 試験別リスニング・シャドーイング練習教材
シャドーイングという勉強法は、どの試験のリスニング対策にも役立ちます。
試験別におすすめの教材を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
4-1. 共通テスト対策におすすめのシャドーイング教材
〈おすすめ教材〉
学校で配られる対策本(任意のリスニング用教材)、過去問
2021年度実施の大学入学共通テストの平均点は、英語(リーディング)が58.80点、英語(リスニング)が56.16点でした。リスニング が、若干平均点数は低いことがわかります。ここで、リスニングを得点源にして周りの受験生と差をつけられると大きいですよね。
共通テストのリスニング対策には、まずは学校の英語の授業で扱う教材や過去問・予想問題に取り組んでみましょう。音声提供が開始されたら、シャドーイングができるようになるまで繰り返し音声を聞いてみましょう。
共通テストレベルの問題がある程度余裕を持ってシャドーイングできるようになっても、そのレベルからリスニング力を落とさないように、コンスタントに英語を聞くように心がけてみてくださいね。
英語をしばらく聞いていないとリスニング力は低下してしまうので、英語は毎日、もしくは2~3日に一度は聞くことをお薦めします。
4-2. TEAP対策におすすめのシャドーイング練習教材
〈おすすめ教材〉
『 【CD付】TEAP技能別問題集 (大学入試合格のためのTEAP対策書)』(旺文社)
TEAPは東京大学をはじめとした国公立大学、早稲田大学、上智大学などの上位私立大学において入試方式の一部に組み込まれるようになるなど、利用できる場面が広がっている英語試験の1つです。
問題の構成は、以下のようになっています。
Part1A 短い会話文の聞き取り
Part1B 短い会話文の聞き取り
Part1C 短い会話文の聞き取り
Part2A 長い会話文の聞き取り
Part2B 長い英文の聞き取り
問題によっては1分半以上の長文英語を聞き取ることになるのですが、この問題もシャドーイングを繰り返し練習しておくことで対応することができます。
シャドーイングのトレーニングによって、英語を英語のままインプットすることができるようになっていると、頭の中で日本語に訳する時間が節約できるようになるので、長文リスニングにも対応しやすくなりますよ。
4-3. 英検対策におすすめのシャドーイング教材
〈おすすめ教材〉
『英検分野別ターゲット』シリーズ(単語・熟語/リーディング/リスニング/ライティング) (旺文社)
『英検 でる順 合格問題集[新試験対応版]』シリーズ(旺文社)
英検のリスニング試験も同様にシャドーイングで対策をすることができます。特にシャドーイングの練習が有効なのは、長文リスニングです。
準2級からは一度しか文章が読まれないので、1回で英語を理解するトレーニングがさらに重要となります。シャドーイングの練習で鍛えていきましょう。
ここで挙げた参考書は、前章で紹介したアプリ「英語の友」に対応しているので、CDを出し入れしたりする必要なく、アプリで手軽にリスニング・シャドーイングの練習ができます。
4-4. (番外編)日常的な英語学習におすすめの教材
〈おすすめ教材〉
NHKラジオ英会話テキスト 基礎英語シリーズ、ラジオ英会話、高校生から始める現代英語(NHK出版 日本放送協会)
英語にしばらく触れていないと、そのリスニング能力は低下してしまいます。
日常的なリスニング学習に役立つのは、NHKのラジオ講座です。NHKのラジオストリーミングアプリ「 NHKラジオ らじる★らじる」から聞くことがでます。
いつでも自分のタイミングでラジオを聞くことができるので、隙間時間の学習にも最適です。様々な講座が開講されており、自分の目的や実力に合った番組でリスニング力の維持や向上を目指すことができます。
このラジオ講座においても、ただラジオを聞き流すのではなく、シャドーイングをすることで受動的なリスニングから能動的な学習に切り替えられます。
5. まとめ
リスニングは独学によって能力を伸ばすことができる分野です。
音読・シャドーイングといった学習法を通して、リスニング力を徹底的に鍛えましょう。以下にポイントをまとめます。
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- 音読のポイント
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・スクリプトの音読は5回ほど繰り返しおこなう
・音読を繰り返すことで英語耳を育てるだけでなく、単語力や文法・発音問題への対応力を強化
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- シャドーイングのポイント
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・音声付きの教材を利用する
・効率アップにはアプリを活用する
・シャドーイングはどの検定や試験対策にも応用可能
音読・シャドーイングの練習といった英語に触れる機会を増やして”英語耳”を身につけ、リスニングを大学受験・英語資格試験での得点源にしていきましょう!