「入試直前期にはどう過ごすのがベスト?」「入試本番でちゃんと実力を発揮できるか不安が募る…」、そんな受験生たちの疑問や悩みを解消する、東大生たちからのアドバイスを紹介します。
受験生の冬休みは、どうしてもメンタルが不安定になりがちな時期。ここは、東大合格を果たした頼もしい先輩たちの助言を真摯に受け取って、入試本番までの「心と体」を万全に整えましょう!
※この記事は現在の共通テストである旧センター試験を受験した先輩たちによる、当時の後輩に向けたアドバイスを再編したものです。
1. 入試直前!高3の冬休みに優先すべきこととは…?
【東大生の回答】
3年生の人に知ってもらいたいのは、大学入学共通テスト(旧センター試験)が残り1か月程度にまで近づいていることです。この時期になると、高校の先生も口を酸っぱくして試験対策について語り始めます。
それはなぜか?毎年なめて失敗してしまう生徒がいるからです。
共通テストは出題の方法が独特で、高得点を狙うなら、ある程度の準備期間が必要になります。この「ある程度」というのは各人の勉強の進み具合によるのですが、東大志望の受験生でも、だいたい12月に入ると過去問を解き始める人が出てきて、12月の中旬になるとほぼ全ての人が対策に注力するようになります。
このように、対策をしなくても大丈夫そうと思われがちな人でも、実はかなりの期間をテスト対策に時間を当てているのです。
おそらくほとんどの人が、過去の共通テストやセンター試験の問題を見たことがあると思いますが、かなり分量が多いです。
正答率がどの問題も同じとすれば、より多くの問題を解くことができれば、点数の期待値が高くなります。したがって、時間内にできるだけ多くの問題を解けるように対策をする必要があるのです。
冬休みは、そのための時間を作る最後の機会です。勉強のやる気は出てきましたか?
さあ、予定を立てて共通テストの対策を始めましょう。志望校の対策も、短くてもよいので忘れずにやっていきましょう。
(東京大学 農学部 K.T)
2. 入試本番までの体調管理に大切なこと
【東大生の回答】
よく、「体調管理も仕事のうち」といわれますが、これは受験の際も同じです。
「模擬試験ではいい成績を出していたが、受験当日に風邪を引き実力を発揮できなくて悔しい思いをした」という話はよく聞きます。
私も本番の日に体調が万全でなく、体調管理の重要さを実感しましたので、私の経験を交えながら、どう健康を維持していけばいいのかアドバイスできればと思います。
まず大事なのは、「睡眠」と「規則正しい生活」です。これは何よりも重要です。
睡眠時間を削って勉強するのは、実は非常に非効率的です。睡眠には頭と体を休め、集中力や思考力を回復させる働きがあります。
また、睡眠不足になると免疫力も低下して体調を崩しやすくなります。
私の場合は12時前には寝て、朝7時頃に起きるというサイクルで生活していました。個人差はあると思いますが、最低でも6時間は寝た方がいいでしょう。
更に、睡眠には記憶を定着させる働きもあります。起きている時のことを、睡眠中に整理して記憶にするのです。(睡眠直前に暗記をすると記憶に定着しやすいとも言われています。)
次に、「うがい」「手洗い」「マスク」も大事です。よく言われることですが、よく言われるのはそれだけ効果があるからです。
最近は消毒用アルコールが置いてあるところも多いので利用してください。
受験シーズンの冬場に流行する病気として有名なものに、インフルエンザとノロウイルスがあります。私は両方かかったことがありますが、どちらもとても苦しいです。
かかったらまず試験には落ちると考えてください。(そもそも家から出られないです)
受験当日にかからないように万全の準備が必要です。インフルエンザは予防接種があるので受けておきましょう。
残念ながらノロウイルスはワクチンがありません。さらに、インフルエンザウイルスは消毒用アルコールで消毒できますが、ノロウイルスは消毒できないので注意が必要です。そのため、ノロウイルスの予防には、「うがい」「手洗い」「マスク」といった基本的なことが有効になります。
私はこれらのことに加えて、「お茶を使ってうがいする」ということをしていました。お茶でうがいをすると、お茶に含まれる成分が風邪などの弱い菌をある程度殺菌をしてくれるといわれています。
あとは、自分の体調に気を配ることです。「今日は調子が悪い、風邪を引きそうだから無理をせずに早く寝よう」と決めて休むことも重要なことです。
しかし、どんなに気を付けていても、風邪を引くときは引いてしまいます。
私はかなり体調に気を配ったつもりでしたが、結局受験当日は体調を崩してしまいました。体調管理はあまり神経質になりすぎるのも考えものです。
「病は気から」ともいうように、精神的なものも体調に大きな影響を与えます。体調に気を配りつつ、「風邪を引いたらしょうがない」と楽天的に考えるのも、健康維持の大切な方法かもしれません。
健康維持に特殊な方法はありません。普通のことを普通にやる、それが健康への一番の近道です。
入試本番まで、頑張りましょう!
(東京大学 薬学部 I.T)
※編集部注:感染症対策の方法などは、医療機関等から発信される最新の情報に従ってください。
3. 緊張で実力が出せない!?入試本番で緊張しない方法
【東大生の回答】
試験本番はみんな緊張するものです。僕が受験生だった時、試験本番にどんな心構えで臨んでいたかについて、体験を元にお伝えします。
僕は普段、試験本番であまり緊張しないタイプなのですが、それには理由があります。
もちろん、性格によるところも多少はあると思いますが、試験本番で緊張しないための対策をおこなっているからです。それは、「あらかじめ試験形式に対する対策を十分に考えておく」ということです。
試験の形式は、高い確率で最近の試験と同じ傾向の問題が出されます。例えば、東大理系国語なら、大問3問で論説文、古文、漢文、出題もすべて記述式、という形式を長く踏襲しています。
「漢文、古文、論説文の順に解いて、時間は論説文に50分はかけたいから、漢文古文は計30分で抑えて…」のように、その形式の問題に対する対策をよく考えておくことです。
そうすれば、すでにやることがわかっているので、「いつものように、この順番で解けばよい」と少し軽い気持ちで本番に臨むことができます。
これは「緊張すると何が悪いのか」にも関連しています。
試験本番で緊張しながら問題を解いていると、深く暗い海に潜って、先がよく見えない中を必死に泳ぐけど、なかなか進まない…というような感覚に陥ってしまうと思います。
昔本で読んだのですが、人間は同時に頭で処理できる作業量はある程度決まっているそうです。パソコンに詳しい人なら、RAM(メモリ)と言えばピンとくると思います。
緊張すると、緊張によってその「頭の容量」のうちいくらかが使われてしまい、同時にできる作業が減ってしまうので、パフォーマンスが悪くなる、ということのようです。
そこで、先に解く順番やおおよその時間配分を決めておくことで、本番でそれらに気を遣わずに済み、問題を解くことだけに集中することができます。
また、周りの人を見て萎縮してしまうことも緊張のひとつの原因になると思いますが、考えを少し変えるだけである程度緩和することができます。(以下の内容は東大受験を想定しています)
「周りが頭よさそうな人たちばかりで…」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、それは僕ももちろん思いましたし、その「周り」もお互いに同じことを考えているので、心配することはありません。
あなたの周りに「数学4完した!!(4問完答した、の意)」と言っている人がいるかもしれません。しかし、それは受験生9000人(東大は受験生約9000人、合格者約3000人)のたった1人ですし、その人も他の科目次第で合格するかどうかはわかりません。
また、高校偏差値70越えの超進学校の受験生も大勢見かけますが、東大合格者数ランキング上位10校の合格者を合計しても、3000人中約800人です。残りの2200人はそういった超進学校以外の高校からがんばって入った人たちですから、あなたにも十分にチャンスはあります。(データは2016年のものです)
緊張をすると、良いパフォーマンスを出せなくなってしまいます。
なので、難しく考えず、過去問でやったことと同じことを、目の前に並べられた問題でやれば良いだけです。
東大受験も、模試でD判定E判定連発の僕が受かり、A判定ばかりだった友人が緊張で力を出せず、涙を飲むような世界です。受験は何が起こるかわかりません。
難しいことは考えず、普段やっていることを普段通りにやることが、未来を繋いでくれるかもしれません。
(東京大学 工学部 I.R)
4. 受験への不安を吹き飛ばす!本番で失敗しないメンタル養成術
【東大生の回答】
あなたは今日まで勉強を続けてきましたよね。その成果は必ず出ます。
ですから、まずは落ち着きましょう。部屋と身体を暖かくして温かい飲み物も飲みましょう。そして合格した自分の姿をイメージしてください。
合格発表の自分、入学式のスーツを選ぶ自分、大学のサークル勧誘の中を歩く自分…思いっきり妄想してみましょう。成功した自分のイメージが、あなたを現実の成功に引っ張ってくれるはずです。
さて、あなたは今まだ勉強が足りないと思っていると思いますが、それは受験する全員がおそらくそう思っています。ですから、勉強をし続けることが唯一の不安脱出方法であり、試験当日に緊張しない方法となります。
勉強するにあたっては、「自分のできる範囲での最高得点(+α)を目指す」という作戦があります。
大切なことは難問を解くことではありません。「普段のあなたが出来る問題を確実に解いて得点を積む」ということです。
難問は他の人も解けないかもしれません。「自分がわからないなら皆だってわからない」くらいに思って、本番では解ける問題を落とさないことに集中すると良いでしょう。余裕があれば、最後に戻って考えればよいのです。
そして、ある科目が難しくてうまくいかなかったとしても、落胆せず気持ちを切り替えましょう。
次の試験に影響を残さないことが肝要です。将棋倒しのようにならないよう、楽しいこと、おいしいもの、綺麗な風景など思い浮かべて、無理にでも切り替えを行ってください。
失敗は誰でもします。その後が踏ん張りどころといえましょう。
実際、大学入試はどれだけ平常心でいられるかが重要になります。自分の勉強と積み上げを信じて堂々と当日を迎えてほしいと思います。
〈時間に勝つ直前対策6つのポイント〉
本番で緊張する中、慎重に解答作業を進めていると、思いのほか時間が経つのが早いものです。普段の時間感覚で解くと時間切れになる危険性があります。
そこで、実際の試験時間より短い時間で全問を解く練習をオススメしたいと思います。
例えば、「60分の科目を50分で解く」といった練習を重ねておけば、本番でも余裕をもって解答できます。
特に思考型問題は、着眼点~正解までの解答プロセスに問題があると、多くの時間をロスしてしまいます。
問題を解いたら、たとえ正解でもそれだけで満足せず、設問形式ごとに自分の解答の流れを、参考書や問
題集の解説解答と見比べながら丁寧に検証し、時間をロスする要素が無いか、どうすれば最も効率よく正解を導けるかを研究しましょう。
本番の試験中、確実に知らない知識はともかく、覚えたはずの知識が出てこないと、なんとか思い出そうと粘って相当な時間を浪費してしまいます。
本番でど忘れを防ぎ、解答に必要な知識を頭から素早く取り出せるようにするためにも、知識事項は全体的におさらいしておきましょう。「覚えたはず」と放っておくと後悔のもとになります。
過去問や予想問題の実戦演習をしたら、その都度自分が実際にどう時間を使ったのか、どこでつまずいたのかを丁寧に分析し、できれば記録しておきましょう。
そして、例えば「見切り方が甘い」といった自分の弱点があれば、必要に応じて試験時間の使い方戦略も修正しておくことです。その上で弱点の克服を意識して、次の実戦演習に取り組むと効果的です。
実戦演習の際には、なるべく実物問題を使い、計算などの解答作業の記入スペースも本番同様にしておきましょう。
マークする時間も試験時間に含まれるわけですし、数学などでは問題冊子の余白に合わせて計算や図を書くことに慣れていないと、書くスペースが不足して解答ペースを乱してしまいます。
普段ノートで演習している人は要注意!
数学や理科の演習時、解答の道筋が見えた時点で、計算を省略したり、手抜きをしたりする人がいます。
しかし、より速く正確な計算力の養成は、時間配分成功のカギを握る重要課題。計算をサボって感覚を鈍らせると計算スピードは低下しますし、ミスも多くなります。
計算が必要な問題を解く時は、手を抜かず最後まで計算して答えを出しましょう。
万全の準備をすれば、動じない心が自然と整います。
周りを気にせず自分を信じて、入試本番までのラストスパートを走り抜きましょう!