大学入試の小論文問題では、テーマに対する知識に加え、ものの見方や考え方が総合的に問われますが、何からやればよいのか分からない、という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、小論文に対する考え方や、対策方法、おすすめ参考書などを紹介します!ぜひ参考にしてください。
この記事は2019年2月に書かれた内容を一部最新の情報にリライトして投稿したものです。
1. 大学入試における小論文とは
1-1. 大学入試での小論文
大学入試における小論文問題では、読解力や思考力、論述力といった要素が試されます。これらは、大学に入ってから、たくさんの論文を読んだり書いたりするために必要な基礎力といえるでしょう。
近年、AO入試や推薦入試による受験は増えつつあります。それらの入試では小論文を課される場合も多く、また、一般入試においても小論文が毎年課されている大学・学部もあります。まずは、自分の志望する大学・学部において、小論文対策が必要かどうかを、早めに確認しておくとよいでしょう。
さて、対策の前提として、小論文というのは、誰にでも簡単に書けるようになるものなのでしょうか。
ここで重要なのは、小論文で求められる能力というのは、「作文」の力とは異なるということです。
小論文では、テーマや設問条件を読解し、自分の考えを論理的に述べ、読み手を説得できるかどうかが試されます。自分の主張に説得力を持たせるために、事実に基づいた論拠を示し、論理的に説明する必要があります。
一方、作文とは、経験や体験を通して、自分なりの感想を述べたり伝えたりするものです。作文と小論文では、読み手に対する目的が異なるのです。
一見、小論文は難しいように見えますが、文章のセンスが必要なのは、むしろ作文の方と言えるでしょう。上手な文章を目指すというよりは、書き方を知って「合格できる」文章を書けばよいということになります。
1-2. 必要な勉強量の目安
高校で実際に受験生の指導をされている国語科の先生に、小論文に対する心構えを聞いてみました。
小論文対策は、基本的には授業としては扱われていないのが一般的です。そこで、独学する必要が出てきますが、基本的な考え方としては、「作法」を知っていれば充分ということです。学習量としては、英語や数学の比重を高くすべきなので、小論文対策にたくさん時間をかける必要はありません。「作文・感想文とは異なる」という作法を知るために、対策用の参考書を1冊はやったほうがいいでしょう。でも1冊で充分ですよ。
(関東学院大学附属高等学校・山本浩一先生)
東京大学のような難関大学を目指すレベルの人であれば、小論文対策には10時間もかからないぐらいだ、という意見もうかがいました。また補足として、「医学部系の小論文対策では、書き方以外に頻出テーマについての理科的な背景を知っていたほうがよい」とのこと。
普段から小論文対策については意識を高め、志望する学部・学科ごとに頻出テーマや出題形式などの傾向を知っておく必要がありそうですね。それらに関する興味・関心を高め、新聞や専門分野の書籍などに触れることを心がけておくとよいでしょう。
2. 小論文の勉強法
2-1. 模範的な評論文の精読
高校の授業などでは、大量の文章を要約し、それに対する自分の意見を述べるという機会はほとんどなかったという人もいるでしょう。そのような人は、具体的にどのような勉強をすればよいのでしょうか。
まずは、いわゆる「評論文」を丸写ししてみましょう。
文章の構成やまとめ方、句読点の位置、話の展開の仕方などを肌で知ることができます。
丸写しとは言っても、一字一句全て同じでなくともよいです。例えば名詞などは、便宜上、省略語を用いてもかまいません。段落のつけ方や、文章構成の仕方を把握するのが目的です。
模範的な書き方を真似することで、日本語で書かれた文章を「精読」することにつながります。論文そのものに慣れることもできるでしょう。
2-2. 評論文の要約
次のステップとして、共通テストで出題された評論文や、大学入試過去問の評論文を200~300字に要約してみましょう。
書いた文章は自分で2~3回読むようにし、できれば他の人に添削をお願いして客観的な意見をもらえると効果的です。
2-3. 実際に小論文を書く練習
要約ができるようになってきたら、次は論理的な文章を作る練習です。それには小論文の構成である「序論」・「本論」・「結論」を意識した、文章を組み立てるトレーニングをおこなうことが大切です。
(1)「序論」
論文の導入部分にあたり、問題提起をおこない、自分の述べたい主張への方向性を示す部分となります。「結論」で述べるべきことをある程度掲示しておくことで、どのような内容が示されているのかが、読み手へ明確に伝わります。
(2)「本論」
自分の意見や主張をサポートする根拠や論拠を積み上げる部分となります。ここで根拠・論拠を示すことで、伝えるべき主張に説得力を持たせることができます。
(3)「結論」
序論で提起した内容のまとめをおこなう部分です。序論で述べた自分の意見や主張を明確に述べることが重要です。
小論文を書く練習には、専門の参考書を使ってみるのがおすすめです。
以降、小論文対策として有効な参考書をいくつか紹介します。
3. 小論文のおすすめ参考書
『小論文これだけ!超基礎編』(東洋経済新報社)
小論文の超基礎というだけあって、初心者にわかりやすくポイントがまとめられています。学部別シリーズもあるので、小論文対策のさわりとして学習するには最適な参考書です。
『2024年受験対策 全国大学小論文入試出題内容5か年ダイジェスト』(旺文社)
各大学の小論文の傾向や出題パターンを知り、対策を講じることができます。
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『ワークで覚える 小論文頻出テーマ 五訂版 ジャンル別キーワード90』(桐原書店)
赤本や過去問題集で志望校の出題テーマやパターンを知った上で、テーマにまつわるキーワードを使いこなす演習をおこなうことができます。教科問題だけでなく、時事問題や実社会などをテーマにする出題が増えていることから、さまざまなテーマで小論文問題を演習しておくとよいでしょう。
『新小論文ノート:ベストの問題・解答例・解説集2024 』(代々木ゼミナール)
文例や断片的知識の安直な暗記、解答のパターン化を避け、骨太の実戦力養成を旨とした1冊です。小論文対策はもちろん、AO・推薦入試対策として、高1・高2生からの早期準備にも活用できます。
これらの参考書には書き方の参考になる例文が多いため、質の高い小論文はどのようなものかを知ることができます。また、実際に演習問題やテーマに沿って自分で実際に書くことが、小論文を上達させる最短の近道です。
4. まとめ
小論文とは、まず、今まで書いてきた作文や感想文とは全く異なるという意識をしっかりと持ちましょう。課題を読み解きながら、設問では何を問われているのかを把握し、記述しなくてはなりません。参考書を活用するなどして、小論文の書き方、つまり「作法」を知っておく必要があります。
小論文対策のポイントをおさらいしておきましょう。
●志望大学・学部の入試に小論文が課されるのか確認しておく。
●良い文章に触れ、実際に書くことで小論文は上達する。他者に見てもらうことで、更なるブラッシュアップを図る。
●志望する学部で出題されやすいテーマや時事問題に、日頃から興味を持つ。
質の高い小論文のあり方を知り、繰り返し実際に書いてみることで、小論文の書き方を徐々につかむことができるはずです。ぜひ今から始めてみましょう。